少年は残酷な弓を射る [DVD]

監督 : リン・ラムジー 
出演 : ティルダ・スウィントン  エズラ・ミラー  ジョン・C・ライリー 
  • 東宝
3.68
  • (46)
  • (122)
  • (95)
  • (18)
  • (2)
本棚登録 : 689
感想 : 113
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988104073969

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 自由奔放に生きてきた作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)は、キャリアの途中で子供を授かった。 
    ケヴィン(エズラ・ミラー)と名付けられたその息子は、なぜか幼い頃から母親のエヴァにだけ反抗を繰り返し、心を開こうとしない。 
    やがてケヴィンは、美しく、賢い、完璧な息子へと成長する。 
    しかしその裏で、母への反抗心は少しも治まることはなかった。 
    そして悪魔のような息子は、遂にエヴァのすべてを破壊する事件を起こす。
    アーティストとしてのキャリアが登り調子のエヴァは、心から息子ケヴィンを愛していなかったのかもしれない。
    それを何気に気付いていたケヴィンは、母エヴァの関心を引くために、妹をいじめたり、母エヴァのアトリエをめちゃくちゃにしたりなど、していた。
    母エヴァの関心を引くために残酷なことも平気でする サイコパスに、ケヴィンはなってしまう。
    母エヴァが、はじめてケヴィンに向き合う面会室のシーンは、重い後味を残す衝撃のシーン。真っ赤な色が映画全体を染めているような印象のサイコサスペンス映画。

  • ~✄~超過敏で過激なモンスター~✄~

    観終わった後、ずーっと考えてみた。

    子供を愛せない母親、母親を愛せない子供って
    果しているのだろうかと、・・・いると思う。

    血が繋がっていようが基本は個人、環境や相性ってもんがある。

    望まない妊娠をした時点で、お腹の胎児は母体に
    敵意を持ったんだと感じた。

    この子はモンスターである、超過敏で敏感で過激なモンスターだ。

    どう行動したら母親を打ちのめすことが出来るのか
    オムツの時から囚われているのだから凄い。

    家族も学友も殺してやるぞ!
    という殺人鬼に成長したのだがラストがちょっと弱い。

    自分の子供が大量無差別殺人やったら、
    その本人や家族の問題どころじゃない。

    被害者を考えると徹底的に崩壊してしまった方が
    救われる気がしました。

    う~ん、面白い。

  • 自由と成功を満喫していたライターのエヴァは、恋人との間に予定外の子供を授かる。ケヴィンと名づけたその赤ん坊は、エヴァと二人きりの間は火が付いたように泣き続けるのに、夫に抱っこされると大人しい。それは成長しても続き、夫の前ではいい子だが、エヴァには憎悪に満ちた視線を送り、度の過ぎたいたずらを繰り返す。

    町の人々から毎日のように様々な嫌がらせを受ける、憔悴しきったエヴァの回想で物語は進んでいく。上品なお婆さんから道の真中で平手打ちされたり、家や車に赤いペンキをかけられたり、スーパーで卵を潰されたり。普通ならそこまでされたらノイローゼになるか、耐え切れずに町を出て行くだろう。ケヴィンのために住み続けるのは母性による本能ゆえなのか。果たしてエヴァに母性はあるのか。
    ラストでエヴァに「なぜ?」と尋ねられた時のケヴィンの表情が切ない。人によって解釈が分かれる場面だが、私には「この人は分かってくれていなかったのか」という驚きと絶望の表情に見えた。できるだけ早く母の元へ戻ろうとしていたのに。そして邪魔者が消えた家で母の愛を今度こそ独占し、試したかったのに。「分かっていたつもりだったけど、今はもう分からない」というセリフも、母親への失望から出たのではないかと。

    実に難解な映画だったので、他の皆さんのレビューも読んでみたのだけど、見事にそれぞれ解釈が違っている。子供を育てた経験の有無でも感じ方が変わるのだろう。それでものめり込んで観ることができて、エンドクレジットが流れると同時に大きなため息が出るような、記憶に残る重厚な映画だったので星5つ。ネタバレを読んだ後でも十分に楽しめる内容だと思う。
    なにより、ビョルン・アンドレセンの再来かと思うようなエズラ・ミラーの美しさは圧巻。それが目的か!と言われればまあそうなんだけど。
    そして、久しぶりに邦題のセンスの良さにも感動。

