悟浄出世 [Kindle]

著者 :
  • 2012年10月1日発売
4.04
  • (8)
  • (10)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 88
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (32ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【思い出】
    たしか始めに知ったのは「悟浄歎異」のほう。高校の国語の時間に、先生の作ったプリントで。
    西遊記のパロディものということで、古典パロディ面白いなと思ったのと、沙悟浄のキャラになんかシンパシーを感じてしまったのと。
    で、そのあと高校生のうちか、大学に入ってからか忘れたけど、この「悟浄出世」も読んだのではなかったかな?そしてますます、沙悟浄は私だ!まさに!これは私の一生のバイブルだ!みたいな興奮を覚えたのでした。

    【30になった今読んでみたら】
    万城目学「悟浄出立」を店頭で見て、その本は特に読む予定はないのだけど、あ、中島敦もっかい読みたいな、と思ってこのたび読み直した。
    あの若き日の興奮をもう一度味わいたかったのだけど、なんとびっくり、そう鮮やかには蘇りませんでしたね…。人は変わるものだ…。
    なんとなく、これこれこういう点があのときの私にマッチしたんだろうな、という理解はできるのですが。寂しい…。

    【改めて感想】
    ・始め漢文調で、でもだんだん日本語っぽくなっていくのが、(山月記もそうだった気がするが)、うまいなと思う。
    ・妖怪世界の描きかたも面白い。「妖怪とは、自己の属性の一つだけを極度に、醜いまでに、非人間的に発達させた不具者」であるとか。悩める沙悟浄がいろいろな哲学者(妖怪の)に会いに行くが、悩める沙悟浄と反対に、彼らは完全に自己完結していて、そこがまた、微妙に人間らしくなくて良かった。

    • ユキエさん
      万城目学の悟浄出立も面白いですよ
      万城目学の悟浄出立も面白いですよ
      2019/04/23
  •  病院での点滴中に平岩弓枝『西遊記』2を読み了えてしまったので、本作をダウンロードして読む。
     多磨霊園、中島敦の墓を掃苔したことがある。文名を馳せる前に亡くなったので慎ましい墓だ。
     『ファウスト』や『ツァラトゥストラ』を意識して書かれたというが、後者の色が濃い。
     私見だが、石川英輔『SF西遊記』の沙悟浄は、本作の影響下にあるように思う。

  • ・世界とはな、自己が時間と空間との間に投射した幻じゃ。自己が死ねば世界は消滅しますわい
    ・まずはふさわしい場所に身を置き、ふさわしい働きに身を打ち込め。身の程知らぬ『何故』は、向後一切捨てることじゃ

  • 自己について色々な解釈の仕方があるんだなぁと思った。

著者プロフィール

東京都生まれ。1926年、第一高等学校へ入学し、校友会雑誌に「下田の女」他習作を発表。1930年に東京帝国大学国文科に入学。卒業後、横浜高等女学校勤務を経て、南洋庁国語編修書記の職に就き、現地パラオへ赴く。1942年3月に日本へ帰国。その年の『文學界2月号』に「山月記」「文字禍」が掲載。そして、5月号に掲載された「光と風と夢」が芥川賞候補になる。同年、喘息発作が激しくなり、11月入院。12月に逝去。

「2021年 『かめれおん日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中島敦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×