ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書) [Kindle]

  • 光文社
4.35
  • (12)
  • (11)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 139
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (259ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 宇宙飛行士の選抜試験に焦点を当てたドキュメント本。
    かなり前(恐らく今年の年明けくらい)に読了していたが、ブクログに登録するのをすっかり失念していた。

    若干人の名前を覚えきれていなかったところもあったが、読みやすく、割と学びになる内容も多く、良い本だったと思う。

    Kindleにハイライト箇所は下記な感じ。

    質問例②あなたは宴会の感じをしたことがありますか?
    メモ:こんなものも試験内容だなんて。ただ、宇宙空間は逃げられない密室空間に文化も価値観も違う人達が数週間以上、高ストレス下で暮らしていく。そんなことを思うと、円滑なコミュニケーションとリーダシップは必須条件だなと納得した。

    興味深いのは、この「ユーモア」を、国際宇宙ステーションの船長になるために必要な資質であると、ロシアのベテラン宇宙飛行士で、国際宇宙ステーションの船長を務めた、パダルカ氏も語っている点である。
    メモ:上記に同じくな内容なのだろう。

    シャトルが地球に帰還したとき、地上の整備担当者たちがシャトルのハッチ(出入り口の扉)を開けるが、そのとき漂ってくる臭いは、鼻が曲がるほどだという。
    メモ:潜水艦と宇宙船は同じ。その訓練もしているとはさすが。

    その名の通り「メディア訓練」と呼ばれ、JAXAやNASAが実施している。ジョンソン宇宙センター内で、突撃インタビューといったかたちで、まさに不意打ちで行われ、カメラを前にしたときの対処法や注意すべき発言内容を、実地で叩き込まれる。
    メモ:さすがだ。タレントとか企業のお偉いさんはこういうのをやっておいたほうが良い。自分も受けたい(インタビューを受けることはあまりなさそうだが)

    面接というものは、つまるところ「この人間と一緒に働きたいかどうか」を見ているものだからである。 リンゼー氏もこの点を強調していた。
    メモ:NASAも一般企業も同じで安心した。採用の本質は変わらない。


    アポロ13号の危機への対応を象徴する言葉を、当時の管制チームのリーダーが発している。  Failureisnotanoption.   
    ――失敗に終わるというのは、我々に許された選択肢ではない。
    メモ:シンプルにカッコいいことば。カッコいいけどここまで重圧がある職場で自分は仕事できねぇ。失敗を恐れずに!なんて言われている昨今の若手(自分も含む)は幸せだなぁ。


    ネタバレになるが、実際に採用されたメンバーの中に、ほとんど作中で描写されなかったメンバーがいたのが、凄いリアルだった。可もなく不可もなし、けど全て平均点以上という男が採用されたのは、器用貧乏の星だと思う。
    (と言いながらも、1つ1つの技能は普通の職場だとエースクラスに優秀なんだろうけど)

  • 「プロジェクトマネジメント」山口周 著で紹介されていて、リーダーシップとフォロワーシップに関する学びを深めたいと思い読んだ。

    これまでまったく中身を知らなかった宇宙飛行士選抜試験について知ることができるという点でも非常に興味深く読みものとしても面白かった。
    加えて実際の候補者の行動や発言の記録を見ながら、リーダーシップとフォロワーシップについて学ぶことができ有用だった。概念的な説明ではなく、実際にひとりの人間がピンチの場面でどう振る舞うのかを具体的に追うことで学べるものは多いと感じた。

    さらに印象に残ったのは、最終選考まで残った候補者はみな、自己認識力が非常に高いという点である。優秀なパフォーマンスを出せる人は自己認識力が高いといった知見があったように思うが、やはり自分の弱み強みを適切に把握し、自分の価値が発揮される行動をとることは重要と感じ、このスキルを身につける必要性を感じた。

  • 学生時代、宇宙兄弟を読んだのを機に購入しましたが、本棚整理の際に古書店に売ってしまいました。しかし2022年宇宙飛行士選抜試験が行われ、2名の宇宙飛行士候補者が誕生したニュースを見てこの本を思い出し、Kindleで再購入しました。

    私は現在休職中で、2023年4月から復職します。仕事の内容がとても難しく、上司や同僚とコミュニケーションが取ることができず、毎日自分を責め続け精神を病んでしまいました。そのため、宇宙飛行士に選ばれるような天才たちの話を読むことで、余計に気持ちが滅入ってしまうのではないかと思いました。しかしそのようなことはなく、寧ろこれから働くモチベーションや希望を持つことができた思います。