  • 「これを見ている人はこれも〜」からたどり着き、
    『やがてケヴィンは美しく成長』で釣られて来ました。
    想像とは違ったどころか、ティルダ様クラスの作品だと思わず、のけ反りました。

    最初の感想は、厨二○○ガキが何故こんなにも余韻の残るラストになるのか理解できず困惑しました。
    リプレイの感想は、とても歯がゆくて、切ない。母の主観では苛つくことも、全てサインだったことが良くわかる。これは気が付かないよ…でもこれは気付いてあげて…と、惨劇の要因に成り得る決定的選択ミスは、いたたまれません。打ち解けたかと思ったら翌日は別人のようだったり、そんな繰り返し。
    ラストでは、ずっと求めていた心からの愛情が認められたのか、また繰り返すのか。一生親子である二人の今後はようやく一歩進んだようでした。


    小児科のピエロ診察室や、クマ大好きな小道具。
    クレヨンとシリアルを壊す演出。
    当てつけのようにずっと同じTシャツなのは、終盤では特に意味深。
    そして、報復シーンからクリスマスソングに至るまで、的確な選曲で展開や心情が表現され、どれも圧倒的でした。(shazamが止まらなかった笑)


    親子は表現の違いでトラブってしまいましたが、被害者の中でも妹はちょっと可哀想すぎないかな。
    ペットが失踪して悲しんでたら、片目つぶされてますし。それでも天使のような彼女が、彼にとっては一番の邪魔者だったのも哀しいすれ違い。いくらでも切なくなってしまいます。

  • 自分の子供を愛せない母親と、形はどうあれ母の愛を求める息子の映画だったと思う。

    前半まではただただ胸糞が悪い映画。加害者家族として街中から嫌われる描写と、母親になる覚悟もなく子供を作って、その子に個性を説くのに、その息子には自分の考える母子像を求め続けた過去の描写が入り混じってとにかくムカムカ。

    後半、少しづつ母に愛されず育ったケヴィンの歪みが形になり始めるあたりから緊張感がまして来て画面に見入ってしまった。

    ハイスクールの生徒を弓で射るというのはコロンバイン高校銃乱射事件とかの影響なんかも入ってるんだろうけど、幼い頃熱を出した時にロビンフッドの絵本を読み聞かせて貰い優しくされたのが唯一母に甘えた記憶だからなんだろう。その”弓”で大量の人を射殺し永遠に母を呪縛する。

    でも何より、幼いころからエヴァを睨めつけるような”目線”こそが、彼女の息子を本当に愛せていないという罪悪感を揺り起こさせ縛り付ける弓矢なんだろうと思った。

    事件の後ひたすらに怯え暮らすエヴァだけど、ケヴィンの服を着て、彼の部屋の様子と同じ部屋に住み、初めて彼と向きあおうとしてるのかな?と思った。

    事件前にはあんなに不敵だったケヴィンも、初めて彼女が彼を愛そうとしてくれるのを察して困惑しているみたいだし。

    ケヴィンの悪魔的な部分は、器質的なものもあるのだろうけど、やっぱり母に愛されていないというのが多大に影響しているように思う。
    私的にはこういうラストは嫌いではなかったけど
    最後まで不敵なケヴィンも見てみたかったなーとちょっと思った。

  •  過去と現在の行き来が激しくて、ちょっと辛抱強くないとつらいかもしれない。
     でもすごく良かった。原作小説にも興味を持ったよ。
     愛なのか。これは。

     エズラ・ミラーが怖くて、ふつくしいっす。
     ところで、この邦題まあまあネタバレだね……?

