- Amazon.co.jp ・電子書籍 (292ページ)
感想・レビュー・書評
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どこか冷めた雰囲気のある死神・千葉は、対象者を一週間調査し、死について「可」「見送り」の判断を下す。
「可」とされた者は八日目になんらかの理由で死亡する。
本書は、死神・千葉が出会う6人の人生最期(となるかもしれない)の一週間についてまとめた短編集である。
死神であるがゆえに、人間とは一際異なった視点から描写される人間の模様はある種滑稽であり、また、ある種奇妙に映るかもしれない。しかし、それゆえに人間の行動は美しい。
人間は時に必ずしも理性的ではない行動をとる。それは任侠や愛情、義務感など理由は一つに限られないが、死神からみればそれも含めて「面白い」のだろう。
伊坂幸太郎の放つ異彩なファンタジー。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
死神の千葉は対象の人間を調査し、その人間が死を迎えることに対して「可」か「見送り」を判定する。人間の生死に興味はない。ただミュージックを聞くために期間いっぱいまでこの世で調査する。でも、きっと人が嫌いではないのだろうな。生死に興味はないが、思考や行動、生死観は理解しようとする。ただ対象の人間がどんなにいい人でも、死神は死神、判定は「可」がほとんど。でも、千葉のキャラクターもあって、嫌な気は全然しない。
気になるのは、なぜラストに空は晴れたのだろう? -
伊坂幸太郎作品の中でも特にオススメとしてよく挙げられる今作。主人公の性格のせいか、かなり淡々と進みますが、だからこそページをめくる手が止まらない。
伊坂さん作品では伏線を回収する瞬間の爽快さが好きで短編集は避けていたのですが、Kindleのオススメにあまりにも出てくるため読んでみました。読んでよかった、、、!
ある男『千葉』と、6人の人間との短い物語を描いた短編集。
千葉は【人の死を見定める】ことを仕事とする死神である。『興味の無いことでも全力でやるのが仕事である』ことを信条とする彼は、死にゆく予定である人間と関わることで生死を見定めようとする。
基本は『可』(死亡)、たまに『見送り』(生き続ける)の判決を下す彼と人間たちの6つの物語。
千葉の、人間を『人間という生き物』として見てる視点が良い!まるで飼育している動物の観察記録のような、『人間はこういう傾向がある』などのセリフに時々クスッと笑ってしまいました。
どの回でも『これから死んでしまう人の話』と思うと、面白さと同時に切なさも感じてしまい常に少しずつ胸を締め付けられるような感覚、、、。
でも、千葉がかなり冷静に『これから死ぬのに』と述べているため、私も客観的に彼らの人生を見ることが出来ました。
ちょこちょこ伏線回収をしながら、他の短編にいた登場人物が出てくるなど、短編集だけど話が一貫していて面白い!
それぞれの話でその人の最後まで描かれずに終わるため、最高に想像力が掻き立てられます。伊坂さんらしくていいな〜って沢山思える短編集でした!
どなたかの感想でもありましたが、『千葉はきっと人間が好き』という意見に激しく同意します。きっと『愚かだからこそ好き』みたいなツンデレ(?)のような気持ちでいそう笑
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「死」と向き合うことは平凡な人間にとっては決して簡単なことではないし、ましてや受け入れるなどということは尚更難しい。
が、千葉のような「神」に出会ったらなんだか淡々と受け入れることが可能なのではないかと思わされる。
最後の「死神対老女」で、実は話が連鎖していることがわかる。悲しい連鎖もあるがちょっと胸を締め付けられるような暖かさを秘めた連鎖もあり淡白に進んでいく物語の中にひきこまれます。 -
読み物としては面白いが全体的にフワッとしていて読み応えは無かった。感想も何かが印象に残った訳でもないので特に無し。私に合わなかっただけでしょう。
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「微妙な嘘は、ほとんど誤りに近い」
クールで、世間知らずで、やたら本質を抉り、ミュージックを愛する雨男の死神が見送る6つの人生
伊坂本4作目、現時点で一番好き。世界観、構成、人物の魅力に震えた!
そしてこの設定…100日後に死ぬワおや誰か来た様だ -
死神が主人公の短編集。ミステリーや恋愛などがあり楽しめました。重力ピエロの春くんが出てきます。
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『やべーな。伊坂ワールド』
今回は死神の話。その人は生きるべきか。死ぬべきか。死を判断するために、一週間調査し、『可』判定をくだされると、その人は八日目に死んでしまう。今回は6名の生死を判定しますぞ。『恋愛で死神』の話が個人的には好きだと感じながら、最後の『死神対老女』で伊坂ワールド全開!!くっ、人は一人で生きてはいない。って感じる。
『微妙な嘘は誤りに近い』
うん。いいね。 -
千葉の死神ならではの視点、物言いに考えさせられることが多々あった。
死は特別なことじゃない、でも人にはそれまで送ってきたそれぞれの人生があって、最期に思い返したり、後悔したり、それでも全部受け入れて満足したい。
こんな事を考えるのが人間という生き物だし、もちろん死神なんかではない、自分も例外ではないだろう。
私はまだ若いが、それはまだ死なないという保証ではない。色々な苦労を乗り越えて、古川さんみたいに歳をとっていけるのか、それとも早々に「可」を通達されてしまうのか。
どちらにしても、作中に登場したそれぞれの人生を噛み締めて、これからも私は自分の人生を紡いでいく。