ドグラ・マグラ [Kindle]

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  • 2012年10月1日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 読み応えあり。
    精神に異常をきたす奇書とのことだったのでどのタイミングで手にとってみようか悩んでいた書。
    読み始めたらとまらなくなった…という点においてのみ
    異常をきたしたかと思える。

  • 読むと精神に異常をきたすというドグラマグラ、や~~っと読み終えた。
    チャカポコのリズムに、のせられて読んでいる時には、異次元にイってしまいそうになったのは事実。

    ちょうど読み始めた9月半ば頃、福岡発のニュースで、この小説に登場する時計が公開されたとの事。
    夢野氏の遺品の柱時計は九州大学の資料館に保存されているそうだ。
    「ブウウーンンン」と鳴る時計なんて聞いたことがない。
    間近で拝見致したいものだ。

  • ずっと読んでみたかった。読後忘れられないこの頭のこんがらがり....というインパクト...
    なんのかんのといいつつ途中でやめることもできず読了させる力がすごい。そして何にも分からず......スチャラカチャカポコ.....

    とはいえ、つまりはこのドグラ・マグラは作中でドグラ・マグラについて解説している通り、精神異常者の思考の断片であり、かつ人は皆精神異常者であるということをもって考えると、我々の思考をそのまま文にするとこんなふうにシッチャカメッチャカなのかもしれないと思った。
    誰かしらみな異常者である、あるいはひっくり返せば皆健常ともいえ、そうした考えは現代ではわりと浸透しているように思える。この本が出た当初はもっと精神異常者と健常者の間にハッキリと線が引かれていて、誰もがみな自分だけは"キチガイ"ではないと思っていたのだろうから、よりインパクトのある、読者を発狂させる力があったかもしれない。

    この作品はこんなに読者の頭をこんがらがらせるにも拘らず、「脳髄は考える処に非ず」といっているのがまた皮肉で面白い。詳細を考えすぎず、端的にこのすべての話が胎児が見る夢の数々とシンプルに考えると、ますます面白いように感じる。

  • 先日読了した『読んだら忘れない読書術』の著者が、『運命の一冊』と紹介していたため、興味を持ち読んでみました。

    『日本探偵小説三大奇書』に数えられ、『本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす』と評されているようで、期待と不安を持ちながら読み始めました。

    不思議な世界観があり、物語に引き込まれる一方、ボリュームがあり途中間延びしているように感じるところもありましたが、後半のストーリー展開が一気に加速し、気がついたら読み終わっていました。

    正直、全てを理解できていないところはありますが、とても新鮮で面白く、またいつか再読したいと思います。なにはともあれ、精神に異常を来さなくて良かったです。

  • 後半、謎が解けてスッキリするのか、しないのかというあたりをうろうろして、せんのかい!で終わる感じがまたこの本のステキにいいところなのだろう。

    前半はひきつけられ、中盤の論文も賛否両論あるみたいだが、学術的な話ではないので、推理小説の創作と考えればステキによいものである。
    後半の唐の話になったあたりからどこまで飛ぶのかと感嘆してしまった。

    日本三大奇書であるが後味が微妙なところふまえてステキな読後感である。
    ステキに。

  • 初めてのkindleでの小説。

    日本探偵小説3大奇書の一つと言われており、ずっと読みたかった本書。まさか、青空文庫で手に入るとは知らなかった。

    1935年に描かれたということにびっくりした。
    現代に照らし合わせても十分に通じる部分があり、
    文章もいろいろな話し手の口述記述があり、非常にリズミカルに読める部分も多い。

    かなりのページ数に時間がかかったが、一度は読んでおきたい小説である。

  • 幻惑、幻惑。

    読 み 終 わ っ た ー !
    やっとのことで読み終わった。半年近くかかったなー。
    「読むとキチガイになる」という噂が気になって調子のいい時しか読まないようにしてたのと、祭文のカタカナ文章や正木教授のもったいつけた話しぶりが読みづらいのとで、なかなか前に進めなかった。
    はー、疲れた!

    しかしほんとに奇妙な話だったなあ。

    はじまりはこうだ。
    自分の名前も、過去もなにもわからない青年が鐘の音とともに独房で目を覚ます。
    そこはどうやら精神病院で、青年の婚約者だと名乗る少女の逼迫した声が壁伝いに聞こえてくる。
    一体自分はどういう人間で、なぜこんな所に入っているのだろう?


