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感想・レビュー・書評
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南京奇望街の娼婦・宋金花(そうきんか)は、亡き母の影響で5歳のとき基督教(ローマ・カトリック)の洗礼を受けた、気立てが優しく笑顔の絶えない15歳の少女でした。ある日本人の客が「こんな稼業をしていては 天国に行けないと思わんのかい」金花は「この商売をしなければ お父さんも私も飢え死にしてしまいます 天国の基督様は きっと私の思いを汲みとって下さると思います」そんな金花が梅毒に侵されると〝飢え死にしても お客に迷惑を掛けたくありません 天国の基督様どうかお守り下さい〟と、十字架の前で祈る金花の処へ・・・。
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何も言うことはない。
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金花の無垢さが清水のようで、心が洗われます。一方で彼女の信仰体験の官能的なこと。そういえばベルニーニの『聖テレジアの法悦』の官能的な表情にも驚かされた。品があって端正な日本語に、ここの所ざわざわしてた心が少しなだめられました。最近英文を読み書きする機会が多く、日本語の読書をしていなかった。やはり私の根っこにある言語は日本語なのだなと再認識しました。
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これは芥川龍之介らしくない話で、その異様さが楽しめた。
金花の梅毒を、キリスト似の男が治してくれた。
ってとこで終わってたら、なんて素敵な話なんだろうとおもったけど、最後にオチがあったのに、すってーーん。
「ちゃんちゃん」
って最後言いたくなった。
なんか笑えるーー。
こういう芥川の作品もたまにはいいね。 -
鰯の頭も信心から、な話しだけど、そんなふうに茶化してはいけないよね。 金花の可愛らしいこと…。 まるで、マッチ売りの少女。 可哀想で無垢なものを可愛らしいと思ってしまう、我が心の卑しさよ。