- Amazon.co.jp ・ゲーム
- / ISBN・EAN: 4995857092178
感想・レビュー・書評
-
女性向けファンタジーアドベンチャー。
声優陣が豪華で気になり購入。
しかしキャラデザやシナリオなど、人を選ぶ作品(汗)
キャラクターは多いものの、共通ルートがとにかく長くて、選択肢も少ない…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
PC版(Bloody Nightmare)を先にやったのでそれと比較して記述します。
同じタイトル、同じ登場人物ではありますがストーリーの進み方が最初から結構違うのでほぼ別物と考えた方がいいです。
流血や主人公への暴言等が変わらずあるので人を選ぶ作品なのは変わりません、そういうのが苦手な人は控えた方がいいと思います。
一番の差としては、こちらは猫種(キャッシィ)側の話をメインにしていたPC版と異なり、ラスを中心に狼種(ヴォルフ)側が主軸になった流れで進むという点です。
あとは物語の核心であるメヨーヨの過去が特定ルートでない限りほぼスルーされること、代わりにラスの幼少期や心理的苦悩が共通ルートでじっくり描かれていること、PSP版限定キャラとしてエルザ、パール、リッチーが追加されていること。
猫種双子はどの道十分に狂ってますが、こっちだと彼らはあくまで敵サイドなので狼種への扱いに理不尽さのようなものが加わって残虐性が際立っている気がします。
公式ページでラスが気になった方はこちらをやってみるといいかもしれません、こちらのほうが彼は比較的よく喋るしキャッチフレーズの通り展開が物凄く切ないです、泣けます。メインポジが彼だという影響かこちらの方がより乙女ゲーム然としている気がします。
逆に注意が必要なのがオージェ、PC版以上に乙女ゲーのキャラだということを忘れるレベルでした(笑)
主人公が結構キャラ立ってるので感情移入してやるより物語そのものを楽しむ方に適しています。LHの方がちょっとお転婆さが目立つかも…?
これだけでも完結していますがPC版の方もやるとより一層世界観に入り込めるので是非余裕があれば両方やってみてください。片方が気に入ったなら後悔はしないはずです。
一応PC版→PSP版とプレイするのが正規かも?まぁそこは自由です。 -
【あらすじ】
一度かかると数週間のうちに死に至るとされる疫病・「ゾディバ」に恐れるあまり、ゾディバの根源が狼種にあると信じ、狼種の根絶—–「ジェネサイドウルフ」が条例となった国に暮らす貴族の令嬢・主人公。
病弱体質な主人公は、塔から一歩も外へ出ないで今まで暮らしてきた。
そんな主人公に、転機が訪れる。
主人公は、死病の原因であり、人を無残に食い殺す「狼種」にさらわれてしまう………。
しかし、旅路を共にするうちに、狼種そのものが悪ではないと、自分と変わらないと、分かりあえるのではないかと思い始める主人公。
彼女に根付いた思考は、やがて狼種を嫌悪する猫王子や彼女の身内、知り合った狼種を巻き込み、彼女は隠された真実を知ることとなる。
【主人公】
病弱ゆえに塔に閉じ込められるような生活を送って来た箱入りお嬢様。
…の割に、考え方がさっぱりサバサバしていて、なかなかの雑草魂を見せつけてくれるのである意味意外性があります。
主人公の行動原理の理由づけが結構巧みだと思います。
「箱入りで世間知らず」だから、世間一般的には恐れられ、誰も近づこうとしない狼種にも普通に対応することができる。でも、「箱入りで世間知らずの病弱お嬢様」ゆえに自分の限度をよく心得ているというか、敵地におちても巧く立ち回るというか…。
役立たずなのは他オトメイト主人公と共通なのですが、でも、だから嫌い…という感情にはならない性格をしています。
【攻略対象】
いずれも、個性的。
猫種のふたりはこの作品の特徴ともいえるだろう、ひんまがった根性の持ち主で、とびっきりサディスティック素直でない恋愛模様はRejetさん色が濃いのでは。おおよそ考えていることに予想がつかないというか、「他人の不幸は蜜の味」な極悪非道描写が多い。
それ以外のキャラは、それなりに常識的で、主人公に対しては甘い方々ばかりでした。
もっと過激な作品だと思っていたからびっくりwこの辺りはオトメイト要素なんでしょうかね。
対主人公との関係性というよりも、他のキャラとのつながり、関係が丁寧な印象を受けます。
狼種のトリオは家族みたいで可愛いし、アルルと猫種の関係なんかは根が深く(PC版の方がしっかり描かれるようですが…)、人間関係が面白いなぁ、と思います。
【システム/形式】
ノベル形式。
