アンドロイドは電気羊の夢を見るか? [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 読みにくい!!
    だから良いとか悪いとかではないのですが、文章が体に馴染まないままストロングスタイルで読み進める必要があります。読書慣れしてない人は中々厳しそう。
    内容は近未来的な世界観でアンドロイドと人間が共存している社会の話。
    まずなによりの驚きはこの本が1968年に出版されていること。
    現代の感覚だと、アンドロイドは比較的身近でいつかもっと進化して人間のように振る舞えるようになるんだろうと漠然と想像することができるけれど、当時それを想像できていた人はどれくらいいたのだろうか。
    自分が生まれるずっと前の人が現代よりもずっと先の世の中をSFとして書いている違和感がとても良い。
    アンドロイドなのか。人間なのか。
    その違いが検査をしないと分からない微差なのであればそれをあえて善悪として区別する必要があるのか。
    その人やその物がそれである根拠は普通に暮らしていると意外にも分からなかったりするけれど、それでも無理矢理に区別して優劣をつけたがるのは人間の性なのかもしれないなあと思いました。

  • タイトルからして、人工知能の自意識がテーマのSFだと思って読み始めた。
    ところがバウンティハンターが主人公だなんて言うからどんなアクション小説になるのかと思ったら序盤は鬱鬱とした展開。
    中盤になってようやくノってきたな、と思ったらサイコホラーが混じり、そして哲学的問いを、登場人物の視点を通して投げかけてきた。
    飽きさせない作りだ。

    この作品の中では二人のカリスマが登場する。
    一人は「マーサー」と名乗り、エンパシーを共有する機械を通じてマーサー教を率いる人物。
    もう一人は「バスター・フレンドリー」と言って、1日に48時間喋り続けるテレビ番組の司会者。
    対照的な二人はヒトとアンドロイドをそれぞれ代表するような存在だが、登場人物達はそれを知らない。
    終盤、バスター・フレンドリーはエンパシーなんてインチキだと訴え、マーサーはそれを認めるだけでなくアンドロイドの合理的思考を認めてしまう。
    しかし、マーサーは間違ったことでもやるべきことをやれ、と主人公にはっぱを掛ける。

    人とアンドロイドの違いは何か。
    筆者はマーサーを通じて、ヒトの特徴は非合理的な思考、誤った思考でもそのまま受け入れる懐の深さ(エンパシー)にあると訴えているようだ。
    確かにアンドロイドが合理的である限り、エンパシーは持ちえないのではないだろうか。

    この小説は1968年の作品だが、翻って現代のSNSや社会運動の非寛容性はなんだろう、ヒトがアンドロイドに近づいていることを暗示しているのか?
    そんなことを思った。

    ラストのヒキガエルの下りは、この作品の重さをよく中和してくれる胃薬のようなエピソードでクスっとした。

  • 映画とはだいぶ違うのね…。でも、映画を観ていたおかげですんなり入り込めて面白く読めた。主人公のリックより、アンドロイドなどの脇役に感情移入してしまったのは映画と同じ。小説では、ロイが映画ほど存在感がなくて残念だったけど、哀れなイジドアをついつい自分と重ねてしまい、たまらない気持ちになった。イジドア好きだよ。イジドアも映画で観たい。あと、マーサー教の教祖が登場する場面も印象的。マーサー教に関しては、もう1回読んでじっくり考えてみたい気がした。映画の比類なきかっこよさと哀切さに、小説では文章ならではの滑稽さが加わってたのもよかったと思う。でも、私が一番好きでかっこいいと思うのはやっぱり映画でのロイの死にざまだよなあ…。

  • 2017/8/8読了。
    『高い城の男』を読んだので、ディックをもう一冊。
    十代の頃にサイバーパンク関連読書として一度読んだのだが、ブレードランナーの原作にしちゃ地味だなと思ったのが当時の感想。ディックは他にも何冊か読んだが、本書における「動物を飼うステータス」みたいな独特の価値律(『高い城の男』なら易経とかコレクションに与えられている意味合い)に馴染めなかった記憶がある。
    中年になって読み返してみた感想は、こんなに分かりやすい話だったのか、十代の俺ってどうやって小説を読んでたんだろう、というものになった。歳をとるって素晴らしいな。
    本書に描かれたSF的なセンスオブワンダーがもはやワンダーとして機能しなくなっている時代に読み返したのも良かったのかもしれない。もはやSFとしてではなく、一般小説として読まれるべき作品かもしれない。その方が本書のテーマも理解しやすい。だから本書は古典として読み継がれているのだろうな。