    原題:We Need to Talk About Kevin

  • 犯罪を犯した息子と、その息子を愛し切れずにいる母親との話。(ざっくり)

    評価が高いようだったのと邦題に惹かれて借りて見たけど、わたしには合わない作品だった。
    赤を印象的に使った映像は綺麗だったんだけど、回想と現在を行ったり来たりの映像が、どうもシーンがブチブチ途切れてしまって物語に入り込めないままで終わってしまった。
    薄らぼんやりした薄ら寒い感じがイイのかも知れないんだけど、ミステリーでもホラーでもヒューマンドラマでも無い感じで、わたしがみたいものはこれじゃなかったなー…。残念。

  • 既に起こってしまった惨劇を遡及的に観せる展開。

    息子の起こした猟奇殺人という大罪を背負う母親の
    絶望に打ち拉がれながらも、なんとか通常の日常を送る
    画から始まる。
    その母親の追憶の中で息子の成長とともに事件発生までの
    家庭での醜態(息子の嫌がらせ)を辿っていく。
    息子の生まれながらの悪魔的所行は、いったいどこから
    くるものか?
    正直、その息子の「悪」の部分の正体が不明確だった。
    故にサスペンス要素「大」である。

    母親の愛情不足と断言できる事情でもなさそうだし。。
    ごくごく幸せな家庭で産まれた突然変異の様な息子。
    ストーリーが確信に迫るまで飽きさせない巧みな演出が
    本作の魅力だ。トマト祭りから血液の赤まで。

    息子のケビン役の成長した少年(エズラ・ミラー)が
    ただ美しい!!
    その悪魔的な魅力に取り憑かれてしまった。

    親子の歪んだ関係を正面から作品に落とし込み、かつ
    殺人者となりうる息子の成長に脅威を感じる母親の苦悩
    が痛々しい。

    そして「沈黙」が産む緊張感に浸れる作品でもある。

  • ガッツリ見入ってしまった‥。ただ、スッキリしたような、しなかったような‥。
    描き方も好きで、時間をあちらこちらと、行ったり来たりします。
    そして、あえて描かないところ。でも、あれ??って、ところだけはきっちり描かれてて‥。
    犯罪者の母親の家に嫌がらせで赤いペンキをかけられてるのですが、それを落とすシーンが入るのが‥また‥‥。

    子供らしくない子供と、そんな子供にうまく接することのできない母親‥。
    私は、捉え方は様々ありそうですが、きっと‥母親が本当に大好きだったんだろーな。って、思いました‥。
    そして、母親も愛したいのだと‥。そんなふうに見えました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ガッツリ見入ってしまった‥。」
      映画を観てから、原作を読むつもりだったのですが、映画館へ行けずでした。しかし、もうDVDになっていたのです...
      「ガッツリ見入ってしまった‥。」
      映画を観てから、原作を読むつもりだったのですが、映画館へ行けずでした。しかし、もうDVDになっていたのですね(最近はソフト化早いなぁ)
      2013/04/03
  • 鑑賞して一番に思ったのは、あらすじが必ずしも的を射ていなかったってこと
    あ、あらすじとしては正しいのかもしれない
    だけど、流れるストーリーの見えない奥のほうが肝心だった

    この映画は全て母親の主観であること
    目に見える真実は、あの事件だけだってこと

    そこへ至までのあれやこれは、果たして

    赤ん坊が泣き止まない
    しゃべらない
    人並みの年齢でもおむつとれない
    それなのに人並みの年齢以上に賢い

    =故意?
    =母親に懐いていないから?

    そして母親の息子に対する不信

    ハムスターの死
    妹の事故

    母親は、彼の所為だと決めつけてた

    ポイントはそこがきちんと描かれなかったこと
    残酷だから描写を避けたのではなく
    真実をはっきりできなくするために避けている

    母親目線に乗っかれば、間違いなく彼の仕業
    だけど...

    幼少時代から事件に至るまで、
    極端ではあるけど、こどもとしてあり得るかもしれないから怖いのかも
    壁をペンキまみれにするのは果たして特殊なこどもだからなのか

    いろんなアイテムが暗喩的に使われていたので
    もう一回見てそういう視点でも見てみたらおもしろいかも

    幼少の息子からエズラミラーに切り替わるタイミングがドンピシャに読めるような編集だったので
    そういう意味でも肌にあったかも

    エズラミラー君の目がやばい
    ティルダスウィントンがお年頃の息子に翻弄される話はこれで2回目


    (2011/WE NEED TO TALK ABOUT KEVIN)

全113件中 1 - 10件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×