共通ルート⇒猫種・家族・狼種ルートへ分岐後、エンディング(個別といえるほどの個別はない)。
選択肢数が極端に少なく、2周目以降の既読スキップ使用時は30分以上もなにもすることがない時間がある。
また、選択肢自体もかなり簡易で(「誰と行動しますか?」的な、名前を選べば良いものばかり)、迷う要素がない。
いかんせん、スキップするテキスト量が半端ないので、「十鬼の絆」のように、一括スキップできる機能が欲しかった。
その他いつものオトメイトのシステムは完備。
【ストーリー】
<<主軸>>
共通ルートの後はルートが3分岐し、以後独自のルートに分岐しないので金太郎飴といえば金太郎飴かも。
しかし、世界観がとにかくしっかりとしているので、当然メインシナリオにもブレがなく、面白いとは評価できます。
ゾディバとは何なのか、本当に疫病の蔓延に狼種が関わっているのか。
なぜ猫王子はあれほどまでに狼種に執着し、嫌悪するのか、など、謎を散りばめ、色々な視点でストーリーを進めることで事実が解明していくのもいい。
軽い日常を描くところ、シリアスでドラマチックな戦いが描かれるところ、といったメリハリの付け方も巧く、作品を通してのまとまりも良いです。
ただ、狼種をフューチャーするPSP版なだけあって、狼サイドの事情は丁寧であるものの、猫サイドのお話には曖昧さ、後味の悪さが残ります。
私はPC版を遊んでいないのでわかりませんが、これじゃあ猫種がただの悪役・悪いヤツなのはちょっともったいない。
せめて、猫種のふたりが何を目指していたのか、その行動の原理となる大本の思想くらいには触れてほしかった…。でないと、これ、ただの厭な奴止まりだと思うのです…。攻略したくない、というか、攻略したところで好意がまるでわかない、無残な死を迎えても同情する気がこれっぽちも起きない(どころか「ざまぁw」と思う始末)キャラは私、初めてです。
<<恋愛要素>>
恋愛要素は薄いです。
CERO D を取っていますが、恋愛面でなく、暴力面での評価であり、恋愛モノとしてはせいぜい最後にキスがあるかないか、位の描写。
上記のとおりなので、「恋愛の行為」が薄いことは容易に伝わるかと思います。
んで、「恋していく過程」の描写についても、到底満足できるほどきっちり描写がある訳ではない、と事前に明言しておきます。
主人公は冒頭から割と総愛されです。
とりわけ家族メンバーは主人公至上主義者ばかりなので、プレイ開始直後とエンディングとで、糖度が全く変わりません。
もともと大好きだったお嬢様⇒色々あったけど日常に戻って終わり、みたいな。
合い間を埋めるのは全て大筋の出来事ばかりで、恋愛イベントらしい要素、相手をより好きになっちゃうだろう展開は一切ないです。
その点、狼種は敵(?)⇒好きな人、に変わるのでそれなりに関係性の変化はある…のかな。
ラスはメインヒーローですし、主人公とふたりで行動を共にする時間も長いので、お互いのことを知っていき、主人公が狼種が全て悪ではないと気づけ、またラス自身が主人公に自分の暗闇から救い出してもらう、など見どころがあります。お互いが引かれる内容も納得がいく。
…でも、アルルは登場してからエンディングまでほぼラスとの共通なのであんまり仲良くなった感がありませんw
猫種に至っては、メヨーヨは本当に主人公を見ているのか甚だ疑問だし(主人公というよりアルルを見ている気が…)、オージェはアレだよね、主人公のこと好きじゃないよね?な感じだし…。
終わり方もそこにたどり着くまでも、甘さとは無縁でさらっと終わります。
なんだろう…お話としては面白いけど、恋愛ものじゃないよね?と思わざるを得ないです。
【感想】
世界観がきっちり作り込まれた丁寧なお話なので、浸りたい人、妄想したい人に強くお勧め。
ドラマチックで、動きのあるストーリーが好きな人にもお勧めです。
反面、恋愛要素はとっても「おまけ」感があります。
たぶん、作り手はこの作品を「恋愛モノ」として考えていなかったんじゃないかなぁ…と思うほどには、「取ってつけた感」が半端ないです。
そのため、丁寧で段階を踏んだ恋愛過程を重視する人や、キャラとのイチャコラを求めている人は別作品を当たった方が得策。
個人的には、この作品、好きです。
私自身はドSが苦手で、猫種は思想が理解できず嫌い。…そういった要素が主軸となると思っていたので、当初購入するときは「悩みに悩んで」でした。
でも、いざプレイしてみると、猫種の2人以外は普通にいい人で、親しみを持てます。
暗いし、残虐描写はあるけれども、人が腐っていないので共感することもできるのでしょう…。
何より、狼種の家族みたいなやりとりには何度見ても、ニヤけさせられます。