悪魔の舌 [Kindle]

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  • 2012年10月1日発売
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  • 2023.6.7読了

    語り手である「自分」は、奇異な友人の「金子」より謎の電報を受け取り、会いに向かうと金子は自殺していた。
    驚きつつ電報にあった場所に戻りよく調べると、金子の書き残した文書が見つかる。そこには、金子の恐ろしい秘密が記されていた。

    悪食に魅せられ破滅した男の独白。

    youtubeオカルトエンタメ大学の「東雅夫氏の選ぶ日本最恐ホラー小説Best10」にて10位にランクインされていて未読だったので青空文庫で読んだ。

    非常に短いがとても味わい深く、今となっては新規性こそ失われているものの、発表当時はかなりショッキングだったろうと思うと楽しい。伏線もきれいに回収されつつ、しっかり嫌な気分にもしてくれる。

    著者は、明治・大正時代の洋画家・詩人・作家。
    宮沢賢治と同年生まれだが、賢治が37歳まで生きたのに(それでも若いが)酒浸りの退廃的な生活を重ね、結核性肺炎を患い、当時流行ったスペイン風邪にかかった状態で雨の中飛び出し畑で倒れているところを発見され、直後22歳で夭逝した。高村光太郎と親交があった。
    愛知生まれ京都育ち、亡くなった際は渋谷区代々木で暮らしていた。
    母親が女中奉公をしていた関係で、森鴎外が「槐多」の名付け親だとか。

    才能があったのにもったいないとも思うが、「火だるま槐多」と光太郎が言うように太く短く生ききったんだろうな。

  • 著者は22才で病没した洋画家という。こういう作風で押していけば、夢野久作などと並び称された作家になっていたかもしれない。小松左京の「凶暴な口」を思い出したが(自分の肉体を食べ尽くす話)、もしかするとこの作品へのオマージュなのかもしれない。

  • 弟の足の裏の印?どういう感じで関わってくるんだと思ったらそういうことね〜!
    金子に見えてた「悪魔」、悪魔だと思いたかっただけで自分自身の一部だったんだろうなと思うとゾッとする。切なさもあるけど、食べたのが弟じゃなかったらきっと罪悪感なんて抱くことなく人を食べ続けてんだろうな…

  • 「癖」すぎる。こういうの大好き。短くて読みやすい。

  • 題材としては現代ではたまにみかけるカニバリズム。当時はなかなか背徳的だったのでは。
    やってることは猟奇殺人なのでサイコパスかと思いきや、ラスト食べたの弟だった…ってショック受けて自殺するあたりが、結構純粋なんだなーって。

  • グロいのは苦手だ…。怖くはないが、嫌悪感が走る話だった。

  • 最後の一文が切ない。

  • ある日友人から手紙が届く。
    しかし、その友人は手紙を出した後に、火箸で胸を突き、自殺してしまったという。手紙には何と書かれているのか、緊張しながら開いてみると…。

    突然病のように自分の舌が「悪魔の舌」に変わる。
    悪食に走るようになり、腐ったものやゲテモノを食べて紛らわしていたが、突然気づいてしまう。

    「人間の肉が食べたい」

    この人間としての最後の禁忌を破った彼は、食べた少年の足を見て気づく。これは自分の弟だ。

    そして彼は自ら死を選ぶ。
    短いけれど、さっと冷たい風になぶられたような気分になった。

  • 変わった絵を描く人だと思っていましたが、こんなにグロテスクな小説を書くとは思いませんでした。彼の絵をみるたび何か勘ぐってしまいそうなくらい、パンチの効いた短編でした。

    大正って自由な時代だったんですね。

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