桜の園 [Kindle]

  • 2012年10月4日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 典型的な没落貴族の貴婦人とその娘たち、使用人や新興勢力の商人が貴婦人の領地「桜の園」に集まり右往左往、滅びゆく一族の数日を描いた戯曲。

    ロシア文学あるあるだが、登場人物の名前が覚えづらく、関係性というか身分制社会の話なのに身分も今ひとつわかりづらくて少し難しかった。
    同じチェーホフなら「かもめ」の方がわかりやすい気がした。
    登場人物の置かれた立場と、台詞の意味を一つ一つ考えながら読まないと本当には味わえないんだろうなと思う。
    そのうえで舞台で観ないと、語れない作品なのかも。

  • 太宰の斜陽のモデルとなった戯曲なので読んでみましたが、拍子抜けするほど不思議な明るさがありました。
    終わりは同時にはじまりであることを思わされ、さみしさのなかに奇妙に爽やかなうつくしさもある読後感でした。
    今度舞台を観に行く機会があるので、これがどう表現されるのかワクワクです。

  • ロシアが変革期にあった時代の作品です。
    最後まで貴族マインドが抜けきれない兄妹を始め、
    コンプレックス高めの成金や
    うだつの上がらない万年学生や
    天真爛漫が過ぎて世間知らずのお嬢さんや
    まぁまぁ、いわゆる「イタい」人たちが出てきます。
    端で見てる分にはツッコミどころ満載の登場人物たちですが、
    ふと自分に立ち返ってみると「ぐぬぬ…」と思わざるを得ないというか。
    そのへんの人物の作り方が、狂言の演目に出てくる人物のようで
    突っ込んで終わり、にはできない内容になっています。
    今春舞台もやるようなので、ぜひ見てみたい!

  • 三作目になって少し読み方わかってきた。

  • やはり戯曲って読むのは辛い。舞台を観たことの無い当方には尚更。リズムがどうしても合わない、昔から。
    ほんとは歴史的背景とか含めて面白いんだろうとは想像できるんですがのぅ。

  • 東京・ノーヴイレパートリーシアターの桜の園公演があったので、原作確認のためにざ~っと読了。アニシーモフさんはかなり大胆に内容を端折り、能楽堂という場所に合わせたアレンジにしていたのですが、原作の方が「わちゃわちゃ」している感じ。この戯曲の喜劇性ってどこなのか?って、チャップリンの言う「引きで見ると喜劇」というところなんじゃないか。登場人物ひとりひとりのセンチメンタリズムたっぷりの台詞の空々しさとか、人生の皮肉みたいなものをクスッと笑っちゃおうという・・・。

  • 観劇の予習に。
    串田和美演出はロパーヒンを中心に据える。その着眼点はわかる。貧しい農奴の息子が、没落した貴族のお屋敷を自ら買い取り、嬉しさを爆発させる。この戯曲中もっとも興味深い人物の一人だろう。
    最後に桜の木を切るのは「ブォォォ」というチェーンソーの音。今の時代の切りかたとして正しいが、「カーン」という斧の音の哀愁のイメージは強い。

  • 「遠くで、桜の木に斧を打ち込む音がきこえる。」

    借金で家が競売にかけられそうな一家を描いた話。ロシア文学に現れる一家はたいてい没落しつつある家庭だ。本作でもあおうである。ある者はその土地を別荘地にするよう提案する。それにより裕福なれると。だが、彼らは賛成しない。庭の桜の木を切られてたまるものか。

    多くの人が登場する。愛称での呼び合いもあり、誰が誰かを覚えるのは難しい。しかし、誰が誰であるのかはそれほど重要ではないだろう。流れを読まなければならない。チェーホフの作品を読むと、なぜか懐かしい淋しさを感じる。

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著者プロフィール

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ(1860~1904)
1860年、南ロシアの町タガンローグで雑貨商の三男として生まれる。
1879年にモスクワ大学医学部に入学し、勉学のかたわら一家を養うためにユーモア小説を書く。
1888年に中篇小説『曠野』を書いたころから本格的な文学作品を書きはじめる。
1890年にサハリン島の流刑地の実情を調査し、その見聞を『サハリン島』にまとめる。『犬を連れた奥さん』『六号室』など短篇・中篇の名手であるが、1890年代末以降、スタニスラフスキー率いるモスクワ芸術座と繋がりをもち、『かもめ』『桜の園』など演劇界に革新をもたらした四大劇を発表する。持病の結核のため1904年、44歳の若さで亡くなるが、人間の無気力、矛盾、俗物性などを描き出す彼の作品はいまも世界じゅうで読まれ上演されている。

「2020年 『[新訳] 桜の園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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