隠蔽捜査(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • シリーズがこれだけ続くと、ちょいと先読みできるような
    パターン化されてるような、そんな気がするけども
    文句なく面白い。
    一気読みしてもーた。

    ストーリーなんか二の次なんです。
    我道を迷わずいく竜崎さんのスタンスが、素晴らしい。
    漢気に惚れる。

  • 累計240万部突破! 4冠に輝き、映像化も話題となった超人気シリーズ
    日本が誇る警察小説はここから始まった──

    警察庁と警視庁の違いとは? 警視庁とは、東京都内の警察署を束ねる「東京警察本部」であり、 警察庁とは、日本全国の警察を管理・運営している機関です。 これで、その差は一目瞭然ですね。 つまり警視庁は警察庁に管理される警察本部の1つというわけです。

    竜崎伸也、東大法学部卒。愛想なく冗談ひとつ言わない男。そして、最も頼りになる警察官僚

    「大人の判断だって?それは、臭い物に蓋という古くて役立たずの官僚主義のことだ。今必要なのは、保身のための方便じゃない。どうしたら被害が最小限で抑えられるかという正しい危機管理なんだ」(本文より)

    竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。原理原則を遵守するその朴念仁ぶりに、周囲は〈変人〉という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身命を捧げるべきだ。私はその信条に従って生きているにすぎない、と──。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。

  • タブレットで読む本がなくなったのでシリーズのこの辺りから未読かと購入しましたが、既に読んでいました。久々でしたが抜群に面白くて一気に再読完了です。シリーズ3も再読してみようかと思います。

  • 読んだことあるような、ないような?
    検索してみたけど、ヒットしないから読んでないんだろうけど、似たような設定を知っている気がして気持ち悪い。
    シリーズものだからほかのものを読んでいるんだろうか?
    隠蔽なんてできそうにないわ。ヒヤヒヤ、ハラハラしそうで落ち着かない。隠蔽しなければいけないようなことに遭遇しないようにしようっと。

  • 官僚の世界にはご縁がないけれど、本で読む限り、自由がなく、そして大変。変人として客観的に正しく生きる主人公は好き。以降は本からの引用です//常にうまく部下を使う方法を考え、同時に、いかにして上司を動かすかを考えなければならない。上に立つ者は、常に判断を強いられる。そのときに頼りになるのは、情報だ。人間は失ったものに執着しがちだ。問題が起きたときに、まず何をすべきか、何ができるかを、必死で考えているだけ。

  • いや~面白かったあ~。今野敏さん、オジサンが読むハードな警察小説、みたいなイメージでなんとなく手を出してなかったけど、こないだたまたま読んだ『触発』がすんげえ面白かったので、これも読んでみた。

    主人公は、警察庁長官官房の総務課長っていうバリバリのキャリア官僚。
    都内で起きた連続殺人事件の被害者が、かつての凶悪な少年犯罪の加害者だったことから、マスコミ対応などに追われて奔走することに…。
    っていう、ゴリゴリの警察小説の出だしなので、犯罪捜査が中心になるのかと思ったら、そっちはメインじゃない。
    てか犯人は意外とあっさり判明する。

    まあよく考えたら主人公は現場の刑事じゃないので捜査そのものには関わらないんだよね。

    面白いのが、この主人公の竜崎の人物像。

    最初に出てきたときにはそりゃもう、いや~な感じなのよ。
    学歴史上主義で、東大でなきゃ大学じゃない、くらいの勢い。
    娘は上司の息子と付き合っていて、結婚してくれれば自分の地位も安泰、って考えてるらしい。
    官僚であることのエリート意識もすごい。
    出世欲が強く、カタブツで、周囲には心を許していない。
    つまりなんだか「鼻持ちならない奴」で、この先この主人公に共感できることなんてあるんだろうか…ってちょっと心配になるレベル。
    むしろこのイヤな主人公が、こてんぱんな目に遭って改心したりするストーリーなのか?とか思うくらい。

    対照的なキャラとして登場するのが、竜崎とは小学校時代の同級生で、同じくキャリア組でありながら現場で駆け回るのが好きな伊丹。
    さっそうとしていて、人望も篤いし、いい奴。

    立場上、オフレコの情報交換をしたりするんだけど、この二人の関係が少し微妙。
    竜崎のほうはかつて伊丹の取り巻きにいじめられていたという経験があり、うっすら苦手意識を持っているけれど、伊丹のほうはお構いなしに絡んでくる感じ。

    ストーリーは、連続殺人事件の犯人が現役の警察官ってわかってからが本筋になってくる。
    警視庁、警察庁のお偉いさんたちの間で、この事実を隠蔽しようとする動きが起こる。
    あわせて竜崎は息子が部屋でヘロインやってたところを押さえてしまい、さあ大変。