  • twitterから転載。

    ・映画とは全然違うと聞いてはいたが、確かに全然違うな。「主人公デッカードがアンドロイドを殺す話」くらいに四捨五入してようやく=で結べるwSFを読み慣れてないせいなのか単に好みからずれてるせいなのか分からんが、感想を述べにくい小説だなというのがさしあたっての感想…。
    ・なんでだろうとちょっと考えて1つ思い当たったのが、登場人物の誰にも感情移入できなかった点。かろうじてイジドア君がやや引っかかるくらいか。
    ・あと情景を想像しにくくて「映画のこういう光景を想像すればいいのかなここ…?」と迷いながら読んでた。視覚的に想像できない原因の1つは普段SF映画をあまり見てないからかもしれないと思った。

  • 序盤、必要とはいえ模造動物や妻がどうとかの話がかったるかったのに仕事が始まってから面白くなってきて、オペラ歌手のエピソードは時間を忘れて読んだくらい面白かった!ビックリしたー!イジドアに対して登場当初、蛇足かなと思っていたがどんどんと存在感を増していき、デッカードとイジドア二人の人間の視点があるからこそのドラマになっていく。問う時点で答えが同時に出ているような、その問いに気づいた瞬間に目覚めたみたいな、アンドロイドか人間か、模造動物か本物かどうかが問題じゃないってことが判った時にハッとさせられる。

  •  昔読んだがもう一度。前読んだときはアンドロイドといえばターミネーター的なやつと固定観念があり、ピンとこないところがあったが、今回は100%有機物、見た目も臓器もほぼ一緒ということを理解して読んだから序中盤はつまづきなく読めた
     SFといえば社会制度やら常識の違いで飲み込むまでに時間がかかるが今作はややこしいことは少なく主人公の目的がわかりにくかったり、共感しにくかったりということもなく、スルスルといける。SF系は世界に馴染むまで結構時間がかかることがあったので飲み込みやすいのは作者の手腕の確かさを感じる
     ややこしいことが少ないから生き物を買うことが至上とされてる世界やそんな世界で機械仕掛けの動物を買って本物が欲しいとなってる主人公の様子などそういう世界観を素直に楽しめる。中盤からアンドロイドとの対決はアンドロイド側の賞金稼ぎをかわす対策やら逆に仕掛けていく動く気などキッチリサスペンスしてて面白い。
     終盤はアンドロイドと人の違い、共感とは?と深いところにいき幻覚では?と思うような現象も起こるため食べづらく感じる。ただわかりづらいなりに共感とアンドロイドと人との話をしてるのはわかるし、コレはあれのこと?と考えるのも楽しい
     二度目になるが思ったより話し忘れてて新鮮な気持ちで読めた。一回目でも結構読みやすいなとおもったがやっぱり序中盤は読みやすかった。ただ終盤の啓示的な展開はなんだろうなコレという気持ちになった。また数年おいて読んでみてもいいかもしれない

  • ブレードランナーの原作ということですが、この原作を読了することによりさらに深い思考を巡らせることができました…なんともいえない虚無感が押し寄せます。

  • 映画ブレードランナーを知っていてその元ネタと聞いていたので、そういう話かなと思っていたけど、ストーリー的には大分違う。けれど、読んでいて一体どんなところが映画の着想の原点になったのかが良く分かるので、珍しい楽しみ方ができた。
    リックのわずか1日の出来事が一編に詰め込まれ、ウオ疲れた、と思ったところでのラストシーン、結局起きた後はなんだかんだバウンティハンターとしての日常が続くのだろう…と思わせる終わり方。映画の不穏な感じのエンドとは違い、しんみりとするような感じがなんだか良いなと思った

  • 原作を読む前に例の映画を見ちゃって、「よく分かんないけど多分オシャレ…」的な事を思っちゃった自分のアホさ加減が恥ずかしくて、勝手に苦手意識を持ってた作品。
    いやでも気にはなってた。だってこのタイトル…。上手すぎる…。

    そして私はやっぱり映像より文字の方が向いているらしい。考えだすとぐるぐる回っちゃうくらいに考えてる。
    読んでよかった。感情についてぐるぐる考えて続けてるけど。

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著者プロフィール

Philip K. Dick

「2009年 『髑髏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

フィリップ・K・ディックの作品

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