加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2) [Kindle]

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  • 幻冬舎
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感想・レビュー・書評

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  • <感想>
    一気読みしてしまった。
    有名な事件を例に挙げていることもあり、自分がリアルタイムで見ていた出来事の裏に多くの人間が存在していたことに気づかされた。言われてみれば当たり前なのだけど、加害者にも家族がいて、事件の影響を受けるのだ。仮に自分の親族が犯罪をおかせば同じ境遇に立たされるだろう。本書を読んでいると、一般市民として平凡な日常を送れることが「僥倖」なのだと教えられる。

    人と人は繋がっていて、社会は繋がりを集積したものなのだ。ひとたびどこかに問題が起これば影響が波及するのは構造的な帰結である。これほど当たり前のことを知らなかったのは何故なのだろう。犯罪者の息子となった小学生を預けた友人の家庭が崩壊してしまったエピソードなどは、言われてみれば容易に想像がつくのに、現実にそんな状況が存在していることを考えたこともなかったことに愕然としてしまう。

    見える範囲で世界を判断するのは危険だ。だいじな何かを取りこぼしている。
    人は一人では生きて行けない。そんな当たり前の事実に衝撃を受けた一冊だった。


    <アンダーライン>
    ★★★★★加害者家族を追い込む社会の姿を理解する一つの手がかりに、「社会統制」あるいは「社会的統制論」と呼ばれる社会学の論理がある。この基本的な考え方は、「そもそも人間は条件さえ許せば悪事に走り、犯罪をするものであり、逆になぜ多くの人が犯罪をせずにとどまっているかを研究・理解していくことが肝要ではないか」というものだ。

  • タイトルもそうですが大変重たい内容になっているため読むのに少々時間を費やしてしまいました。
    何かしらの犯罪が起きてしまったとき、あまりスポットを当てられることのない加害者の家族にスポットを当て、取材を通したさまざまな家族のその後が描かれています。
    一番最初に書かれている殺人事件を起こしてしまったご主人を持つ親子のお話から本当に胸が痛かった。そして奥さんの「塀の中のほうが守られているんですよ」という一言も重かった。
    そういったお話が幾つか書かれている中で、後半では加害者家族を救済する団体のお話であったり、海外での加害者家族を取り巻く事情みたいなところも丁寧に描かれています。
    少々重たい内容ですが、いつ我々もこういう境遇にたたされるかわかりません。あるいは自分が加害者になってしまうこともあるかもしれない。これは他人事ではなく紙一重の問題なのだということを強く感じました。
    大切な人のことを思い、かみ締めながら呼んでほしい、そんな内容だと思います。

  • 犯罪被害者家族の様子は報じられることがあるが、加害者家族ことはほとんど語られることがない。罪の意識に耐えかねて自殺に追い込まれる人もいる。いくつもの加害者家族を取材したドキュメンタリーの書籍化。

    いくつかの事例が取り上げられているのだけれど、深く密着したものは一つだけで、その他は浅い印象を受けた。テレビ番組で放映しきれなかった部分の書籍化ということでこういうまとめ方になっているのだろうか? 重いテーマを取り上げるのなら、もう少し掘り下げてほしかった。

    アメリカでは加害者家族に激励の手紙が届くことがある、というくだりは驚いた。むやみやたらに叩いたり、吊るし上げたりするのは日本固有の文化なのだろうか。どうしてなのだろう。ムラ八分の文化?

  • 興味深く読ませてもらいました。
    加害者の家族も非常につらいだろうなと思わされました。

  • とても興味深い内容でした。
    家族が犯罪を犯した時、社会から非難を受ける日本と
    社会から励ましを受けるアメリカの差がとても強く心に残った。

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著者プロフィール

1996年東京大学教養学部卒業。同年NHK入局。報道局、スペシャル番組センターなどを経て、現在報道局報道番組センター社会番組部チーフ・プロデューサー。「NHKスペシャル」「クローズアップ現代」などを担当。ギャラクシー賞奨励賞を2度受賞。著書に『新聞消滅大国アメリカ』『加害者家族』『性犯罪者の頭の中』(いずれも幻冬舎新書)がある。

「2015年 『反骨の知将 帝国陸軍少将・小沼治夫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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