    てか息子のヘロインについては、ほかに誰も知らないんだし、バレようないんだから黙っとけばいいんじゃないの、って読んでるこっちは思うし、伊丹も「もみ消せ」って言うんだけど、竜崎にはその選択肢はなかった。
    そして、殺人事件の真犯人を隠蔽しようという大きな動きにも、真っ向から立ち向かっていく。

    このあたりから、竜崎って人の性格がだんだん明らかになってきて、俄然面白くなってくる。

    けっしてヒーローじゃないし、声高に正義をふりかざすわけでもないし、器用でもないし、深謀遠慮に長けているとかでもない。けど、はっきりした信念があるの。

    その信念に従った行動と、現状を把握して、やるべきことを的確に判断していく立ち回りにどんどん引き込まれる。

    意外にメンタル弱くて追い込まれた伊丹を、最後に竜崎が救って、お互いが抱えてた複雑な感情が語られる展開も熱い。

    奥さんもこの奥さんでよかったねえ。
    夫唱婦随タイプのおとなしい専業主婦かと思いきや、かなり夫の本質を理解していて、只者じゃない。
    こういう立ち位置の奥さんって、男側が理想とするような気持ち悪いくらいよくできた奥さんか、もしくはすっかり冷めきっちゃって熟年離婚をもくろんでる、みたいなのかどっちかのパターンが多そうなんだけど、この奥さんはなんだか「さっぱりしてる」のが絶妙にいいキャラ。

    夫に不満がないわけじゃないけどそれを溜め込まない性格のようで、「あなたって変わり者よね」「あなたみたいなのを唐変木っていうのよ」「友達いないでしょ」とか言っちゃう。

    息子を自首させる決断をした夫に対して、「あなたは父親としては無能だけど、この決断は正しい」ってきちんと評価してくれる。

    ほかにも魅力的なキャラがいっぱいいて、部下の谷岡も脇役ながらすごく印象的。
    最後のほうでどんどん明らかになる有能ぶりと、竜崎へのセリフ。「たにおかァ~~…!」ってなったよ。

    今野敏さんの人間の描き方、みんな一筋縄ではいかない複雑さを持ってるのがすごく良い。
    ストーリーを動かすためのコマではなく、ちゃんと多面性を持った立体的な人間たちなの。
    くたびれたオジサンでも、妙に魅力的なんだよなあ。なんというか、どこか高潔さがある。そして応援したくなる。

    あーもしかしてオジサン向け作品でありがちな無駄なお色気シーンとかがないのも心地良いのかもしれん…

    これ、続きあるんだね。面白いシリーズに出会えてうれしいなあ。
    署長になった竜崎がどう活躍するか、すごい楽しみ。

  • 原理原則を大事にする竜崎。それはただ法や通達だけなぞることではなく、原則を大切にした即応性のある柔軟なものこそが有効なシステムとする考えには、とても共感した。

    息子の罪を隠蔽しない姿勢も素晴らしい。「何かの工作をすると、それが暴露されそうになったときに、また新たな工作が必要になる。その新たな工作は、最初の工作よりもエネルギーが必要なんだ。〜」にも共感。嘘や隠蔽はリスクが大きい。私もまっすぐや嘘をつかないことをポリシーとしているが、壁にぶつかっているときに、この本を読み、竜崎の姿に励まされた。損をしようが嫌な思いをしようが、自分はこのままでいいんだと勇気をもらえた思いとなった。ラスト近くの部下の谷岡とのやりとりが、何度読んでもグッとくる。多くの方に読んでほしいおすすめの本です。

  • 警察キャリア官僚の竜崎が主人公。官僚らしく出世第一で、家庭を顧みずに国家のために働く姿は一般人が官僚に持っているイメージだろう。とても良い印象には思えない。竜崎は警察庁の総務課長の立場で、警察内部の調整やマスコミとのインタフェースとなる。その中で連続殺人事件が現役警察官が関与していることが分かり、警察幹部は保身に走る。同時に竜崎も息子がヘロインを使用しているところを見つける。竜崎も保身に走ろうとしたが、原理原則を貫き通す。竜崎を含めたキャリア官僚の鼻持ちならない言動で嫌な気になるが、最後は竜崎の正義の行動が気持ち良い。

  • 警察キャリアといえば新宿鮫ですが、こちらはアウトローではなく正真正銘のキャリア。理想の官僚像を地で行く変人。地で行く人が変人呼ばわりされるのも変だけど。途中まで不愉快な主人公の言動も、後半になると愛着が湧いてくるから不思議。最後はホロンとさせるシーンもあって、当然続きが読みたくなるのであった。

  • 人気なのも納得する面白さでした(図書館で結構予約されてました)
    エリート官僚でイケすかないと思っていた主人公が読み進めると、段々格好良く感じてきます

    ご近所カンザカさんのおすすめ本

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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