ジーキル博士とハイド氏の怪事件 [Kindle]

  • 2012年9月13日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 『ジキルとハイド』二重人格。
    こう言われることは知っていた。初めて小説を読んでみて、なるほどこれは納得。ただし、小説は巷で使われる言葉以上に奇妙だった。おもしろい。

    大丈夫、私だって狂ってる。普段は格好つけてるだけ。
    少なくとも共感できる部分もあるし、自分の抑制された狂気を想わずにはいられない。私たちの持つ本能的な欲望や怒りは、狂ったモノでは無いと考える事ができる一方で、決して表には出せないモノである、と理性は言っている。でも、どちらが本当の自分なのか、本当はわかってる。だからって......あぁ、逃遁の邑(逃れの街/罪人を庇護する街)とは、なんと下等で魅力あるものか。そんなものがあれば、誰だってハイドに心奪われてしまう。

    読んで良かった。

    読了。

  • ジキルとハイド=二重人格の代名詞と言われるほどの古典名作、もちろん知らなかったのですが偶然にも目に止まり読んでみました。19世紀末期の作品ということで、翻訳の難解さを多少覚悟していましたが、非常に理解しやすい訳文で世界観にのめり込むことができました。

    二重人格物と銘打っているので、事件の核はもうある意味ネタバレされている。その中で、人間の善と悪の二面性に深く言及しており、抗えない悪への欲求、自制心の崩壊、罪悪感からに蝕まれる精神の行方、と特に後半部分の読み応えは半端ない。世の中の道徳心に一石を投じる、今も読み継がれているのは必然というに値する、素敵な作品でした。

  •  青空文庫より
     弁護士のアッタスンは、ジーキル博士からとある遺言状を託されていた。それはハイドという男に自分の財産を相続させる、という内容の物だった。博士の真意を測りかねるアッタスンだが、そんな中ハイドが殺人事件を起こして……

     この本の構成からすると、世間に認知されているあらすじはネタバレも甚だしいですね(笑)。てっきり博士の一人称の話かなと思っていたのですが、アッタスン目線で話が進んでいくので、あらすじを知っていなければ途中まではミステリとしても読めそうです。

     しかし名作と呼ばれるだけあってネタが分かっていても、ぐいぐい読ませます。特にラスト部分の手記はまさに人間の善と悪の部分の葛藤をジキルとハイドの二人の存在を通してくっきりと浮かび上げています。

     ジーキル博士とハイドを善と悪の二分に簡単に分けるのでなく、ジーキル博士を善と悪の混ざり合った人間だと、述懐させているのがこの作品の文学性を底上げしている気がします。よく自我の話で理性と本能の話がされますが、それに関してこの本のことが言及されるのも、ジーキル博士を単に悲劇の善人として描かなかったからだろうな、と思いました。

  • 誰もが名前を聞いたことはあるけど、実際に読んだことがある人は少ない代表的な小説の1冊。非常に明晰な頭脳を持ち、社会的な地位も高いジーキル博士と残忍ない性格を持ち快楽主義者の裏人格を持つハイド氏の2面性が読んでいて面白い。

  • ヘンリー・ジーキルとは、なんと自己憐憫の強い身勝手な奴か。罪を償え。善人と悪人の表裏一体のようにたとえられるが、ジーキルの方に憤りを感じる。

  • 性格の2面生を書き表した作品といえど、作中でのジキルとハイドは全くの別人であり、かつ、性格も真反対だったため、同一人物のトリックが、種明かしの場面までさっぱり分からなかった。よくできている作品だと思った。
    自分の負の部分だけが化身となったハイドを毛嫌いしているものの、同一人物とだけあってどうにかして罪を免れようとする姿、反省する姿は、人間の心の弱い部分を移しているように思えた。

    だいぶ昔の作品なので読みづらいのかなーと思っていたが、思っていた以上に分かりやすくて面白かった。

  • ジキルとハイド=二重人格を示すくらいの有名作品。
    最初は冗長に感じたけれど、ジキル博士の書からは止まらなかった!

    善悪どちらにも真剣で、どちらも同じように自分自身。
    そう言いつつも、悪のハイドはひた隠している所が人間くさいと思った。

  • 面白かったーーー!

    そんなに長い小説じゃないのに、この読み終わった後の充実感と満足感。さっすがスティーブンソ。
    この2面性のキャラの確実さと、それぞれの個性に絡まる狂気と慈悲。
    深く嵌りこんじゃって、抜け出せなくなった一つの体。
    単なる二重人格以上の怖さが溢れてて面白かった。

  • 面白いような面白くないような。有名な小説なので読んでみたものの、現代においてはあまり珍しくないテーマだからか、面白みはあまりないかな。

  • 「また、私のこれまでの生活は結局十分の九までは努力と徳行と抑制との生活であったから、その悪の方は、善の方よりも使われることがずっと少なく、消耗されることもずっとすくなかったのである。」

    ジーキル博士は善良な市民だった。ある薬により自分が悪の面を押し出した人物(ハイド氏)に変身できるとわかった。内面だけではなく外面も変わった。

    悪を発散させるのはとても気持ちがいいものだ。ところが、ジーキル博士に戻った際に、それは理性が嫌悪した。心の奥底では悪行を楽しんでいても。

    いつからかハイド氏から戻れなくなる恐怖を感じ始めた。最後、博士は自殺した。

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