グスコーブドリの伝記 [DVD]

監督 : 杉井ギザブロー 
出演 : 小栗旬  忽那汐里  佐々木蔵之助 
  • バンダイビジュアル (2013年1月28日発売)
2.72
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569644633

感想・レビュー・書評

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  • これはダメです。

    宮澤賢治「グスコーブドリの伝記」にある現実の厳しさ、何かを得るためには何かを捨てなければならない覚悟を、オブラートに包みこみすぎてありきたりのかわいいアニメにしすぎてしまっている。

    原作では妹と再会したからこそ自身を犠牲にする覚悟を持った。
    そのくだりもない。
    妹は餓死しちゃったことになってる...(ですよね?)

    「銀河鉄道の夜」に続いての猫化はかわいいです。
    原作を知らないで本作品を観ると、「グスコーブドリの伝記」は心に残らない、何も残さない作品になっちゃうだろうな...という残念感たっぷりでした。

  • 映画「銀河鉄道の夜」の素晴らしさと比べてしまうのは仕方ないが。

    基本は原作に忠実、そして「ネネム」や映画「銀河鉄道の夜」からの要素をちょこちょこと拝借しているところも、まあそういうものだ。

    しかし細部の違いが原作の意味合いを低めているところがちらほら。
    たとえばナドリが「遊びに行く」と言うのはブドリらが眠っているときではないし、ネリは籠に入れてさらわれるべきだし、夢の中の描写もどうか。
    またブドリはあくまで一職員として火山に「残る」べきであって、夢の中の出来事のようにして連れられて行くべきではない。

    突っ込みどころは少なくない。
    しかし町並みや美しい映像には溜め息。

    主題歌は不要。「この国がうんたら」なんて言われてもね。

  • 子どもの時に観た『銀河鉄道の夜』がとても印象に残っています。
    なので賢治の世界観と猫のマッチングには違和感はありません。
    幻想的な映像表現と音楽もとてもよかったです。

    教訓的なテーマをあまり露骨に表わすと、この雰囲気は損なわれたのでしょうね。
    独特の世界観の描写に力点が置かれたことで、余韻が長く残ってるようです。
    しばらくそれに浸っていたいと思います。

  • おお…これはもう…さびしいにかぎるあかん
    原作を知らないのでどうラストが違うのかわからないけど。でも、観終わって泣くとか切なすぎてたまらんとか、そういうのじゃなくて、たださびしくなる作品だった。すごく完成されてる

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「たださびしくなる作品だった。」
      生きるために色々あって、そうした体験が思い詰めさせたような、遣り切れない淋しさ。
      でも私は宮澤賢治の童話の...
      「たださびしくなる作品だった。」
      生きるために色々あって、そうした体験が思い詰めさせたような、遣り切れない淋しさ。
      でも私は宮澤賢治の童話の中では一番好きです。。。
      2013/04/09
  • 私、おなじスタッフがつくった銀河鉄道の夜もけっこう好きでして、
    なんだかわけのわからないものにそれっぽい形があってワクワクするのです
    でも、今回はブドリの仕事したりがメインなので
    デザインがかなりちゃんとした機械がおおいんですね。

    そこで我慢ならないスタッフが銀河鉄道方式で幻想シーン発動!
    ロリコン人さらいが無駄にかっこよくなって船頭をとります。
    てぐす工場のくだりが幻覚っぽくなったり。
    なぞの大正的なレンガ塔が出てきたり。
    とくにこのレンガ塔のくだりのCGがよくできていて、ミニチュアっぽい!
    初期のCGしていたころが好きだった私に大ヒット!
    これがCG正当進化である。日本にはこの方向でバカスカ映画して欲しい
    途中の鬼みたいなのはこまどりかなぁ。

    まぁ、そんな感じで原作とはちょいと違った話になってますけど
    変なもの見れて満足な感じでした。

    あと、ジブリになれていると食事シーンが少なくって死ぬんじゃないかと心配になったり。やっと食ったのが蕎麦掻って!ぜんぜんうまそうに見えなくてなんだかひもじい気持ち。トマトは宝石みたいでしたね!シチューになると途端に残念になる・・・。

    それから、この人猫デザインを最初に生み出した人はエライ!
    無表情がこんなに映えるデザインないよね。
    キティちゃんしかり猫は何考えてるか気になる生き物なんでしょうか。

