無理(上) [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
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  • 合併でできた地方都市、ゆめので暮らす5人。相原友則―弱者を主張する身勝手な市民に嫌気がさしているケースワーカー。久保史恵―東京の大学に進学し、この町を出ようと心に決めている高校2年生。加藤裕也―暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン。堀部妙子―スーパーの保安員をしながら新興宗教にすがる、孤独な48歳。山本順一―もっと大きな仕事がしたいと、県議会に打って出る腹づもりの市議会議員。出口のないこの社会で、彼らに未来は開けるのか。

  • いつもながら、奥田英朗は、本当に上手い。
    「最悪」「邪魔」に続く、救いのない群像劇シリーズ(?)の第3弾。
    5人の登場人物、それぞれに降りかかる展開が強烈。
    書き分けも見事なので、読んでいて混乱することもない。
    流石奥田英朗だなぁ…これが後半、どのように絡み合っていくのだろうと期待しながら読み進めた。
    「最悪「邪魔」では、その絡み合い方も見事だったので、大いに僕は期待した。
    しかし…。

    上巻だけなら、4つ星以上なんだけれどなぁ。

  • 合併で生まれた地方都市・ゆめので、鬱屈を抱えながら暮らす5人の男女―人間不信の地方公務員、東京にあこがれる女子高生、暴走族あがりのセールスマン、新興宗教にすがる中年女性、もっと大きな仕事がしたい市議会議員―。縁もゆかりもなかった5人の人生が、ひょんなことから交錯し、思いもよらない事態を引き起こす。

  • 裏表紙の「5人の人生が、ひょんなことから交錯し、思いもよらない事態を引き起こす」はちょっとちがう。「思いもよらない事態に陥る」でしょう。様々な登場人物の描写がうまい。それぞれの職業や宗教の取材もきちんとしたんだろうな。最後近くまで5人がどう絡むのかわからず気を持たせる。それにしても地方都市ってそんなにつまらないか?地方都市のいいところは何も書いてない。

  • それぞれ個性が強い登場人物。
    これからどーなるの!?
    下巻に続く…

  • 奥田英朗の群像劇小説。


    特色のない中途半端な地方都市にくらす、

    残念な人間たちを描く。


    離婚した公務員つとめの男。

    生活保護のケースワーカーの仕事のストレスから買春に走る。


    都会を夢見て真面目に勉強する女子高生。

    途中で引きこもりの男に拉致換金される。

    唯一の単なる被害者かな。


    偽の電気保安器を、一人暮らしの高齢社宅に訪問販売で売り歩く元ヤン男。

    金を掴むため仕事に精を出すも、

    元ヤンならではのトラブルに巻き込まれる。


    スーパーの万引き保安員の仕事にハマる中年おばさん。結婚はしておらず、万引き犯を捕まえた際の優越感に浸るのが唯一の楽しみだが、途中で新興宗教にハマりトラブルに巻き込まれる。


    親から地盤を引き継いだ地方議員。

    一応地方のための仕事もして、一応のビジョンもあるが、自らの利権の確保もずっぽり。先代からのヤクザとのつき合いもあるが、最近の利権追求の流れ、市民団体の突き上げへの対応を誤り、堕ちていく。


    このメンバーを軸に物語は進むがこれ以外にも残念なメンバーがてんこ盛りで登場。だが今の日本の状況をみると、こんな人間たちが居ても何ら不思議ではないと思えてくる。


    中央集権と個人主義、

    チェーン店進出による地元産業の破壊。

    地方の衰退から起こる格差や断絶がテーマ。


    作中で買い物狂いの議員の妻が、


    「地方には知識層も富裕層も存在しない」


    と、自分を棚に上げてぼやくが、

    これは事実そうなりつつあるのかもしれない。


    物語にでてくる唯一の富裕層は汚職地方議員と公務員。それと詐欺商品を売り歩く会社の社長くらい。救いがない状況。


    最後の終わらせ方はちょっとご都合主義が過ぎて好きじゃなかったけど、テーマ的には興味がもてて面白かった。


    奥田英朗好きなら間違いない。

  • 2018.9.4
    終わってるー(T-T)
    早く動き出せー!まじわれー!!

  • 夢や希望もない内容ではあるが、読み始めると上下巻合わせて、700ページもあるのに、あっという間に読めてしまう。
    テンポは良い。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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