テロリストのパラソル (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
3.69
  • (23)
  • (58)
  • (34)
  • (13)
  • (1)
本棚登録 : 420
感想 : 45
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (324ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アル中のバーテンダーで元東大全共闘の闘士(積極てきではないが)というインテリ崩れの中年にどこまで感情移入できるかで、面白さが変わってくるかなと思います。
    私には面白かった。
    ただ、実が死んだはずの人間が……ってのは、この時代ならともかく2020年ではやりつくされてしまって、作品のせいではないにせよ、陳腐な感はいなめない。

  • 10年以上ぶりの再読。やっぱりおもしろくてカッコよかった。僕はこんな大人にはなれてないな・・「そのとき 、はじめて気がついたんだ 。自分が絶望していることに 。絶望ってどういうときにやってくるか知ってるかい 。この世界で動かしがたい事実のあることを知るときだよ 。」カッコいい大人になりたい人にオススメしたい。

  • 新宿にて爆破テロ発生。たまたま現場にいて助かったアル中のバーテンと被害者はかつての学生運動仲間であった。

    乱歩賞と直木賞を同時受賞したハードボイルドミステリーの名作。その評判通り、伏線貼りまくり、どんでん返しまくりのストーリー展開と一人たりとも無駄にしない登場人物設定はお見事。あまりにも見事すぎてご都合主義的なファンタジーのような気がするのが欠点か。

    愛想の悪いバーテン、世間に背を向けたホームレス、知を売りにするヤクザと、あまりにもベタなハードボイルド作品に必要な人物を並べつつ、ベタではない予想できない結末。

  • ふむ

  • 都心の公園で多数の死傷者を出す爆弾テロが発生。過去の因縁で警察から追われる身となった主人公は自ら真犯人捜しを始める。30年前の作品ということで多少の時代差を感じずつ読み始めたのが気付けばグイグイ引き込まれ一気読み。特に最後の対決は圧巻の一言。

  • 『テロリストのパラソル』は1995年に江戸川乱歩賞を受賞し、翌年直木賞も受賞した作品。これは日本の文学界において、同一作品がこれら二つの賞を受賞した唯一の例とされる。審査員全員からの絶賛を受け、日本のハードボイルド小説市場における最高傑作を生み出したと評されている。
    物語は1994年の東京を舞台にし、過去に学生運動に参加した経験を持つ40代のバーテンダーが主人公。彼は新宿の小さなバーを経営しており、客との交流は少ないが温かい人柄で周囲から好かれている。ある日、彼の日常は新宿中央公園での爆破事件によって一変し、物語が展開する。

    あらすじ
    アル中のバーテンダー島村は20年前の事件をきっかけに名前を変え、過去を隠して生きていた。新宿中央公園での穏やかな秋の日、ウイスキーを飲みながらウトウトしていると、突然の爆音が響き渡る。何らかの爆発物が爆発し、多数の死傷者が出る。この事件の被害者の中には、かつて学生運動で共に闘った友人桑野や、3ヶ月だけ同棲した女性優子も含まれていた。
    桑野と島村は過去に爆弾事件を起こし、警察に追われた経験がある。爆発現場に置きっぱなしにしたウイスキーの瓶から指紋が割り出され、島村は今回の事件にも関与している疑いをかけられる。島村は否応なく事件に巻き込まれ、犯人探しを始める……

    【登場人物】
    島村 圭介(しまむら けいすけ):アルコール中毒。バー「吾兵衛」のバーテンダー。バーには酒類とホットドッグしかメニューがない。旧名・菊池俊彦。東大在学時に、友人らと学生運動に興じた。その後、大学を中退し、ボクシングを始め、そこそこ実力を付けた。
    タツ:20代後半のホームレス。事件の約2カ月前に島村と知り合った。事件後、島村に寝ぐらを提供する。
    浅井 志郎(あさい しろう):興和商事社長。暴対法施行直前に株式会社に鞍替えしたヤクザ。経済などに詳しい。爆発があった日の夜に、「吾兵衛」を訪れ、島村に忠告する。元警官という異色の経歴を持つ。
    松下 塔子(まつした とうこ):20年前、まだ島村が本名で過ごしていた頃に、3カ月だけ共同生活を送った園堂優子の娘。21歳。母親が爆弾事件で亡くなったことを島村に知らせに来る。祖父は現職の国会議員。
    桑野 誠(くわの まこと):学園紛争時はノンセクトラジカル随一の論客として新左翼党派からも一目置かれていたが、学生運動の退潮と共に活動から退きアパレルメーカーに就職する。1971年、島村(当時は菊池)と共に車爆弾事件を起こしたとされているが、実際は事故に近かった。今回の爆発事件で死亡が報道される。
    望月(もちづき):浅井と共に島村の元を訪れた、浅井の手下。
    岸川(きしかわ):ホームレス。法医学関連の本を英語の原書で読んでいる。
    宮坂 まゆ(みやさか まゆ):父・徹と共に公園を訪れており、爆発の直前、島村と会話を交わした6歳の少女。本人は奇跡的に軽傷で済むが、父親が死亡してしまう。

  • ある日、アル中の主人公はいつものように新宿の公園でちびちびと酒を飲んでいた。好奇心旺盛な少女と言葉を交わし、その背を見送った直後、公園で爆弾テロが発生する。少女の安否を確かめに駆けだした主人公は、現場に指紋がついた酒瓶を残してしまった。


    主人公がアル中の中年、しかも古い作品のため人を選ぶが、そこが気にならない方にはお薦めできる。
    爆弾テロをきっかけに坂から転がり落ちるように悪化していく主人公の状況と、そんな中で知り合った人との縁にまず興味をそそられ。信頼と裏切りの入り交じった人間関係は、主人公と、読者のページを繰る手を休ませてはくれず。文章のテンポは小気味よく、伏線も巧妙に仕込まれている。
    一度話にのめりこめば飽きずにクライマックスまでひた走れる。そんな本だ。

    難があるとすれば、ラストに強引さを感じるぐらいか。登場人物をそこまで繋げなくても良かったのではと思わなくもない。

  • 直接関係ないですが偶然某容疑者のニュースがありエンタメ性が増した

  •  
    ── 藤原 伊織《テロリストのパラソル 1995‥‥ 20080401 角川文庫》[Kindle]
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B009GPM3L4
     
    (20231128)

  • 面白い。さすが、乱歩賞と直木賞を取っただけのことはある。それとやはり私にはハードボイルドがあっているのか。
    やや、筋が飛躍する箇所もあり、把握するのに困難なこともあったが、全体としてはすばらしい作品だと思う。

全45件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤原伊織の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×