新世界より(下) (講談社文庫) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
4.16
  • (71)
  • (50)
  • (29)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 598
感想 : 43
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (423ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 下巻は、血なまぐさいシーンやジメジメした気持ち悪さのシーンが連続します。
    人間とバケネズミとの殺戮の火蓋が切られ、バケネズミ側の仲間に悪鬼が現れて、人間側は恐慌に陥ります。

    悪鬼を倒すための切り札、サイコ・バスターを手に入れるため東京に向かう早季と覚たち。
    廃墟となった東京の風景や、東京の地下の描写、そこに出てくる異形の生物の描写が圧巻です。
    地下の汚泥の描写は鳥肌ものです。ビルや道路などが荒廃した景色はリアル感があります。

    そして道案内のためのニセミノシロモドキ。3巻を通じて1番ユニークな存在なのが、なんといっても国会図書館移動式端末のミノシロモドキでした。隙とみると点滅光で目眩しをしたり逃げようとする、最初に利用者登録を要求する割には破壊するというと登録を省略してしまう、説明を始めるとやめろと言わない限り延々と聞きもしないことまで説明し続ける・・・開発者の意図を聞いてみたいです。この物語では大きなウエイトを占めています。

    そして構築された緻密な世界観の中で、人間とバケネズミの関係があまりにもショッキングでした。私には予想できなかったです。

    おもしろい、そして、考えさせる小説でした。

  • 6日間で一気に上中下読み終わりました新世界より。

    夏祭りの夜に起きた大殺戮のシーン凄かったな…。
    どんどんどんどん人が死んでいく。

    人類はその痛みと共に生きていく。
    真相を知ってしまっても生きていく。

    という決意の下巻。

    制御しきれない力を制御しようとした時点でこの未来は約束されていた気もしている。

    だけど、それってSFの中だけではなく、今生きている目の前の世界も一緒だよな。

    新型コロナウイルス感染症の影響で家にいることが増えて、その中で読めてなかった新世界よりを一気読みしたけど…余計に考えさせられてしまったな…。

  • 12年が経過してバケネズミの反乱が始まり、一気に収束。夏祭りの反乱開始から東京の地下道の戦いまであっという間に読んでしまった。結局は呪力を持つ者と持たざる者、同じ人間同士の戦いだったとは。何ともやりきれない最後でした。「たとえ、元は借り物や偽物であっても、百年も続ければ、それは、由緒正しき伝統へと変わるのだろうか」という言葉が印象的。

  • 読み終わったー!世界観が面白かった。どっぷり浸って一気に読んでしまった。
    怒涛の展開はお約束な部分もあったが飽きなかったし、興味深い結末だった。
    奇狼丸が格好良い。でもあの作戦を提案した早希、どうなのよ。

  • 昨日に引き続き、本日は下巻を一気に読む。
    この下巻、重大な場面転換があった上に、思いもしなかった事件が起こる。
    状況の想像に慣れて来たおかげで、終盤の展開に緊迫感が漂いまくり、
    というすばらしい相乗効果が。いやぁ、かなり凄いです、コレ。

    上巻を読んでいる時は正直冗長だと思ったのだけど、やっぱり長編は
    ひとつなぎで読むべき。中巻から下巻までの流れは上巻で敷いた伏線が殆ど
    処理され、納得度も高い。上中下巻を通した作品としての評価はかなり上が
    った。いや、恐れ入りました!

    特にクライマックス、裁判所での被告の言葉に戦慄。
    最終的には考え込んでしまう程の、深い深い作品。
    SF好き・ファンタジー好きは絶対読むべき!

  • 人間があまりにも身勝手で、バケネズミのほうに感情移入してしまう。
    奇狼丸が味方か敵か最後まで判らなかったが、味方だったということが唯一の救い。
    絶対読まないだろうジャンルだったが、最後まで面白く読むことができた。

  • 「心から恐怖を追い出せるほど強い感情は、怒りしかない。」

    上中下、すべてが最高に面白かった。読むのに夢中すぎて、降りる駅を逃してしまった。久しぶりの経験だ。

    バケネズミは人間と同じだった。
    子供の悪鬼の設定はよくできていたと思う。野狐丸がそれに気づいていなかったのは疑問だが。

  • 電子書籍だったので、本の厚みは分からなかったけど、一日一冊しか読めなかったところを考えると、それなりに厚い本だったんでしょう。けど、その時間が過ぎるのはあっという間でした。
    自分は生来根気強いタイプではなく、長編を読み切る力に乏しい。なので、これまでの読書歴も、一冊ものか、どこで区切っても「まぁいいか」な連載物が主でした。
    そういう意味では、一ページ目から結末までの伏線をしっかり張った長編を読むことの良さを教えてくれた、意義深い作品に出合えたような気がします。
    とにかく、夢中で読んだ。面白かったです。
    敢えて言うなら、読み始めに煽られ、期待してしまった結末とはちょっと異なり、惜しい! という気持ちになってしまった感は否めませんが・・だからこそ、次の本を探す原動力にもなろうというものです。
    ありがとう!

  • 最高!読むべき!みたいな声が多かったので、期待値が大きすぎたのかも。
    中盤くらいまでは世界観、先の見えない展開に読む手が止まらなかったが、話が進むほどピンとこなくなってしまった。このラストに辿り着くためにこんなに文量や細かい設定が必要だったかな?と感じた。

    主人公含めこの世界の人間たちが、最後までバケネズミを下に見ていることに共感できなかった。
    ただ、歴史上人間はたくさんの生き物(時には人間同士ですら)を下等生物として扱ってきたわけであり、私が部屋に入ってきた虫を殺すのと、主人公たちがバケネズミを殺すのは何も変わらないとも思った。共感できないのは物語として読んでいるからなのかもしれない。

    もっと若い頃に読んだら純粋に楽しめたと思う。地元の竿燈が出てきたのはテンションが上がった。笑

    (メモ)
    人間の洞察力が最も低下するのは状況が最悪だと思えるとき。絶望的な状況にいる中で、実際の事態はさらに悪いのではないかと冷静に疑う人間はまずいない。儚い希望を探し求めるあまり危険な兆候を見過ごしてしまう。

  • 色んな要素をきれいにまとめあげたSF作品です。

    最近漫画「推しの子」を読んでいても思ったのですが、様々な要素をはち切れんばかりに詰め込みつつも、きれいにまとめ上げられている作品です。

    戦、生物学、超能力、歴史、科学etc...
    そういったものがSF作品なのかもしれませんが、今までSFを読んだことの無い私にはすごい構想力だなと感じました。

    「万引き犯」とか「ペット殺し」とラベリングすることで罪が陳腐化してしまう云々カンヌン...というのがやけに心に残ってます。

全43件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

貴志祐介の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×