金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件<金田一耕助ファイル> (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  本陣殺人事件以外にいくつかの話が、他のは特に言うことがないので表題の本陣殺人事件だけ
     派手なトリックはいいのだが、それ以外の要素、動機も撹乱法も全部ご都合主義的なものに感じる。良く言えばトリックに合った合理的な要素といえるのだが、動機を作中でも指摘されるような共感し難いものにしたのなら、捜査の撹乱方法は手堅いものにしてほしかった。ただなぜ密室になってしまったのかについての話はスキ。

  • 少し前に話題になったので読んでみた。
    ドラマなどでよく見ているものの原作を読むのは初めて。
    今ならよくあるトリックのようでもあるけど、琴など使用する道具たちが凝ってあっていいなと思った。

  • 噂に名高い作品だが、未読だったので。
    「本陣殺人事件」はトリックは古風だというのに、絵になるというか何というか…現代のミステリとはまた違う味がある。
    他の二作品も夢中になって一気読みだった。

  • 3.3

  • 「本陣殺人事件」
    ①予期せぬ積雪……紅殻塗りの密室……植木の幹に突き刺さったままの鎌……水車小屋……猫の墓……三本指の男……琴爪と琴柱、そして琴の弦が切れる音……。
    ②ばらばらになった破片が収まるべきところにすき間なく収まっていく、その様が実に美しい。
    ③”これは読者に対してたいへんフェアな作品である”という作者による余計な注釈がなければなお良かった。

    「車井戸はなぜ軋る」
    ①不義の子が本家に向けて抱く憎悪……戦死を利用したなりすまし……消えた一個の義眼……殺しに行ったのか殺されに行ったのか……。
    ②手記と手紙と新聞記事が入り混じる構成はミステリアスかつドラマチック。
    ③大雨の中、自転車による死体の移動はちょっと無理がある。

    「黒猫亭事件」
    ①顔が判別できないほど腐乱した死体……その死体と合わせて埋葬されていた黒猫……失踪する直前なぜか顔を隠しつづけた女……三人のうち誰が殺され誰が殺したのか……。
    ②”顔のない死体”系のミステリーだが別のアイデアをくっつけて上手につくられている。
    ③それにして可哀そうなのが端役・小野千代子。いくらトリック成立のためとはいえ、作者の彼女への扱いはひどすぎる。

  • 物語の中の時系列的には八つ墓村の前に起きた話らしい表題作。岡山の田舎の村に豪邸を構える一柳家は,かつて宿場の本陣を営んでいたほどの家柄。維新後本陣は役目を終えたが,一柳家は落ちぶれる前に現在後に移り住み,当時の当主の辣腕により,地域の有力家として権勢を保った。その一柳家の長男は遅くまで嫁をもらわなかったが40過ぎてようやく結婚相手を見つけたと思ったら,かつて一柳家の小作人だった家の娘だった。この結婚には一族をあげて反対されたが,頑固な長男は一切聞き入れず結婚の話を進めた。愈々婚礼の日を迎え,全て滞りなく終わった夜,新郎新婦の寝室となる離れから恐ろしい悲鳴と琴の音が聞こえた。離れで新郎新婦2人が死んでいたのである。現場状況は所謂密室であり,第三者による殺人は不可能に見えた。婚礼に参列していてそのまま泊まっていた新婦の父は知り合いでその時自宅に逗留していた金田一耕助を呼び出す。前作と異なり金田一が鮮やかに謎を解き明かすお話。

    その他,「車井戸はなぜ軋る」と「黒猫亭事件」という2つの短編を収録。
    「車井戸はなぜ軋る」は田舎の没落名家の間の確執から生まれた悲劇の話。本位田家には長男大助がいるが秋月家で大助と同じ時期に生まれた伍一は二重瞳孔という大助の父大三郎と同じ特徴を持つことから大三郎の不倫の子であることが明らかだった。大助と伍一は同時に戦争に招集され,戦後大介だけが帰還した。しかし大助は戦傷により両目を失い義眼となっていた。伍一は大助の前で戦死したという。大助は明らかに戦争前とは別人と化していた。大介には病弱な妹と弟がいた。妹は家に住んでいたが,弟は病院で療養していた。妹は今の大助は伍一がなりすましていると考え(目玉がないので外見ではよくわからない),女中のお杉に証拠になりそうなものを神社に取りに行かせると,お杉は道中で転落死してしまう。その後,本位田家には侵入者らしきものが現れた後,大助の妻が殺される。そしてその後,大助自身も何者かに殺されてしまう。金田一も一応登場するが,事件の真相には妹自身が気づく。
    「黒猫亭事件」はもう少し新しい時代の話。くろねこ亭という居酒屋が店を畳んで引っ越すことになるが,その際に裏庭から腐乱した女性の死体が掘り出される。死体は損傷が激しく顔がわからない。この死体は黒猫亭の女将のものか主人の浮気相手のものか。金田一が登場して事態は思わぬ真相に向かって動く。

  • 名探偵、金田一耕助の初登場作品です。有名すぎてトリックは知っていたのですが、動機がここまで酷いとは思っていませんでした。内容は、名作だと言われるだけあって抜群ですので、みなさん読んでみてください。併録2作品も優れています。「車井戸は何故軋る」は、書簡体小説で良質な叙述が楽しめます。雰囲気がとても良くぐぐっっと引き込まれました。「黒猫亭事件」では、なるほど金田一がどのような探偵かが良く分かり、とても本格しています。難点は説明が冗長なことくらい。なるべく時系列で読んでいこうと思います。(1946年)

  • 本陣殺人事件。動機は、今となっては全く現実味がないが、発表当時は納得感あったのだろうかと要らぬことを考えてしまう。

    三郎は、今で言うサイコパスだな。じゃあ妻はどうすると考えないはずがない。そんなことお構いなしに、トリックが作れさえすればよかったのだ。

  • 金田一耕助シリーズ2。
    表題作の他に『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』を収録。
    由緒正しい家柄や男女の愛憎、たっぷりと昭和初期の時代を味わえてワクワクする。
    日本刀でズタズタに斬り裂かれるという、今の時代では想像もしない殺され方も、古くからのしきたりが残る村や日本家屋にはピタリと当てはまる。
    『車井戸はなぜ軋る』の切ない復讐劇が1番心に残った。鶴代の手紙の言葉遣いが好きだった。おっとりしていて、無邪気で丁寧で正直。
    どれも古臭さを感じさせない、色褪せない魅力のあるミステリーだった。

  • 「本陣殺人事件」「車いどはなぜ軋る」「黒猫亭殺人事件」の3作品を収録。どの作品もミステリーによくあるトリックが使われているのだが、古臭さを感じさせずに素直に驚きながら読めた。「本陣殺人事件」の殺人の動機が現代ではもはや動機にはなりえないのが気になったくらい。「黒猫亭殺人事件」のミステリーのトリックを重層的に組み合わせており、終盤でどんどん意外な展開が続くのが面白い。ミステリー作品はこうでなくちゃ!と思わせる。

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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