チョコレートコスモス (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 能力のある者たちが舞台の上で観客を魅了し、競い合うところが『蜜蜂と遠雷』と似ているなと思いました。恩田陸さんには、読書を観客のように一緒に楽しませる巧みな技術があるようです。演者が舞台の上でどんな演技をみせてくれるのか楽しみで、後半は一気読みでした。
    本当にこのお話のような演技力を持つ人が現実の役者さんにもいるのかはすごく興味があります。
    舞台を観に行ってみたくなりました。

  • ある舞台のオーディションをメインにした作品。
    芝居を始めたばかりの女子大学生、芸能一家で育った若手実力派女優、脚本家、旗揚げ公演が決まった小劇団。
    読み進めるうちにどうしても漫画『ガラスの仮面』が浮かんでくるが、この作品も負けずに面白かった。
    特にオーディションの場面は、緊張感と高揚感に引き込まれてとても良かった。

  • 恩田陸って読者の読むリズムをコントロールするのが抜群にうまいと思う。
    軽くさらさら読める小説を求めて手に取ったが、そこには見事に合致していた。

    自分が小説を読むとき、ストーリーの面白さを求めている部分と、どんな言葉や表現が出てくるかに期待している部分がある。
    大衆文学を読むときは前者に重きを置いていることが多くて、純文学だと後者に対する関心が大きくなっていると思う。

    しかし、大衆文学作家であっても、読みやすくするための言葉選びについてはこだわりぬいているはず。使いたい言葉があっても、伝わりやすさを重視して、泣く泣く別の言葉に置き換えたりしているはず。
    例えば、作中に出てくる天才たちのことを、別の登場人物がそのまま「天才」と表現すること。それとは言わずに分からせてくれよ、と思ってしまう。しかし、分かりやすさのためにあえてそうしているのではと考えると、自分の文章を陳腐なものにしたくないという葛藤や苦悩がありそう。

    言葉に対してこだわっている点ではどちらも同じなのに、純文学の言語感覚をありがたがってしまうのは不思議なことだなあ、と作者の読みやすい文章を読みながら考えました。

  • 読んですぐ、ああこれは、小説版「ガラスの仮面」だ、と思いました。
    ガラスの仮面を読んだ時のあのワクワク感を小説で味わえるなんて、恩田さんすごい。
    飛鳥がマヤ、響子が亜弓さんなのかな、なんて。
    現実の女優さんでは、私の中では飛鳥は伊藤沙莉さんで変換されました。
    もっと続きが読みたい!と思ったら、「ダンデライオン」という続編を執筆中とか?楽しみに待ってます(この次がいつ出るかを待つ感じもガラスの仮面に似ている……)。

  • すごい物語を読んだ、と思った。
    自分は天才の物語が好きなのかもしれない。
    こういうとき本に対する感想をうまく言語化できない自分が嫌だなあ。

  • 読書が中学生ぶりに趣味に帰ってきた。さがして探して、ようやく自分にしっくり来る物書きを見つけた。これから恩田陸作品たくさん読みたいです。
    こんなクリエイティビティあふれた小説どうやって書くんだろう。
    飛鳥にすごく共感してしまった。続編を読むのがとっても楽しみ。

  • 中盤〜一気に面白くなり、夢中になって読んでしまった!天才は天才なりの苦悩があるんだな〜

  • 恩田陸さんの夜のピクニックが大好きなのですが、夜のピクニックの様に、その場に私が実際にいるかのような気にさせてくれる、そんな小説です。

  • 何回読んだだろう
    何度めでもスリリング!
    演劇という視覚、聴覚、感覚の世界を文章で表現出来るなんて!

    お願いですから構想のある連作を完成させてください
    とてもとても読みたいてです!

