杜子春

著者 :
  • TRkin (2012年9月13日発売)
3.90
  • (37)
  • (50)
  • (41)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 480
感想 : 62
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・ゲーム (19ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大学の頃に読んでたら、芥川研究しているゼミに入ってただろうか。うーん…入らんだろうな。徹底的に学術的に深掘りするより一読者として気楽に読む方が自分の気性に合ってるな。何故ここ数週ちびちび芥川を読んでいるかというと、友人の結婚式で「久しぶり!覚えてる?」と声を掛けてきた女性が大学時代の同級生で学部学科まで同じ、そして芥川研究のゼミ所属だったからだ。なんとなーく、久々に読んでみっかという気になったのはこの女性のおかげである。女性との再会より芥川との再会に喜んでいる。笑

    杜士春、なかなかに情景が浮かんでくる。頭、胸、腹ときて、大金持ちという幸せと引き換えに身体部位が弱っていく話か?なんて流れを想像してみたり。いやいや、杜士春はもう金なんていらなかった。人間の薄情さをまじまじと見せつけられて疲弊していた。弟子入りしたい杜士春に仙人から試練を与えられ、最後に試されたのが人としての情であった。ついその前に愛想が尽きた人の薄情を知っていた彼は、どんなに自身が突き殺されようと、地獄で無慈悲な扱いに遭おうとも、鞭を受ける父母の悲痛には耐えられなかった。人としての愛情を失わずにいられた彼は「何になっても、人間らしい、正直な暮しをするつもりです」と仙人に答える。
    俺も、欲に惑わされず愛情を持って生きたい。AIに負けないのは最後、愛なのである。

    【読了時間:14分 / 1日】

    • やまさん
      ぐうさん
      おはようございます
      やま
      ぐうさん
      おはようございます
      やま
      2019/11/10
  • おとぎ話を楽しむには、少々歳を取りすぎたやうです。教訓があるならば、無理に探さず、自ずと気づくべきものなのでせう。
    一つだけ、地獄の責め苦にも声を上げなかった杜子春が、打ちひしがれる母の顔をした馬に「おかあさん」と言ってしまう場面にはホロッときました。

  • 2021.04.11 読了。

    青空文庫。
    「日本昔ばなし」的な話。
    芥川龍之介って割と読みにくそうなイメージであまり進んで読むことはなかったけれど、読んでみると、普通に読みやすい。

    さすが短編の天才。
    大正時代にこんな話があったのかと思うと逆に新鮮。
    現代でも普通に通じる面白さ。
    他の作品も読もうと思う。

  • ◾️感じたこと

    口をきいてはいけないので読む側も苦しくなる。。


    小学6年生のときクラスで杜子春の劇をやって杜子春役をしたが、実は当時杜子春をあまり理解できていなかった。

    ストーリーはわかるが、少し大げさに感じたしそれに対して結末は普通に感じる。
    それがポイントなのかもしれないけど。

    みんな大体同じような暮らしをしていて低迷した日本経済の中で杜子春は非現実的な人物に思えたのかも。


    今読み返しても少し物語に入るのが難しい。

    ただ母はとても強いなと思う。息子を思う愛情を感じとって杜子春が声を出したので良かったと思う。



    ◾️あらすじ

    唐の都洛陽の放蕩息子杜子春。
    ( 実際唐の都は長安だが都として馴染みのある洛陽に変更したらしい )

    仙人・鉄冠子と会い二度も金持ちになるが、
    金がなくなると離れていく人間に愛想をつかせる。

    今度は仙人になろうと仙人の厳しい修行(どんなめにあっても口をきかずに黙っている)に耐える。

    途中父母が鞭打ちにあい息子を想う母の優しさを感じ声をあげる。

    「何になっても、人間らしい、正直な暮らしをするつもりです。」と仙人に告げる。

    仙人はその言葉を忘れるなと、一軒の家と畑をやると告げ去る。

    ◾️印象に残った部分

    ・母親はこんな苦しみの中にも、息子の心を思いやって、鬼どもの鞭に打たれたことを、怨む気色さえも見せないのです。

    → 母強い。

  • 何になっても人間らしくって言葉に、自分を省みようと思いました。

  • この、ザ・日本昔ばなし的な展開なんだけど、それにしても定番でも引き込まれるのはさすが。
    仙人が喋るなって言うから黙ってたのに、まさかのあっさり殺されるのも、うほって感じだし、ハゲタカに目をついばまれるとか、いや痛いからっていう展開でも声を出さないのも、なんか別の意味で怖くて映像化は無理だし、まぁ色々あったけど、メデタシメデタシだった。

  • 読後感が良い。流石は芥川龍之介という感じ。
    内容はさることながら、昭和の文豪と呼ばれる方々の情景描写における鋭さというか夢幻の美しさというか、そういうものがすごく好きです。

    原典では地獄に落ちた後女に生まれ変わり、夫に赤ん坊を叩き殺された時に杜子春が悲鳴を上げてしまったところで現実に戻り、仙人は声を出さなければ仙人になれたのに、と突き放したそう(道教的思想らしい)。芥川のハッピーエンドは大乗仏教的思想らしい。なるほどね。
    “西岡晴彦は、日本の中国文学研究者は幼児期に芥川作品を読んだことの影響で、原拠小説に接したときに解釈にある種の歪みをもたらしてはいないか、と提起している。”(wiki)
    確かに解釈歪みそうだよね。

  • 仙人によって2度大富豪にしてもらうも、お金の使い方を誤り2度とも大失敗する杜子春。
    私が仙人だったら1度目で彼のことを見放すけど、この物語の仙人はとても優しい。彼が自分も仙人になりたい、と言うとちゃんと一度引き受けてくれる。
    結局仙人の言いつけを破ってしまうも、今後は人間らしく正直に生きていくと決めた杜子春に自分の所有する家と畑までくれる太っ腹…。
    終わり方がスッキリしててとても好きだった。

  • 深い話だな。よい結末でよかった。

  • 幸福って何だろう?と考えさせられた。
    金持ちになって人を集めることでも、道徳を高く積むことでもなく、人間らしい正直なそして愛のある暮らしをすること、だそうだ。一見ぱっとしない日常の積み重ねこそ、最も素敵な暮らしなのかもしれない。よし、明日も頑張ろう!

芥川竜之介の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×