悪魔祈祷書 [Kindle]

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  • 2012年9月12日発売
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感想・レビュー・書評

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  • "悪魔の書物"が古本屋のオヤジの作り話だとすると、大学教授に起こった"不幸"は何故なんだろう……?

  • 「聖書を万引きするなんて、なんと罰当たりな!」と責められるよりも、自称法律を学んだという低姿勢な古本屋のオヤジから「道徳なんてくだらないですよね(そう思っておられるのですよね)」的な話でジワゾワと圧をかけられる話。
    万引きという悪を犯した人物が、この書がきっかけで、妻の不倫という悪を疑う。悪の連鎖を引き起こす、まさに悪魔祈祷書。
    ちょっと考えすぎかな?

  • 短編で読みやすいものでありながらもしっかりと内容が詰まっている印象を受けました。
    悪魔の聖書のようなものが本当にあったら、そんな想像をしてしまわずにはいられません。

  • 聖書の中に出てくる悪魔も神の言葉を歪めて話しているので、実際に「悪魔の聖書」があったらこんな感じなんだろうなと思いました。
    夢野久作らしい奇妙な世界観が良かったです。こんな怪しげな書店にちょっと行ってみたい。

  •  本好きな大学教授が雨宿りに寄った古本屋の主人から、恐ろしくて不思議な「悪魔祈祷書」という本についての物語を聴く話。一見聖書のような構成で書かれた、悪魔の書があるという。

     全編を通して、古書店主人の語り口調で綴られる物語なので、本編の「悪魔祈祷書」の内容が語られるまでの前置き(無駄話)が少し長い気がするが、もちろんそこも伏線のうちだったことが明らかになる。

     古書店主人から語られる「悪魔祈祷書」の内容を聞いているうちに、オカルト界隈では有名な「ギガス写本」のことかな?となんとなくピンとくる人もいるかも。おそらく元ネタはそれっぽい。

     1930年代に発表された比較的古い作品だけど、現代では「はいはい陰謀論ね」で片付けられてしまう●スチャイルドの話や、陰謀論の礎となるようなユダヤや聖書のことがいろいろと書いてあって、今読んでもとても興味深く面白い。

     短編なので1時間あればすぐ読める。休日のよい暇つぶし。
     夢野久作初心者におすすめ。
     

  • 古本屋の店主が語る不思議な話。古本屋に関する蘊蓄も。
    結局、『悪魔祈祷書』はフィクションだったんですか?
    キラリと光る才能が詰め込まれた名品。
     https://sanshirou.seesaa.net/article/491985233.html

  • 古本屋の主人が大学教授相手に聖書に見せかけた悪魔祈祷書を手に入れた話をする話。

    全編に渡って古本屋の主人のしゃべりという体で書かれているので、つまらん挨拶や雑談が入ってきてめちゃくちゃ前振り長いな!と思ったけど、そんな雑談ももちろんしっかり物語の筋に関わっていた。

    悪魔祈祷書の内容部で、たびたび神に対する悪魔的なものとして科学が位置付けられている。意味はわかるが、神よりも科学を信じることの方が当たり前になっている今に生きる私にはピンとこなかった。
    宗教と科学、科学による真理の解明によってどれだけ宗教が困ったのか、その歴史を知りたくなった。

    「神は弱者のためにのみ存在し、弱者は強者のためにのみ汗水を流し、強者は又、悪魔のためにのみ生存せるもの也」
    これは痛快。悲しいけど。悪魔的な欲がないと強者にはなれない。

    悪魔祈祷書の不気味さが加速していったところで急なほっこりネタバレ
    と見せかけてしっかりと別の不気味さが残る、夢野久作を求めて夢野久作読んだら、そうこれ!これが欲しかった夢野久作!ってなる感じの作品だった。

  • 世界の最初には物質あり。
    物質以外には何物もなし。
    物質は欲望と共にあり。
    欲望は悪魔と共にあり。
    故に物質と欲望に最忠実なるものは強者となり悪魔となりて栄え、
    物質と欲望を最も軽蔑するものは弱者となり神となりて亡ぶ。

    #読了

  • 古本屋の主人の独りがたり。

    ある日この店に手書きの聖書が持ち込まれる。なんの変哲もないと思っていたが、読んでみると悪魔崇拝と毒薬に関する本だった。しかも、その本は先日盗まれたと言う。

    そこで青くなったのが、話を聞いていた教授。先日家の者にその本を貸したら、妻は流産し、子供は死んでしまう。これは毒をもられたのだと思ったところで、主人のネタばらし。


    本当はあの本は本物の手書きの聖書であり、黙って持ち出した教授を困らせようと、古本屋の主人のついた嘘だった。

    でも、だったら実際に起こった不幸は偶然だったってこと?悪いことはするものじゃないね。

  • つーか、こわいわ。

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著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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