NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影 NHKスペシャル [Kindle]
- NHK出版 (2008年5月31日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (283ページ)
感想・レビュー・書評
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数学の未解決難問であるポアンカレ予測とサーストン予測を証明した天才数学者ペレリマン博士。
100年に一度の快挙にも関わらず、フィールズ賞の受賞も拒否し世間から姿を消してしまった。その理由は最後までわからないままだが、新たな問題に今も関わり続けているのだとすると、近い将来、またその名前を聞くことになるのかも知れない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
●あらすじ
宇宙はどんな形をしているのか。近年、この謎に迫る数学の難問「ポアンカレ予想」が、ロシアの天才数学者、グリゴリ・ペレリマン博士によって証明された。ところが、博士は数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞の受賞を拒否し、数学界からも姿を消したのである。世紀の難問はなぜ解けたのか。彼はなぜ失踪(しっそう)したのか。博士の行方を追いながら、世紀の難問に魅せられた数学者たちの100年間の闘いに迫る。
(NHKアーカイブスより引用)
NHKドキュメンタリーの内容を書籍化したもの?だと思います。かなり前に読んで、面白かったので再読しました。「ポアンカレ予想」を取り扱う手前、何度も登場する数学の権威達の難解な話を一般人にも分かるように語ってくれている。取り扱っているものの意味がわかれば、数学って本当に面白い!
それからミレニアム懸賞問題を解いた天才数学者グリゴリ・ペレリマン博士の光と影。「この問題は我々を遥か遠くの世界に連れて行くだろう」というアンリ・ポアンカレの言葉通り、ポアンカレ予想に挑んで人生を大きく変えられてしまった人は少なくない。問題を解いたペレリマン博士もそんな一人だったんでしょうか。
難解だけど、普遍で美しく、純粋な数学の世界。ほとんどそっち側にだけ住んでいるようなペレリマン博士がいつかこっちで話を聞かせてくれるといいですね。 -
これはかなりワクワクはした
まず、ポアンカレ予想は3次元での話だが、それより高次元、4次元以上は、割と早め?に解決したという。
なぜか本丸の3次元での証明が一番難題だったということ
この問題に取り憑かれた人たち、天才的な数学者は、かなりいたようだがいずれも敗北。その中で唯一の光明がサーストン博士の幾何化予想というもの
宇宙がどのような形をしていようが、次の8種類に分類できるはず
という仮説 だがサーストン博士を含め多くの数学者はこの仮説を証明できなかった
ペレルマンがこの仮説を証明し、結果的にポアンカレ予想が解決に至った
面白いことに、トポロジーのど真ん中の問題なのに、ペレルマンが用いた技術には「古い幾何学」に属する微分幾何学が使われたという
また、物理にも秀でいた彼は、熱力学的エントロピーのような概念を援用したようだ
概念的には、シャボン玉を作り出した直後はいろんな形をしているが、ある程度時間が経てば、概ね球になる、ここがエントロピー増大の法則の応用らしい
ただしサーストン博士たちが証明できなかった根源には、シャボン玉が途中で破裂するという機会に対してどう対応するか、という点だった
ペレルマンは、この空間の特異点に関するエキスパートで、見事にこの難点を克服したという
いや〜ワクワク胸が躍る内容でした -
ポアンカレ予想の本、そしてペレルマンによる解決の解説本としてとてもわかりやすかった。その過程における重要人物、サーストンへのインタビューの所がよかった。
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一つの数学の問題を解くため、世間との交わりをたち数学の世界へ深く深く潜った研究者たちの物語。魔力に惹かれ戻ってこれない理由が少しわかった気がする。夢へ潜る映画「インセプション」と似た世界を感じた。,内容・文章は元ネタがNHKスペシャルということで、とても構成が上手。一気に読める。
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米国クレイ数学研究所が100万ドルの懸賞金で公募した数学未解決問題七問のひとつ、ポアンカレ予想。100年間多くの数学者を苦しめ挫折に至らしめた超難問を単独で解決、証明したロシアの数学者グリゴリ・ペレリマン。長く伸ばしきった髭と爪、異彩な風貌だけでなく、賞金辞退という驚きの行動に出る。連絡が途絶え杳として行方がつかめない稀代の天才を追って、ポアンカレ予想にまつわるドラマを辿りつつ実像に迫る。彼の明確な哲学や人生スタイルにはストイックな求道者という表現を超えたものを感じる。
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ポアンカレ予想については、難解過ぎてほとんど理解できなかった。しかしあとがきにある通り、数学の面白さは充分に伝わった。
面白くて一気に読んでしまった。素晴らしい。 -
ソ連崩壊後に米国に渡った人達の中には、『フラッシュ・ボーイズ』で描かれた高頻度取引に関する技術者になった人もいれば、ポアンカレ予想を解いた人もいたんだな、という感じです。
数学的な事は例え話ばかりで、ポアンカレ予想を取り巻く人々のお話として面白かったです。