日本沈没 第二部(上) (小学館文庫) [Kindle]

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  • 小学館 (2008年6月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (381ページ)

日本沈没 第二部(上) (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 2017/8/16読了。
    作品内容の感想は下巻を読み終わってから書くことにして、ここでは本書の電子書籍版の品質について書きたい。
    以前にも別の本で電子書籍版の品質が低すぎて呆れたという怒りのレビューを書いたことがあったが、最近はだいぶ良くなってきた。個人のセルフパブリッシング商品などを除けば、きちんと読めるものが多くなってきた。僕もアマゾンのキンドルを購入し、キンドル版の電子書籍で本を読む機会が増え、本書もキンドルで読んだ。
    本書は大きな出版社の商品だけあって、まずまず品質に問題はなかった。と言いたいところだが、一つだけ苦言を呈したい。たぶん大きな出版社の商品だからこそ起こったのだろうと思われる問題があった。
    僕はキンドルの設定で表示書体を明朝体にして読書をするのだが、本書ではところどころにゴシック体で表示される漢字があった。設定をいったんゴシック体にして明朝体に戻しても、その文字だけはゴシック体のまま。しかもスマホのキンドルアプリで画面背景色をセピアにすると、その文字の周りだけ四角く白抜きになった。
    特に強調すべき文字ではないし、熟語の途中の一文字だけであったりもする。つまりこのゴシック体や白抜きには意味がない。小説の本文中にそんな無意味なゴシック体や白窓がランダムに出てくるのは違和感があり、興が削がれ、読みにくかった。
    該当する文字の部分は、僕が表示書体や背景色の設定を変更しても何も変わらなかったことから推測するに、テキストデータではなく画像データ、白地にゴシック体の文字が描いてある絵になっているものと思われる。
    なぜこんな作り方になっているのか、理由はだいたい想像がつく。
    本書のキンドル版は、おそらく紙の本を作るための印刷用のデータを元に製作されたのだろう。紙の本で一般的に使われる文字の中には、コンピュータで表示するのとは微妙に異なる字形を持つものがある。そういう文字の部分は、元のデータ上では他の普通の文字とは異なる仕組み、つまり普通のテキストデータではない形式(例えば外字参照コードなど)でデータが入っていたのではないだろうか。
    その形式は印刷用のいわばローカルルールだからキンドルには通用しない。キンドル版を作るときには、その部分について何らかの処理が必要になる。選択肢は主に次の三つになるだろう。1)印刷用のデータでは使えないがキンドルでは使える正字形の文字のコードを調べて特定してテキストデータに置き換えるか、2)そうした文字がない場合には紙の本とは微妙に異なる略字形になるのを我慢して一般的な文字のテキストデータに置き替えるか、3)あるいは紙の本の字形そのままに見えるよう絵にして入れてしまうか、といったところだろう。
    このうち、判断を必要としない方法は3だけである(日本語が読めない者でもフォトショップさえ使えれば可能な方法でもある)。そして本書では3の方法が選択されているわけである。
    つまりこの3の選択肢に伴う問題は、紙の本を工業的に印刷製造している者が印刷用のデータを流用して電子書籍を作る場合にのみ起こり得るもので、かつ、文字のデータを置き換える必要が生じたときに製作者が編集校正的な判断や責任を回避しようとする場合にのみ、実際に発生すると考えられる。
    わざわざ文字の絵の画像データを丁寧に作る必要があるのだから、不誠実な手抜き仕事というわけではない。ただし頭の働きが抜けている。手と頭が分業体制になっているとしたら、頭を担当する者の仕事に誠実さが欠けていたと言わざるを得ない。
    この3の方法が選択された結果、本書においては次の二つの代償が支払われた。すなわち、読者が書体を変更できない文字が唐突に現れる現象と、読者が背景色を変えて読んでいると白抜きの四角が唐突に現れる現象だ。ちなみに代償を支払ったのは製作者ではなく読者であり、その読者の中に粘着質なやつがいたためにこんなネガティブなレビューをネットの片隅に投稿されてしまった著者である。小松先生、谷先生、済みません。
    さて、この3の方法を選択した人、その選択にオーケーを出した人に申し上げたい。
    とっても読みにくかったです。せっかく作品の内容にのめり込んで読んでいるときに、引っ掛かって気が散りました。電子書籍は紙の本より安いんだし、紙の本のついでに作ってやってるものなんだから、紙の本を買わずに電子書籍を買うようなやつはこれで我慢しろと言われたような気がして、悲しい気分になりました。そんなに紙の本を買わせたいなら、同じアマゾンのマーケットプレイスで素性の知れない出品者から古本を一円で買います。
    お願いですから、もう少しだけ頭を使って、電子書籍を買った客の目にどんな画面が見えるのか、それを見た客がどんな気持ちになるのか想像力を働かせて、電子書籍を作ってください。お願いします。

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