その日のまえに (文春文庫) [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 家族や親しい人の死をテーマにした短編連作小説。余命を宣告された妻を見送る夫、その2人の息子のストーリーを「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」の3編にわたって描くほか、文藝春秋に掲載された4つの短編が収録されている。

    初めて重松清を読む人でも読みやすい内容。人の死とどう向き合い、どう受け入れるのか。その人の級友、友だち、家族、親…それぞれの目線からの視点で描かれています。
    「その日のあとで」では、今までの話で登場した人も出てきて、その人のその後を知ることができました。

    読みやすいだけに話の展開が分かってしまい、少し退屈に感じてしまいました。等身大の登場人物を見ていると、自分はこんなに綺麗で素直な気持ちになれるかな?と冷めてしまう部分がありました。

  • あとがきによると、著者が古希の司会をすると約束した恩師を亡くしてしまったことが本書を書くきっかけになったとのことだ。
     本書を読むと自分の身の周りの人たちの『その日』が突然くるかもしれないということに気づく。
     今死んでも後悔はないと思ったことが、幼き頃にあったが(恥ずかしい)本当に死んでたら両親悲しむよなって当時は思い至らず、親にならないと分からないわよと母親からよく言われたがホントそうである。
     順番を守って、健康にそこそこの頃合いにぽっくりと逝くが最高である。

  • 自分はどのようにして「その日」を迎えるのだろうか。去る方も辛いが、遺された方も辛い。自分の家族が亡くなった時、耐えられるだろうか。

  • 人の死をテーマにした短編集。読んでて辛いですが、人の死に真正面から向き合った内容で良い本だと思います。

  • ーー「終わり」を実感した直後から「残された時間」が輝き出す。
    本書には「人生の終わり」を実感した登場人物とその家族の「残された時間の輝き」が綴られている。

    重松清さんの紡ぐ文には、この「終わり」がかける魔法に近い力が宿っている。

    重松清さんの文を読むと、生活の解像度がグンと上がるからだ。
    手垢が付いてどうにも鈍ってしまってた感覚器官が磨かれていくのを感じる。

    すると、見慣れた生活空間で交わされるお決まりメンバーとのやりとりの中に、ハッとする瞬間が訪れるのだ。僕はこのような発見を一緒にいる人たちとひとつでも多く共有したいと願っている。

    だからまた、重松清さんの作品を読みたくなるのだ。

  • ひこうき雲

    子どもにとって死ってどんな風に映るのかなぁというのを上手にかかれていました。

    例えば親や兄弟、親友が死んでしまうかもしれない、死んでしまったとなれば、100%悲しんで泣き喚くことができるけれど、どちらかというと嫌いなクラスメイトの死(の予感)への恐怖や不安感は、どんな風に表現したらいいかわからない。
    多分亡くなってしまうのだろうと子どもながらに皆察していて、決して茶化したりしてはいけないというのもわかっていて、
    色紙には自分の言葉ではなく”書くべきこと”を書いてしまう。
    死 って安易なテーマですけれど、本当に恐ろしい。恐怖ですね。日常と共にありながら、普段はまったくもって息を殺していないふりしてきて、本当に突然に現れますから。

    その日のまえに・その日・その日のあとで

    主人公の奥さんが病気で亡くなってしまう話。
     和美に「お帰り」と言ってやりたかった。昔 まだイラストレーターとしえ一本立ちする前、仕事帰りの和美を駅まで迎えに出て「お帰り」を言っていた頃のように。
    ってところだけ何故か泣けました。
    やっぱり 死 を扱う話って嫌いです。お前に言われなくても分かって生きてるよといつも思ってしまうので。

  • 読み始めは切ない話ばかりで、なかなか読み進められなかったのだが、それぞれの話が絡み合って「その後」の話となってきたところからは一気に読み終えた。周りの人との「別れ」が珍しくない年になってきたこの頃だけに、身につまされました。

  • ふわっとしていた死について考えさせられた。死ぬことは自分のことであれば受け入れられるだろうけど、残された人のことを思うとやりきれない思いを抱いてしまう。今一度生きる意味のあり方について考えてしまった。

  • イノチを主題とした連作短編集。
    いろんな’生きてきた意味’、’死んでゆく意味’があり、終章でそれらがつながる。
    自分自身の、家族の、今を、これからを、そしてこれまでを思い、思い出しながら読了。
    今は光を失ったこの目に皆の笑顔を浮かべつつ。

  • 神さまは意地悪だから、大切なひとを遠くへ連れ去ってしまう。昨日までの暮らしが、明日からも続くはずだった。それを不意に断ち切る、愛するひとの死。生と死と、幸せの意味を見つめる連作短編集。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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