  • カバーの通り面白かった。
    実際のオーディションの情景が臨場感を持って感じられる、楽しい話

  • 舞台のオーディションの話。
    育成環境が生んだ天才と全く違う方向からきた天才。
    類い稀な才能のぶつかり合いを目にして鳥肌が立った。
    恩田陸さんはすごいぞ。562頁の圧なんて簡単に飛び越えるくらいすごい。

  • お芝居の話。詳しく言うと、お芝居のオーディションのお話。
    私自身は小学校の学芸会ぐらいしか芝居経験はないが、このお話を読んだら、なんだか自分もお芝居をやってみたくなったし、それは無理でも「芝居」というものを観に行きたいと思ってしまった。
    オーディションの課題に「役者は2人だが、台本には3人出演すると書いてある。さてどうやって演じますか」みたいなものがあって、なかなか面白かった。
    芝居というものは解釈によっていろいろと自由自在に変わっていくものなんだなあ、と感心した。

  • 本当に、ドキドキした。
    飛鳥が、次にどんな演技をするのか、どう演じるのか、どんな驚きをくれるのか。
    想像して、予想してみるけど、どれも違って、いい意味で裏切られた。
    私も、飛鳥に魅了された観客の一人になっていた。

    演劇の世界というのは、考えてみれば、不思議な世界だ。
    現実の中で、皆が本気で虚構を作る。
    あたかも、そこに本当の現実があるかのような顔をした、虚構。
    私は普段テレビドラマを見ることの方が圧倒的に多く、舞台を見ることが少ないのだけど、舞台になると、本当に「現実の虚構」が目の前にあって、不思議な状況が繰り広げられているのだろう。

    観客も、その、演じられている世界を現実として受け止める存在として、「演じている」という記述がどこかにあったけど、その場にいる全員がある意味、共犯的な関係で、その空間を創り出す、という構造はとても刺激的だろう。
    そんな、現実の緊迫感や気迫みたいなものがビシビシ伝わってきて、ドキドキしながらページをめくった。

    『欲望という名の列車』の筋を知らないので、飛鳥と響子のブランチの演技の底に流れる想いがどのようなものなのかをあまり理解出来なかった。それを知ってたら、この話の筋と、『欲望という名の列車』の筋の解釈とで二重に楽しめたのだろうな。

    『チョコレートコスモス』という可愛らしいタイトルから、なとなく恋愛小説か??というイメージを持って読んでいたけど、そんなことはない。
    とてもスリリングで、熱を持った話だった。

  • 面白かった。後半、一気に読んでしまった。
    佐々木飛鳥のつかみどころのない人間性や、役者が持つ独特の世界観、作品を作り出す職業、人の才能を見る目など、私の平凡な日常の中には何のかかわりもない世界だけに、初めはなかなか入れなかった。
    ずいぶん時間がかかった。でも、6割方読み進めたあとは、本当に一気に眠気も飛ぶ勢いで読了。

    この非日常感が読書のだいご味だと痛感。

  • 前半は話が点在していて、とっつき憎さがあったが、中盤からは怒涛の恩田節がさく裂し、一気読み。蜜蜂と遠雷と同じ感覚に陥り、演劇を実際に目の前で観ているようだった。言葉でこんなに表現できるのは恩田氏ならでは。三部作の構想がありながらまだまだ発刊されないのが辛い。続編を切に待ちます!

  •  オーディションを題材にした小説。空手家の少女が,演劇に目覚め歩み始める。天才少女が、どこまでその世界を極めてゆくのか?3部作の予定の作品が、雑誌の休刊で続きが読めない状況なのだという。

  • 劇中劇の緊迫感、臨場感が伝わってきて面白い作品だった。
    ただ、観劇未経験者にとっては少しハードルが高く、途中の展開もどこに繋がるのかが分かりづらい部分もありややグダついた印象だった。

  • 響子さんまじでカッコイイから続編待とうと思った(語彙力皆無)
    どんな役者相手でも崩さずにかつ自然に演じるって難しそう

  • 「演劇」のお話で、とにかくひきこまれた。面白い…。500ページを超える大作なのに、飽きるところが一切なく最後まで読み終えられた。

    清々しい気持ちになれる一冊。
    好きを突き詰めていくことが、様々なことに繋がっていくなと感じた。

  • これから仕事の都合で、こども用劇の台本を書かなくてはならない僕にとってはタイムリーな作品でした。

    劇の部分より、その前後のストーリーや登場人物たちのやり取りの方がぼくは惹きこまれました!
    あとがきで、続編があると書いていて喜びましたが、まさかのないという。。。

    8月に劇団四季を見に行くのですが、それの楽しみ度がさらにアップしました!!

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

恩田陸の作品

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