冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 作者のどんでん返しを考え、これには裏があると思い、裏があると思わせてきっとそうではない、と考え、裏の裏は表とは限らないとか、とにかく、読んでいる間中、思考が逡巡する楽しさを十分に味わいました。
    下巻に入ってからの、徐々に見通せるようになる作中の景色、そして、解決が見えてからの、冷たい雪が解けていくような暖かさを感じながらの怒涛の展開。
    やはり、辻村深月の始まりはこの作品だったのだなと、確信と感心しました。
    時間の使い方、登場人物の現れ方、後々の作品に生きているように思います。
    過去の多様な暗部も、生きていく過程では糧に変わっていくような、この作者の作品を読んで最も感じることは、明日も生きていこうと思えること。なんかいろいろあるけど、人生捨てるほど悪くはない、と思えること。
    「HERO」の章がほかの章より長いなあ、と思いながら読んだのですが、そうか、そういうことだったのか、と納得しました。
    私は、本作品、とても楽しめました。
    暗夜を乗り越えて朝日を浴びたような読後感。
    沢筋を詰めて、尾根をあがり、山頂直下で一泊、山頂で拝んだご来光。
    そんな登山の行程を感じ、強い爽快感を覚えたのです。

  • 登場人物の一人である菅原のエピソードは感動した。このエピソードだけでもこの本を読む価値は十分にあると思う。登場人物の高校生たちは仲の良い友人がたくさんいて羨ましい限りだ。友人関係やいじめについて考えさせられる 一冊となった。

  • 評価2.4
    kindle 430ページ
    あまり触れてほしくないような個々の過去が述べられており気持ちよく読めない。小説の深みを与えているのであろうが。
    作者と同じ名前の深月がやはり自殺者なのであろうし、そうでなくては名前の説明にはならない。でも上手くおわるのかな?
    自殺者が春子 菅原榊 深月の自殺などちょっとよくわからない
    最後の春子も謎 
    何と言っても深月の皆を巻き込んだ意図が分からない
    長く読んだがそのかいもなかったかな
    広げた風呂敷を畳んでほしい
    結局8人の甘酸っぱい高校時代を見ただけか
    ヒロと菅原の話しだけは分からなくもないか

  • 【あらすじ】
    彼らは思い出せない。どうしても自殺したクラスメートが誰だったのか。
    次々と仲間が消える中、抵抗も空しく時計は進んでいき、鳴り響くチャイムとともにまた1人誰かが消える。彼らを異空間に閉じ込めた「ホスト」の正体とは誰なのか?不思議な現象の真相とは一体・・・。

    【感想】上・中・下巻まとめて
    ホラーファンタジーってところかな・・・。謎は大きいがミステリは弱め。
    テンポが悪く読むのに非常にストレスだった。
    最後何かどんでん返しあるかなと期待したが、出てきたのはユーレイ・・・。
    一人一人のバックボーンを書きたかったのかもしれないが、一部を除いて薄い内容をダラダラ書かれているため長いうえ、多々違和感があり共感も難しかった。
    メインの8人+αの人間関係はもちろん、物語の設定上か無理矢理好感をもたそうとしている表現だったり、6歳だか7歳くらいの子がこの歳でこんな事言わないだろ感動させようとしてるのか?と感じたり、中学生が4歳もの年上女性に対する接し方など違和感半端ない。

    ヒロ、みーちゃん、鷹野、博嗣。
    榊、菅原。
    このあたりミスリードさせようとしたてたのなら陳腐すぎる印象。

    あらすじは面白そうなので、もっと無駄を省いてすっきり読めるようにしたら並の作品になるかもしれない。

  • 深月はそんなに弱いやつだったか?みたいなニュアンスにゾクッとした。
    それぞれの事情、思春期の悩み、地獄な環境
    それが上手く描かれていると思う
    真実は残酷で、でも生きているからこそ乗り越えなくてはいけない事もある
    忘れていい事もあるし、忘れちゃいけない事もあると思う。
    雪が降ると冷たい校舎を思い出すようになった
    あの寒い閉じこめられた校舎で過ごした時間は私にとって長く感じた
    きっと短く感じる人もいるんだろうな
    途中それぞれの内側の叫びに共感したり、感情移入して辛い部分があった。
    最後はでも前に進んで良かった

  • 仲間を閉じ込めた正体は予想通りだったが、そこに至るまでの関係が意外に気づかなかった。 結局、起きたことは起きたわけで、彼らが背負っていくことには変わりない。 それでも前を向いて生きていくことが出来るようになったのは救いではないだろうか。 登場人物それぞれ深掘りされたが、みんなのキャラがすごく愛せた。 架空の人物なのは承知だが、みんな幸せに生きてほしいと思った。

  • 私は、この校舎の中に8人が閉じ込められたことは悪いことではなかったと思う。ここに来たことによって、本当の事実を知れた。未来が変わったと思う。みんなの過去が泣きそうになるほど深かったし、ここで起きたことも心に刺さったけれど、深月のこと、春子のこと、みんなのことを知れた。大切なものに気がついた。最初と最後では、明らかにみんなの態度や「何か」が違う。そう思う。話題を変えて、私は景子さんがかっこいいと思った。自分と前向きになって、目をそらさない姿勢が尊敬できる。言葉遣いからかっこいい笑
    そして、本当に、深月が楽しそうでよかった。ただそれだけ。

  • お決まりの大どんでん返し。
    なんでこんなに9割退屈で1割最強に面白いのか...

  • 辻村深月のデビュー作。
    周囲の評判がイマイチだったので読んでなかったのだけど、普通に面白かった。
    まあ、無駄に長いと言いたくなるのも分かるけど。
    ただ、長い分、読んでるうちにホストも自殺者も分かってしまったのが残念。

  • 無駄に長いというのが第一印象。平易な文章の割に読みやすいわけでもない。文章や表現が冗長で、同じことの繰り返しが多く、どうでも良い描写も多い。もっと短く簡潔に表現した方が読みやすいし、わかりやすいのにと何度思ったことか。半分以下の分量に十分にできるし、その方が良かった。
    超常現象を認めたうえでのファンタジーミステリーという扱いなのだろうが、超常現象の設定が、『ぼくのメジャースプーン』の時にも感じたことだが、とにかく変てこりん。なんでこんなけったいな設定にするのかな、と思う。さらに、この作品では超常現象の内容が明確ではなく、作者のさじ加減でどうにでも真相を変えてしまうことができる。読者が推理するような要素は皆無。
    同級生の自殺に対する罪意識、みたいなことが書きたかったのかもしれないが、正直話が面白くなく、つまらない。唯一面白かったのは第十四章「HERO」だけ。
    県下一の進学校に梨香や菅原のような生徒はいないだろうし、会話の内容や生徒の質が進学校の割にはおそろしく低次元。
    そもそも、誰かの心の中に他人が取り込まれるなどという馬鹿馬鹿しい話を信じている登場人物は、低能以外の何ものでもない。
    第十六章以降に、自殺した生徒の名前、榊や鷹野に関するある秘密が明かされるが、たいした内容ではない。
    こんなくだらない作品でもメフィスト賞が取れるのか、と驚いた。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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