    特に私が見習いたいと思った人は、選抜試験に合格され宇宙飛行士になられた油井亀美也さんです。油井さんは航空自衛隊出身でテストパイロットとして活躍されていました。油井さんはNASAでの試験で、交際宇宙ステーションで行われる船外活動を模擬で行われました。試験官の説明はもちろん英語で、わざとわかりにくく短い説明を受けただけで臨まれていました。油井さんは苦戦されましたが「試験で何を見られているのか」「自分は今、何を求められているのか」を的確に分析し、試験をする側の狙いをも見抜いていたのです。さらに試験を終えた油井さんは「いくつも間違えましたし、何回も聞き直しました」「不明確のまま作業を進めるようなことはしなかったので、そのあたりが評価してもらえれば」と話しています。私は休職前、なるべく人に聞くことを控えていました。上司や同僚に迷惑をかけるわけにはいかない、仕事のできない無能だと思われたくないという考えからです。ですが、油井さんのような自衛隊で華々しい活躍をされた方でも、わからないことに対して教えを乞い、一つ一つできるようにしていく姿勢は素晴らしいと思いました。油井さんにもわからないことがあるのだから、自分にもわからないことがあって当然だし、組織で働くには誰かの助けを得ることは大切であると感じました。私も復職後は油井さんのようにわからないことはきちんと確認し、仕事を丁寧に進めていきたいと思いました。

    宇宙飛行士に求められることは世のビジネスマンにとっても必要な資質であることがわかりました。私は天才ではないけれど、宇宙飛行士に求められる資質を身につけられるよう努力することはできます。30代手前にして、自分の可能性を見失わず、努力することの大切さを知ることができました。

  • 民間企業において最も最難関な職業とは宇宙飛行士ではないだろうか。医者もパイロットも技術者もその先にある職業として「宇宙飛行士」が存在する。エリートの中のエリート。それをどのような方法で選抜し、そして何を大事にしているのか、この本にはそんな宇宙飛行士選抜試験の内容が記されている。
    「宇宙兄弟」という漫画で兄のムッタが選抜試験を受けるが概ね、その内容と一緒である。この本には漫画の内容になった人物のモデルとエピソードが書かれている。「宇宙兄弟」が好きな人も楽しめると思う。
    宇宙飛行士になるための「正しい資質(ライトスタッフ)」はなんなのか。

    ・ストレスに耐える力
    ・リーダーシップとフォロワーシップ
    ・チームを盛り上げるユーモア
    ・危機を乗り越える力

    JAXAは上記4点を評価している。

    ストレスに耐える力
    極限にまでストレスを与え、その状態でもベストパフォーマンスが発揮できるかどうか。人間関係如きでストレスを感じるような人間はまず宇宙飛行士になれない。自分の小ささが嫌になった。この国は世界一、心が狭い民族の国なのだから、他人に好かれるわけがないのだから人間関係なんぞどうでもいい。
    リーダーシップとフォロワーシップ
    自分の得意分野ではリーダーシップを発揮し、フォローする立場になったら勇気を持って発言するのがフォロワーシップ。日本はリーダーシップに目をつけがちだが、実際に必要なのはフォロワーシップなのだと分かった。他人の実力をフルに発揮できるように振る舞う能力。宇宙に限らず、人生において最も大事な能力。ただし、リーダーシップとフォロワーシップは両輪でどちらかだけでは機能しないのも分かった。
    チームを盛り上げるユーモア
    このスキルは私が最も欠けているスキルかもしれない。これも鍛えていきたい。安易な女ネタや下ネタを使わないで、どのようにユーモアを身につけるのか。難しい。
    危機を乗り越える力
    実現不可能な課題を与えられても、最後まで冷静に諦めないで実行できるか。これも大事なスキル。諦める、捨てる決断も大事なのだ。極限ストレスでも危機を乗り越える能力。ピンチの時こそ人間は本質を表す。思えば、「火星の人」も「プロジェクトヘイルメアリー」の主人公も最後まで諦めない「ライトスタッフ」の持ち主だった。

    この本には、人間の能力を正しく見抜くための指標が揃っている。ライトスタッフこそ、人類が目指す指標なのだと思った。大事なことを見失いそうになった時に読み返したい。

  • 読み進めながら昔NHKスペシャルで見たのを思い出した。

  • 宇宙飛行士の資質に興味があり、読んだ。結局、人間性なのだということ。我が身を省みなければならない。

  • 2021年募集の宇宙飛行士の選抜が2次に進んだというニュースを聞いて、興味を惹かれて読みました。
    厳しい選抜を耐え、選ばれた10人。
    それぞれ優秀なキャリアがあり、歩んだ人生も様々な人々がどの様に最終選抜に挑むのか。 
    最終選抜に残る優秀な人でも、躓くストレス環境。
    NASAでつきつけられる宇宙飛行士の現実。
    緊迫のドキュメンタリーでした。