  • 冷害や干ばつが続き、家族が次々に行方知れずとなったグスコーブドリは、イーハトーブへ出て火山の研究所に職を得る。再び寒波が街を襲うことが明らかになった時、ブドリは・・・。

  •  原作は読んで、大体の内容は知っていた。
     ストーリーのクライマックスとなる自己犠牲の話もだが、途中出てくる幻想的なシーンや、話の後半で中心となる都市のスチームパンク的な風景が良かった。

  • たくさんのブドリたちが…というラストのナレーションにギクリとした。飢饉のたびに、犠牲者が必要なのかい。

  • 幻想、夢幻、そして美しい自然風景。生死の境界線を彷徨う物語構図。宮沢賢治原作らしさが満載。そういう意味で、ストーリーの整合性やカタルシスはともかく、この映像美・不可思議さを堪能できた。そういう作品だとも思うし、リアルとは対極の宮沢賢治原作なら猶更であろう。ただし、小栗旬さんは?(もっとも、大分前の作品で若手の頃のようだが)。

  • 家族を失ったブドリくんが、自己犠牲をはらって寒波を救う話。結局、ご両親はどこに逝ったのか。奪われた妹ちゃんと異世界との交わりは何を意味していたのか。消化不良で終わるのが残念。

  • ①ブドリというより小栗旬。
    ②クライマックスが物足りない(原作への誘導か)。
    ③幼稚園児には良作。

  • 宮沢賢治のグスコーブドリの伝記を映画化したもの。登場人物は猫で表現し、幻想と牧歌の躍動が交錯する映像美は類を見ない世界を創り出す。声優のキャスティングには小栗旬、佐々木蔵之介など名だたる俳優を起用しているが、後半に遊佐浩二や宮本充を起用するあたり、アニメとして認識されているようだ。

    原作が未読のため、どのような物語なのかまったく想像がつかない状態で視聴した。
    ナレーションの説明や、節々に挿入される代表作「雨にも負けず」の朗読が美しい。生きていくことの厳しさの中で、ただ黙々と、粛々と生きていくブドリの姿が誠実で力強くもある。基本、はい、と返事をするだけで、己から自己主張しない代わりに、出会う人々は特徴的で騒がしく素っ頓狂なので、場面が展開していく。

    代わりに襲いかかる冬の寒さの恐ろしさ=脅威としての自然が静かに忍び寄る様は恐ろしく、またブドリが新たに旅立つ度に見る夢は時に恐ろしく恐怖感を抱かせる。

    最後にはブドリがなぜか自己犠牲でイーハトーブの世界に再び多くの人を苦しめる冬を遠ざけることに成功するのだが、いまいち理解できなかった。
    恐らくあの夢の男が連れて行って例の火山にブドリを入れたということだとは思うが、結局火山は噴火させることに成功したのか、ブドリの家族はどこに行ったのか(もしくは死んでしまったのか)、そもそも博士や火山局の所長が反対したのにどうやってブドリが同じ結果をもたらす別の方策を見つけたのか、それとも強硬してたまたま成功しただけだったのか、説明不足な部分が多く首を傾げた。
    ブドリが自己犠牲の理由も謎だ。ブドリは望んで死んだのか、それとも夢の男に殺されたということなのか、よくわからない。恐らく前者の方が濃厚だが、あの描写ではまるで男に殺められたようにも見えてしまう。
    つまり、エンディングは不完全燃焼で、とてもモヤモヤして、感動はしなかった。
    原作を読んでみないと何もわからないので、今度借りてみようと思う。まあそれが映画化したスタッフの狙いであれば、狙い通りではあるかもしれないが、映画としての完成度としては未完成のように感じざるを得ない。

    それにしても、あの男の役割や象徴が気になるところだ。
    厳冬という逆境と共に現れ、妹を攫い、ブドリが新たに旅立つ度に夢の中に登場し、最後にはブドリの望みのまま火山へ連れて生き、もう二度と戻れない場所へと連れ去る。夢は無意識であり、無意識とは闇であり、闇とはつまり死と繋がる。彼は死神なのか、無意識より現れた「影」なのか。「影」は時に暴れ、蝕み、他者に襲いかかることもあるが、自我が本当に望んでいるものへの導き手でもあり、手段となるエネルギーとして必要なものだ。
    今度時間のあるときに、ユング心理学の象徴分析をしてみたいと思えた作品だった。

