損料屋喜八郎始末控え [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 日経の読書欄で縄田一男さんの書評を見て即購入。山本一力さんの本は初めてです。今読み始めていますが、面白い。池波正太郎さんの鬼平や剣客以来の面白さです。多分ハマってしまいます。
    読後感想を書くのが今から楽しみです。

    この本一冊の読み初めから読み終わりにかけて、物語の背景となっている寛政の改革真っ只中の江戸下町の風景がモノクロームから鮮やかな色彩に変化していく。登場人物たちの素性や性格等の個性が明確にわかってくる。そしてストーリーの展開が大きくなってくる。とても素晴らしい世界を体験できました。

    ちょうど池波さんの剣客商売は田沼時代、そして喜八郎の世界は田沼バブルを粛清した定信の寛政の改革の時代。政治や経済の動き、その中を生きている市井の人々の暮らしぶりや商人、町人と武士との関わり合いがとても細やかに描かれていると思った。

    読み初めに抱いた印象、池波さんのテイストはするものの、山本さんの独自の視点で描かれている舞台は池波さんとは異なった世界を見せてくれました。

    続編が出ているようなのでぜひ読んでみます。どのような展開になるのだろう。楽しみです。

  • 『あかね空』で直木賞を受賞した作家、山本一力。

    『あかね空』
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/416767002X

    これまでこの方の作品を何冊か読み、特に「江戸の市井に生きる人を主人公にした時代小説が、得意な作家さんだなあ」と、感じていました。
    その山本一力のデビュー作がKindle化されていると知り、読んでみることにしました。

    舞台は寛政年間(18世紀末)の江戸。
    以前は武家でしたが、訳あって、その身分を返上し商人(損料屋)として生計を立てている喜八郎が、主人公です。

    江戸勤めの武士たちが身分に応じて幕府から受け取る、俸禄(米)。
    その俸禄をお金に変える、さらには出費の多い武士たちが俸禄を担保にお金を借りる。

    江戸の町でその取引をすることが出来るのが、109店のみの、札差という商人たち。
    この仕組みが動き始めて長い年月が経ち、武士たちの借金は増えるいっぽう。
    逆に、利息収入を得る札差たちは、周囲が迷惑するほどの、豪勢な暮らしをしています。

    武士たちの窮状を見かねた幕府は、札差に対する武士の借金を、帳消しにしてしまいます。
    この「棄捐令」に関する騒動の中で、主人公喜八郎が札差そして幕府役人と渡り合い、切り盛りしていく姿が、この小説のテーマとなっています。

    先に読んだ作品(発表はこの作品の後)の中にも、棄捐令を扱った作品があったので、この作家さんにとっては重要なテーマなのだなあと、受け取りました。

    最初の作品ということで、状況説明等、理解し辛い表現も見受けられました。
    しかし、登場人物それぞれの感情表現、そしてラストに向かって盛り上げていく物語の進め方は、さすが後の直木賞作家だな、と感じました。

    この主人公については、続編作品が発表されているようなので、続けて読んでいきたいと思います。

    『朝の霧』山本一力
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B00MXVB1T8

    .

  • 江戸の庶民の暮らしがよく書かれていて面白い。主人公の経歴や剣の腕前が魅力的でシリーズ全部読みたくなります。

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著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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