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感想・レビュー・書評
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米原万里さんの文章はとても親近感があり内容が暗いのになぜこんなに入ってくるのかな,と思ってしまうほど。激動の時代、違う国の話ではあるが、当時の子どもがそれぞれ逞しく大人になっており、今を生きていることが生き生きと書かれている。とても興味深く、米原さんの行動力にも驚くばかりの内容だった。
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米原さんの本を読むたびに、こういう本をもっと中高生のときに面白いと思って読めればよかったと思う。
こんな世界があるんだ、語学を身につければ新しい価値観の中で場所を見つけられるんだ、と純粋に憧れる。羨ましい。
人は幾つになっても学べる。大丈夫だと思いつつも、面倒臭くて行動に起こせない自分がいや〜 -
さすがエッセイの名作と言われているだけあった。こんな昔に社会主義をめぐる世界の動きを海外で少女が実際に経験していたことへの驚き。複雑な状況の傍ら、友人たちとの著者の中学生生活はただただ純粋で、その後帰国してからも友人たちの母国を心配しては連絡を取ろうと実際に海を渡っていて、現在の情報に頼りがちな生活よりずっと物理的変化と経験に富んだものだったように思う。渦巻く社会主義の流れの中で必死に生きている個人と家族が生き生きと書かれていた。
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自分の居る世界が狭いことをしみじみ実感。
今自分が置かれている環境や、自分の周りにある価値観が沢山の多様な価値観の中のほんの一粒でしかないことを知っておかないといけない。 -
高橋源一郎の飛ぶ教室2023.10.13
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綺麗事だけでは成り立たなかった共産主義思想の、その最盛期とその後。
共産主義の理想と実際の体制が内包する矛盾とを、綺麗に無視して受け入れていた著者のお友達の子供時代のお話と、ソ連崩壊後しばらく経ってからのお話。
ついつい本人達につっこみをいれたくなるけれど、結局はどんな教えを教え込まれ、どんな道徳感や社会思想を持たされていたか、という教育の結果でもあるのだろう。そう思うと責められる謂れは無いのだろうな。 -
米原さんの本は『うちのめされるようなすごい本』に続いて二冊目だが、本書も正に「すごい本」だと思った。ノンフィクションなのに歴史小説のようでもあり、探偵小説のようでもあり。最後はドキドキしながらページをめくり、夢中で読了した。
舞台は1960年代のプラハと90年代の中・東欧。著者が9歳から14歳までを過ごした在プラハ・ソビエト学校の級友とその家族たち。生まれも育ちも民族も母語も異なるひとりひとりの人間がいきいきと描かれている。マリが旧友と再会する場面はとても感動的だ。
ニュースタイトルとしての記憶しかないプラハの春とワルシャワ条約機構の軍事介入、チャウシェスク政権とルーマニア革命、ユーゴの民族戦争とNATOの空爆といった歴史的な事件がどれだけ人々を翻弄したのかを改めて教えてくれる。ある者は家族と別れ、ある者は亡命を余儀なくされ、ある者は精神に変調を来し、ある者は教え子をかばって処刑される。
その昔「三無主義」という言葉がはやったことがあるが、自分もいかに世界に無関心だったか。もっと若いうちにこんな本を読んでおきたかった。 -
思いのほか面白い
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そろそろ、朝ドラにならないか、米原さん。プラハを舞台にした少女時代は朝ドラだと無理かなぁ。政治情勢も描かないといけなくなるし。
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先に「オリガ・モリソヴナの反語法」を読んでいたので、うっかりするとこちらも小説を読んでいるように感じてしまう……頭ではノンフィクションだとわかっているのに。
日本の一般家庭で普通に育った者(つまり自分)には想像も付かない世界。
ロシアや東欧諸国に関する知識が不足している状態では理解が及ばない部分があるので、もう少し勉強してから再読したい。