    結果は2022年時点で分かるのですが、敢えて記憶を封じて読みました。

    今回の選抜はどんな人が選ばれるのか、楽しみになりました。

  • 現実的な選考の厳しさや宇宙飛行士は「憧れ」のみではできないという点をはっきりさせた上でそれでも残った最終候補の説明を入れてくるの話の構成が良かった
    宇宙に対してあまり興味のない人間だったけど、宇宙という環境でしかできない実験、新たな物質の研究等は心が踊った

    白壁さんが言っていたリーダーシップとフォロワーシップの考え方
    リーダーは名乗り出ずとも立場や人間性で自ずと決まってくるもので、フォロワーはリーダーの後ろについてばかりいるのではなく適切な発言が必要という言葉に感銘を受けた

    安竹さんのNASAでの面接シーンも良かった
    高校生の時毎日1,2時間かけて英語のケネディ宇宙センターの教育ビデオを翻訳してみせた
    先生がそのノートを今も大事に持っていてくれて、それを面接の場で見せて
    けして流暢な英語ではなかったけどそれでもひたむきさが伝わって面接官たちの鋭い目が柔らかくなった

    P219
    自らが日々積み重ねてきた努力を信じて、自信と誠意を持って伝えれば、相手の心を動かし、自らのペースに引き込む解答をすることが可能だということ

    P220
    あなたたちの仲間になるために、できる限りを学んだ。ビデオを通じて現実の一端を知った上で、10年以上かけてここまできた

    夢に向かって努力して能力を発揮して
    どの人達も魅力的で優秀でそれぞれの持ち味を発揮していて
    けど選ばれるのは少人数
    最後結果発表の時は少年漫画を読んでいるようなドキドキ感があった
    夢に向かう中でまた成長して
    叶わなかったとしてもそれを糧にして無駄じゃなかったと思えるような貴重な経験をしたんだなと

  • 宇宙兄弟が好きで読んでいました。
    本書のタイトルを見たときどのような試験が行われたのか是非見てみたい。と思い手に取りました。
    その道のプロフェッショナルが集まった宇宙飛行士選抜試験。想像を絶する精神状態の中に置かれるとどのような立ち居振る舞い、行動をするのかというところが興味深かったです。
    本試験で宇宙飛行士となられたお三方がその後宇宙に行ったニュースを調べて何とも言えぬ感動に包まれました。
    ともすると反対もされかねない宇宙開発事業。それらに真摯に取り組み、行動されている方々のドキュメントはとても面白かったです。自分も様々な覚悟を持って仕事に取り組まなければいけないなと思いました。

  • 宇宙飛行士は頭脳明晰、かつ性格的欠陥が無いことが絶対条件であることは自明で子供のころから知っていた。
    それが具体的にどういった人なのか具体的に紹介してくれているのが本書で、読み終えた後、欠陥だらけな私にとっての人生とビジネスの教科書となりえる一冊となった。

    宇宙飛行士に必要な能力は、基礎学力、語学力、論理的思考力、緻密力は当たり前で、土壇場に追い込まれた時如何に建設的かつ最大限にパフォーマンスを発揮できる”底力”、常に陽気で明るくかつ優しく、メンバーの気持ちを和ませたり高めることができる”人間力”が必要で、加えて宇宙飛行士に対する情熱、死と隣り合わせの宇宙に自分の命と家族を巻き込む勇気と覚悟も必要で、本当に選ばれし人なんだなあと実感した。

    宇宙飛行士は人間力が徹底的に評価されるところが何といっても面白く、好感が持てる!
    仕事やプライベートでの色々な状況で、少しでも怒ったり、ボヤいたり、落ち込んだり、ネガティブに考えるような器の小さな人間や性格的にヤな奴がことごとく不合格になる誤魔化しの利かない試験だから本当に面白くスッキリである!

    候補者の経歴は「進学校」「東大」「一流企業」「医者」といった俗に言うエリートがやたら多く、そういった方々と疎遠な私は彼らに身近な馴染みや親しみをあまり持つことができなかったりするのだが、本に紹介されている最終候補者は流石に寄りすぐりの面々で、候補者全員に人間的な魅力と親しみを感じることができた。
    また、試験内容は想像通りとても厳しいもので、JAXAサイドの選抜に対する本気度に凄みを感じた。

    選抜テストで描かれたドラマの要所要所は、特にビジネスで本当に模範にしたい内容ばかりで、困難にぶつかったら、悩み考える前に本書の内容を思い返さないとって思った。

全13件中 1 - 10件を表示

大鐘良一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×