すべてがFになる THE PERFECT INSIDER S&Mシリーズ (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 天才の会話にはついていけない
    評価3.8
    audible 17時間31分
    kindle 434ページ
     西之園萌絵と真賀田四季の会話で物語は始まる。天才同士の独特な会話であり、これが続くかと思うとちょっとゾッとする。でもこの二人や無愛想な助手国枝桃子も含めて登場する女性はとても魅力的。タバコに寛容な時代背景も少し心地よく自分の喫煙時代を思い出す。
     天才真賀田四季とともにこの物語を歩むつもりでいたが何と彼女は殺人事件の被害者となり退場してしまう。ちょっと待てと言いたいところだが気を取り直して先に進む。   
     なぜか所長も殺害され、副所長も行方が分からない。世間離れした研究所での出来事にその理由も方法も全く想像がつかないし、何がどうFになるかも謎のまま。天才肌の登場人物の中で乱入してきた儀同世津子にちょっとホッとする。
     クライマックスとなり謎が解き明かされていく。真賀田四季は殺されていないようだか、子供が出て来たり、動機も現実離れしていて爽快感とは程遠い。 
     最後のエピローグで登場した真賀田四季の発言も凡人には難しすぎる。読み易い本ではあったが、全体としても話がこねくり回されているだけで読書前の期待値には到底及ばない。ただ、犀川と萌絵の関係は心地よく続編もトライしてみようかな。真賀田四季にもまた会えるかも知れない。

  • 天才ゆえに許される一言。
    「会話に、そのような導入部は不要です。接続詞もいりません。脈絡というものには興味がありませんから」p13。

    ただ、天才以外にもこの一言が許されるのは信愛なのかも。(相手に興味を持ち、本気で聞いて理解しようとする心)

    脈絡なく伝えられる関係。
    きっと正解じゃないけれど、そんな関係も素敵だな。

  • ずっと気になっていた森さんの作品を初めて読みました。
    理系ミステリーと言われているだけあって、
    最初はちょっと取っ付きにくい感じかなと思いましたが、
    いろんな意味ですごい衝撃を受けました。面白かった!!

    まず、これが1996年(20年以上前!)に発行されたとは思えないくらい、
    IT、テクノロジー、VR等…今の時代と同等のレベルの世界が
    すでにリアルに描かれていることに驚きました。
    「仮想現実の技術は、どんな役に立つのでしょう?」
    「仮想現実は、いずれただの現実になります。」

    離島にあるハイテク研究所内での殺人事件という
    典型的なクローズドサークルの作品ですが、
    犯人捜しよりも、そのハイテク環境にまず惹かれ、
    さらにその最新のIT技術を背景とした謎解きにワクワクし、
    天才的な真賀田四季博士と犀川先生との数学的な答え合わせに衝撃。

    「すべてがFになる」
    ・・・最後にこの意味がわかった時、快感を覚えました。

    数学が得意なわけではありませんが、
    私は大好きなタイプの作品です。
    シリーズ読んでいきたいと思います!

  • 最初に読んだ時は、結構衝撃があったなぁと思うのだけど、特に衝撃があったのか思い出せない。

  • 理数系が苦手な自分にとっては、理系ミステリに苦手意識があったけれど、わりとさくさく読めるシリーズかなと思った。専門用語や計算を多用した謎解きは想像力が追いつかず理解するのが難しい部分もあった。
    あと、情景描写が細かく、読み応えがある。
    天才・真賀田四季の考えることは常人の理解の範疇を超越している。天才に加えて、少女時代の経験や計り知れない心への衝撃も、その後の彼女の思考や行動に繋がっていったのだと想像した。
    SF要素もあり、犯行動機や最後の場面に想像の余白が残されているので、モヤっと感が残るとも言える。

  • 犀川先生や、真賀田四季の哲学的な言葉や、考え方、そんな考え方普通はしないよね?と思いつつ、納得させられてしまう。なるほど!と。
    密室である真賀田四季の部屋からウェディングドレスを着て出できた死体。犯人は誰?
    とにかく、ノンストップで夢中で読んだ。
    プログラミングの専門用語なども出てくるが、知識がなくても楽しめると思う。
    四季博士については謎が多く、もっと知りたい!と思うので、シリーズを追いかけて、せめて四季シリーズまでは読みたい。

  • トリックがめちゃめちゃ面白かったです!
    今まで読んだミステリーの中で1番腑に落ちた真相でした。こじつけもなくてシンプル。
    真相の解明にVRを登場させた意味はよくわかりませんでしたが、つまり真犯人も遠隔で参戦できるから、ということでしょうか…
    当時読んだ人にはなかなか受け入れ難かったかも、と考えると、時代がようやく作品に追いついたのかと感動しました。

    『すべてがFになる』
    もう少し頭を捻って考えたらこの意味に気づけたかもしれません…特に理系の一部の方々ならば。
    当てずっぽうにFから始まる単語を考えるシーンが度々登場しますが、そもそもその研究所がどういう分野の研究を行っているかもヒントだったんですね〜
    もうすぐ情報が共通テストの必須科目になるようですし、今やプログラミングを学ぶ機会も増えています。
    やはりそういう点でも時代の先駆けだったんですね…すごい作品だ。

  • おもしろかったがわからないところがたくさんあるー!!25年前に書かれた本とは思えないほど未来的で、特にVRカートなんて当時は想像の斜め上だったんだろうなあ。最初の章は??だらけだったけど、大学が舞台になってから身近に感じられてどんどん読み進めた。不気味なシーンも多いけど楽しめます。他の本も読もう!

  • 久しぶりに読むことに没頭した。面白かった。
    この作品は1996年?ごろに書かれたもの。当時のパソコンだとか照明(蛍光灯でLEDではない)とか生活環境などが思い出される。高価なマックを使っていたのもこの頃。しかし、ストーリーの中に出てくるものの考え方や近未来への洞察力は強烈で冷静な分析に基づくもの。ものすごいものがある。2022年の今、四半世紀を経ても科学技術に関するモノの見方や考え方が全く色褪せていない。とても良い時間を読書で過ごすことができた。今回が彼の著作を読む初回だとは、もったいない時間の使い方をしてしまったものだ。

  • 2022/9/19読了

    読み終わって改めていいタイトルだと感じました。
    常人を凌駕する秀才がたくさん登場するからこそ、本当の天才の怜悧な様が際立っていました。
    生と死、仮想と現実など哲学的な議論の描写も納得させられるものが多く、森先生自身の聡明さがわかる作品でした。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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