ナイルに死す (クリスティー文庫) [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • Audible利用(13h59m)
    3日で読了

    登場人物の多い作品なので、最初に人物一覧をザッと紙に書き出し、冷蔵庫にベタッと貼り付けてから視聴スタート。
    著者まえがきの予言(?)通り、第一部が終わる頃には冷蔵庫の一覧の人物たちはすっかり生きたリアルな存在となっていて、 私は透明人間になってカルナック号に乗り込み、事件の一部始終を間近に見ているような気分だった。

    真相のトリックはどうも無理な気がするんだけど、きっと気のせい、かな。

    ポワロとジャクリーンが最後に語り合うシーンはずっと悲しくて、ジャクリーンが「私がしっかりしていた方が、サイモンにしても気が楽なんですもの」と言った時には、どうしてそんなこと言うの……と溜め息が出てしまった。

    物語最後の余韻も深かった。安酒場のカウンターにポンッと投げ置かれた新聞の一面の中で、生前のリネットがニッコリ微笑んでいる場面が浮かんだ。

  • アガサクリスティー作品はまだポワロシリーズしか読んでませんが、毎回物語がどう転んでいくのか予想が付かなくておもしろいです。
    登場人物の心情も細かくて生き生きとしています。

  • アガクリスティーの作品片っ端から読んでるけどどれも新鮮
    登場人物多いけどそれぞれキャラとか背景があって良かった

  • 舞台はナイル川で豪遊するクルーズ船。エジプトに観光に来ていたポアロはこの船で殺人事件に巻き込まれることになりました。

    渦中の人物はリネットという名のセレブの麗人。婚約者とめでたく新婚旅行に興じるリネットですが、クルーズ船にはリネットの旧友であるジャクリーンが同船していたのでした。ジャクリーンはリネットの婚約者サイモンの元カノであり、サイモンを諦められない彼女は復讐のためストーキングしに来ていたのです。なぜかサイモンに発砲するジャクリーン。幸運にもサイモンは一命をとりとめますが、その後リネットが死体で発見されることになりました。一見すると三角関係の愛憎のもつれに端を発する殺人事件に見えるのですが、殺害されたリネットは若くしてセレブとなった資産家です。ひとまずポアロは乗船客の容疑者を洗い出すのですが、この時点でリネットを殺害する動機のある人物は片手に余るほど登場し、いずれも劣らず怪しさ抜群という始末。

    導入部こそ殺人者が誰であるかが明らに思えたものの、そこは灰色の脳細胞を持つ名探偵。ポワロはぬかりなく随所で丹念に背景を解きほぐすことを忘れません。いずれにしても、真実が絞り込まれるどころか、むしろ無数の手がかりや殺人者、凶器の可能性が浮かび上がってくるというクリスティーの挑戦状を、私は本作でこれでもかと堪能することができました。

    ポワロは調査を通じて興味深い手がかりを明らかにしつつ、容疑者の可能性のある緊張したインタビューを通じてアリバイの穴を鮮やかに突いていきます。それでも、全体を通してポアロのメモは読者に共有されることはありません。それがまたミスリードを誘発するのですが、本書はこの塩梅が実に心地いい。実際に私は途中で何度かは犯人が分かったつもりだったけど、何度も裏目を突かれてしまうことになりました。

    楽しく優れた没入感を持った、良質な殺人ミステリーだと思います。

  • ポアロシリーズ15作め。映画で観たことがあったけど、結局これも読んでしまった。
    タイトル通りナイル川を行く船の上で起こる事件。時折古代文明も出てくるのでちょっとした旅行気分も味わえる。マシュー・プリチャードさんが言うように「探偵小説と外国旅行は、逃避的志向という点で共通している」と思う。だからなのか他のポアロシリーズよりも没頭してしまった。

  • 情景、人物配置の語りが巧みで、事件が起こるまでにページ数的に全体の三分の一以上かかるのに退屈しない。
    クリスティーは膨大な過去の堆積に囲まれるエジプトという舞台で、後戻りの効かない選択により与えられた星の下、進み続けるしかない人間を描く。世間から隔絶された船の旅は犯人の後戻りの効かない運命である。
    最後、人が死にまくったのに雨降って地固まる風に無理やりまとめるのも古典ミステリのご愛嬌。

  • 面白かった

    今作もやっぱり女性(特に若い女性)が魅力的

    コーネリアはファーガスンと結婚すると思ったのになー

    犯人はなんとなーく目星がついた

  • このあたりが犯人かなというのが当たっていた。アガサ・クリスティーでは初めて。

  • 高名な「ナイルに死す」で、実はテレビ放映の映画を見たことがあるので、もう犯人は知っていたのですが、映画じゃわからないこまか~い描写もあるのでいつか読まねばと思い、そうしてそのいつかがようやっと来ました。

    テレビで見たのももう何十年も前なのでほとんど忘れているし、細かなつじつま合わせもとんと思い出せないし、そもそも登場人物も変更があるので結末は知っていても面白く読めました。わけてもやはり金持ち欧米人の旅行描写はクリスティの醍醐味ですね。

  •  アガサクリスティーの探偵小説。前半から次々と登場人物が増えていき、そしてその名前を頭に入れていくのに精一杯になって行くのに、いつまでたっても殺人事件が起こらないと思っていたら、途中でついに事件が発生。そこまではそれぞれの登場人物の設定と、それから一緒にナイル川のクルーズを楽しむような流れ。いったん事件がおこると会話と聞き取りが主になってゆく。そして次第にいろいろなことが明らかになっていく。さすがは有名な探偵小説、最近のミステリー小説のようなあまりに奇抜な設定や展開もなく、王道ミステリーといった感じ。そして様々な伏線をきちんと取りまとめてゆき、読み終えるとだいたいすっきりとできる感じ。ところどころ古風な日本語訳に違和感を覚えるところもあるけど、それはそれで昔ながらの探偵小説いった雰囲気でいいと思う。

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