  • 手塚作品と宮沢賢治らしい、静かで独特の雰囲気を持つ不思議な作品。

  • 自己犠牲の賛美がなぜよくないかと言えば
    それはそのまま、同調圧力による自己犠牲の強要になりかねないからだ
    だからまあ、自己犠牲を賛美する(ようにも見える)物語…たとえば
    この頃に流行していた作品で言えば、「永遠の0」みたいなものを
    そういう文脈で批判しようってなら、それは正当性があると思う
    しかしなにも宮沢賢治でやることないだろう、しかも
    そのために行ったラストシーンの改変が、はっきり言って失敗している
    ブドリの人類愛や愛郷心といったものが
    まるで間違ったもののように、隠蔽されてしまったじゃないか
    こういうリベラルのそそっかしい独善が
    民衆の反発を招き
    タカ派の台頭をむしろ促進したんじゃないのか

  • 銀河鉄道の夜を期待してみると欲求不満を感じる。
    特に、最後のブドリが犠牲になるシーンが、まったく具体的に描かれないので肩透かしをくらった感じ。
    自己犠牲というテーマがテーマのまま終わる。

  • 監督 : 杉井ギザブロー
    出演 : 小栗旬 忽那汐里 佐々木蔵之助
    原作:宮沢賢治


    美しきイーハトーヴの森。ブドリは家族と幸せに暮らしていた。しかし冷害が森を襲い、食料も乏しくなって両親は家を出ていき、
    妹のネリは"コトリ"という謎の男にさらわれて、ブドリはひとりぼっちになってしまう。
    力尽きて倒れたブドリを救ったのは、てぐす工場の工場主だった。ブドリは彼の元で働き仕事を覚えていくが、仕事が終わるとブドリは
    またひとりぼっちに。
    里へと下りたブドリは赤ひげのオリザ畑で働くが、寒さと干ばつのために赤ひげの畑は大きな被害を受け人が雇えなくなり、ブドリはイー
    ハトーヴ市に向かう。
    そこでクーボー博士と知り合ったブドリは火山局に勤めることになる。所長のペンネンナームの指導のもおと、局員としてたくましく成長
    していく。しかし再び大きな冷害が……。クーボー博士の助言を受け、“ボクにも、できることはきっとある"と奮起したブドリは、愛する
    故郷と大切なみんなのために、ある決意をする――。

  •  猫の絵にひかれて7才次女がリクエスト。
    あれ?『銀河鉄道の夜』?
     宮沢賢治でした。
    『MOE~スタジオジブリの名作大特集~』(2012年8月)をたまたま持っていて、長女が「これだね」と出してきてくれました。
     宮沢賢治の世界。難しいかな?と思いましたが、こどもたち全員、最後まで観ていました。
     イーハトーブって、これだったのね。

  • ストーリーはすごくいいのです。ブドリが最後に、自分の命と引き換えに村人たちを飢饉から守ろうとする。感動的なラストシーンのはずなのです。ところが映画ではその盛り上がりをほとんど感じることができませんでした。少しおもしろいキャラクターが登場するくらいで、ほぼ全編にわたってくらいイメージが強い。夏休みにどこも連れて行けないからと、長女と劇場へ足を運びましたが、不完全燃焼のまま帰って来ました。確か原作では妹ネリと最後にもう一度出会い、涙の別れがあったように思うのですが。映画では、結局妹は登場せず、裁判官だかなんだか、不気味な存在に最後連れ去られて、たぶん火山に激突して終了でした。ブドリが自ら小型の飛行船を運転して火山島まで行ってほしかったように思います。ところで、映画の「日本沈没」でのくさなぎ君の役とブドリが私にはダブって見えます。

  • ブドリは、淡々としているように見えて(猫故?)、実は、家族を失った悲しみや、研究に対する情熱を胸に秘めた、感情豊かな青年だったのですね。それに気付いたとき、何だかじーんとしました。

  • 宮沢賢治は嫌いではない。むしろ好きである。しかしながら彼の自己犠牲の精神には少々賛同しかねる。というのがこの映画をみた感想である。原作を読んでいない私が何を言っても仕方がないが、わざわざこの映画を杉井ギサブローで作る必要があったのかと言うことを問いたい。

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