    ※以下ネタバレ注意





    その謎を追っていこうとページをめくると、『ドグラ・マグラ』という原稿が作中に現れる。
    そしてこの本の仕掛けについて、親切に教えてくれる。
    奇妙キテレツな祭文、談話、論文、遺言書、事件記録、昔話などが挿入されて、一体何が言いたいやらわけもわからぬまま読み進めるが、青年の過去と関係しているらしい怪事件の真相、そして青年の正体を知る段になると、その全てが本筋そのものになっている…そうだ。
    しかも、この作品の終わりに鳴る鐘の音は、最初のものと同一であり得るという。
    私が半年かけてこつこつ読んできたこの本は、一瞬の出来事だったかもしれないのだ。
    それならまだいいが、一瞬の出来事でさえもなかったかもしれない。
    ただの妄想、夢。
    そういう「惑わし」がたくさん詰まった作品である。


    怪事件の真相に至ってもそうだ。
    「犯人は俺だよ…」と正木が自白するが、これは「自分がやったから」ではなく「自分にしかできないから」らしい。
    自分が犯人なら、やったことを淡々と語ればいいのだ。だが彼はそうせずに、WとMの物語を聞かせて「黒幕は誰か?」の判断をこちらに委ねる。どうもはっきりしない。
    そうするうち物語はWとMの非道な行いを紡ぎ出し、ついに青年が声を上げる。

    だが待てよ、と。
    色々と前もって準備ができる正木・若林の言葉や書類を、一体どれだけ信じられるのか。
    もしかして全部よくできた嘘で、かつがれてるんじゃないか?
    そうやって、青年が呉一郎だと思い込ませるつもりじゃないのか?
    こちとら一郎がそこに見えるんだぞ。それを、離魂病だのなんだのと。

    だいたい学術のためとはいえ、「子どもを孕ませてその子が将来狂人となり殺人を犯すよう準備を整える」なんて、そこまでするか?
    呆れた話だ、もしこれが本当なら。学者先生たちまで巻物に取り憑かれてるじゃないか。
    「もし本当なら」、ね。

    ここにくるまで散々脳をかき回された分、こういう疑念がこびりついて離れない。
    青年もこの「幻惑」を映すかのように「アッハッハッハ」と突然笑い出し、犯人なんていなかったんじゃないか、偶然に起きたバラバラの出来事を無理やりつなげてこんがらがってるだけじゃないのかと言い始める。

    そんな疑念にひとまずの終止符を打つのが、巻物の最後の文字だ。
    これで父親が誰か、黒幕が誰かが青年の頭にピン!ときて、ショックから彼は外に飛び出してしまう。だがこんな時でも私の疑念は晴れない。
    本当に見たのだろうか。
    本当にそこに文字があったのか?

    外気に触れて戻ると、さっき見ていた資料にほこりがかぶるほど時間が経過している。
    そのほこりをかぶった資料の中に、さっきまで話をしていた正木の自殺の報。
    解放場の流血沙汰の記事。

    青年は思い出す。謎に対する答えを。
    離魂病、夢遊状態、胎児の夢、被害者の最後の表情…。
    ようやく探偵物語は終焉を迎え…

    そして鐘が鳴り、私たちは夢から覚める/眠りに落ちる。
    また最初に帰るのだ。

    『胎児の夢』でこんなことが書かれていたのは、この時のためだろう。

    - - - -
    一秒のうちに一億年が含まれていると同時に、宇宙の寿命の長さといえども一秒のうちに感ずる事が出来る訳である。

    五十年や、百年の間の出来事を一瞬、一秒の間に描き出すのは何の造作もない事である。

    盧生が夢の五十年。実は粟飯一炊の間……とあるのは事実、何の不思議もない事である。
    - - - -


    さて、ここまで青年の身に起きた出来事は、現実に起きた事なのだろうか。
    「正木との会話」が十月二十日の繰り返しだと考えたように、いつかの出来事を繰り返し夢に見ているというのか。
    それとも全て、夢の創作に過ぎないのか。
    一秒にも満たない、刹那の夢の。

    狐につままれたような心持ちで、今はいる。


    読書メモ:
    http://haiiro-canvas.blogspot.jp/2013/05/blog-post_14.html

  • 角川文庫のは表紙が恥ずかしい感じだったので、図書館で借りるの嫌だなーと思っていたら、playブックスで無料ダウンロードできて、良かったです。
    この本の表紙は変な物が多くて、角川のも下巻は特に下品なだけで、こんな話ではないのでは?と思いながら読み進めていったら、やはり全然角川の表紙は関係ない、凄い話でした。

    関係ない前置きが長くなってしまいました。
    この本のレビューで一番多いのが難しい、わからなかったというものなので、気になってしまい読んでみました。
    何でこんな面白い本を、今まで誰も教えてくれなかったのー!という感じでしたよ。こんなに熱中して読んだ本は久しぶりです。
    難しいですかね?文体が所々でくっきり変わり、気分を変えて読めるので飽きませんでした。

    スリルがあって、笑えて、恐ろしくて、狂っていて、泣ける…。
    今とても切ない気持ちです。

  • 2022/11/29~2022/12/8の10日間で読了。
    数年前はキチガイ地獄外道祭文(チャカポコ)で挫折したが、今回は映画を観た後だったので少々読みやすくなってた。

    死体解剖室の奇怪事、姪之浜の花嫁殺し事件、窓の外に見えた解放治療場の光景、絵巻物の由来..読み進めて行くうちに惹き込まれるシーンもあって面白かった。兎に角、色々なひとに振り回される「私」が不憫。

  • 三大奇書ということもあり途中から理解できなくなったがなんとか読破。「考えているのは脳髄ではなく全身の細胞」や「胎児は胎内で先祖の体験の夢を見ている」など精神の研究が未発達な時代に書かれたからこその著者の独特な精神に対する考察が特徴的。

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著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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