夜長姫と耳男 [Kindle]

  • 66人登録
  • 4.00評価
    • (6)
    • (9)
    • (6)
    • (0)
    • (0)
  • 6レビュー
著者 : 坂口安吾
  • 2012年10月4日発売
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (32ページ)

夜長姫と耳男の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 坂口安吾「夜長姫と耳男」とても怖かった。
    わたしのなかに耳男が、そして夜長姫がいることが。

  • 美しい笑みを浮かべるヒメと、そのヒメの笑顔と背後に潜む狂喜に魅了されていく一作。長者の依頼でヒメの喜ぶようなミロク(菩薩像)を作れば、彼方にある村から呼び寄せた美しい機織りの女、エネコを褒美として与える、と命を受けるも、耳男の関心事項はエネコにはなく、褒美よりも寧ろ職人として仕事を果たすべくミロクに打ち込むことにする。ミロクが完成するまでの間、耳男はヒメの笑顔に気圧されまいと、山から蛇を取って皮を剥いでは生き血を吸い、その皮を小屋の天井に吊るしておくなどして根気よく作業に取り組む。完成したミロクは、流行り病を退治する効果を宿すと言われるほどに呪い深いものになり、このために人々から信仰されるようになるが、その手柄はヒメが信頼を得るために利用されていく。楼閣から人々が病に苦しむ様を眺めるヒメは、「ここの人たち、みんな死んでしまえばいいわ」と悪びれもなく微笑んだりする。
    耳男の関心事項が、単純な色恋に納まらず、時にヒメやエネコに対して反感を覚える様が率直な言葉で端的に表現されているのが、大変痛快だった。思わず「いいぞ、耳男もっとやれ」と応援したくなった。いや、半分くらい応援していた。
    エネコに耳が削がれる時の耳男のヒメへの微かな期待はスローで再生された悲劇を見るようで痛ましい。だがそれ故に耳男のヒメに対する思いが畏怖に変わる瞬間が克明に表されていると行ってもよく、この部分と、最後に「気が変わって」ヒメを刺し殺そうとする場面は、もう一度手に取ったときに読み返したくなるであろう迫力がある。

    それしても、安吾の作品はなんともロックだ。痛快さもありながら謎の失踪感が全体を覆っており、一気に読めると思う。助詞の使い方が独特なのと、必要以上にカタカナでの記載が多くて引っかかるものがあったが、それも文全体の持つ勢いに押されてゴリゴリ読めてしまう。おそらくハマれば癖になる人が続出するタイプの書き手かと思う。

    この作品は坂口安吾の小説の代表作『桜の森の満開の下』と並ぶくらい有名らしく、先行研究が多分にあるとのことなので、学術的考察については寧ろ自分が語るよりそちらを見ていただいた方がいいだろうと思う。wikiに個別ページがあるので、関心があればその参考文献を参照されたし。
    https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9C%E9%95%B7%E5%A7%AB%E3%81%A8%E8%80%B3%E7%94%B7

  • ヒメの思想に恐ろしさを感じた。

  • 髪長姫は長者殿の愛娘。愛らしく、美しく、黄金の産湯につかったとされる姫君。
    少女から大人への過渡期の残酷さを持ち合わせながらも、見るものの目を釘付けにする。

    そんな姫君の天性の”ものぐるい” ”狂気の沙汰” は「桜の森の満開の下」の女房殿に匹敵す恐ろしさ。

    読んでいてその狂気が読者に伝染るのではないかとまで思う。
    辻村寿三郎の人形でなら見たいものだ。いや、もうなってるのかな?

  • マンガ版を見かけて以来本家も是非と思いつついい書籍が無くて放置していたらKindle版が無料でした。僥倖。
    姫は何の象徴なんだろう。ファムファタル、と言い切ってしまうのは陳腐な気がして。
    綺麗な中二病だが完成度が高く心地よい。
    カタカナ遣いがやや気になる。

  • 説話。寓話。神話。傑作。

全6件中 1 - 6件を表示

坂口安吾の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
恩田 陸
芥川 竜之介
坂口 安吾
夢野 久作
フランツ・カフカ
ヴィクトール・E...
梶井 基次郎
太宰 治
芥川 竜之介
ジェイムズ・P・...
谷崎 潤一郎
又吉 直樹
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印

外部サイトの商品情報・レビュー

夜長姫と耳男を本棚に登録しているひと

夜長姫と耳男を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

夜長姫と耳男を本棚に「積読」で登録しているひと

夜長姫と耳男のAudible版

ツイートする