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感想・レビュー・書評
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天下の傾奇者、前田慶次郎の一代記。傾奇者とは派手な格好と異様な振る舞いで人を驚かすのを愉しむ者だが、前田慶次郎の傾奇く度合いの桁外れなこと。その破天荒な生き方に惚れ惚れする。もちろん脇役の描き方も丁寧。さすが隆慶一郎、失敗がない
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隆慶一郎氏の歴史小説を読んだのは初めて。面白かった!
司馬遼太郎氏とはまた書き方が違うのだが、やはり克明にリサーチして書かれている。本書の主人公は前田慶次郎という武士で、戦国時代終盤から江戸時代に活躍した人である。
歴史小説は、事実に基づいて想像で書く部分も多く、キャラクターをどう描くかが重要になる。慶次郎は「かぶき者」と呼ばれ、つまり派手好きでおしゃれ、戦闘に強く、そして詩歌や茶を愛する文化人でもある。
前田利家の家臣だったが破門されて、牢人としてどの家にも属さずに一匹狼で活動した。有能な助っ人はもちろんいた。その活躍が秀吉の耳に入り、慶次郎は朝鮮侵攻の調査役を任命された。そこで韓国人のパートナーと出会い、その後の人生を共にする。
慶次郎の性格は豪快で、おちゃめである。巨体の馬を野生から手なずけ乗り回し、武器は主に長い槍である。元は忍びといって忍者の家系出身だが、忍者が当時どれほど陰で各地の大名を支えていたかもわかって面白かった。
最初とっつきにくい感じはしたが、慣れてくると読みやすく感じた。他の著作も読んでみる予定。 -
戦国時代の歴史物にちょくちょく出てくる武将前田慶次郎が主役の小説はそれほどなく、この作品が代表作。作者の隆慶一郎は元々脚本家が本業で還暦を過ぎてから小説家デビューした人なのだが、この作品を読むと映像を意識したような描写のため読みやすい。
個性的なキャラの従者達や、創作と思われる朝鮮出兵など楽しい脚色あり。特にラストの慶次郎が河原で踊りまくるシーンは名場面。