光圀伝 電子特別版 (下) (角川書店単行本) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 光圀の壮年から老年期。
    生きている内に叶わない夢も、諦めなければならないことも多々出てくる。諦めながらも、次の世に伝えていくといく希望。
    そして、プロローグに繋がる。義と義のぶつかり合いも最後まで目を離せなかった。

  • 〈上中下巻合わせて〉

    水戸黄門様として知られる水戸光圀の、その一生を綴る。徳川御三家に生を受けた光圀は、次男であるにも関わらず世子として藩を継ぐことを余儀なくされる。光圀はこれを不義と考え心中で長く苦しむことになる。前半から中盤にかけては、破天荒な生活から友を得たり、周囲の人の助けもあり、不義を義とする方策を考えたりする。後半にかけて、藩主としての仕事ぶり、後世まで影響を与える事業、あるいは人材の育成や抜擢についてのエピソードが中心となる。いずれも、その偉大さや人となりがよくわかる内容になっている。

    光圀の性格のみならず、周囲の親しい人たちの性格が明快に描かれており、読みやすい。
    動機は数あれど、光圀のひたむきな努力には舌を巻いてしまう。そしてその努力が身を結んでいくエピソードの数々は、ある種痛快な気持ちで読み進めることができた。大変面白かった。


  • 後半。
    この時は知るよしも、その後二度と、などこの後の不幸を匂わせる文末が多く凹む。
    そんなに宣言しなくても……
    若い頃と違い大人になり色々と悟りだしたからか、ころんとでたり、すとんと落ちたり。
    冒頭から引っ張り続けた件もなんかアッサリ。
    構成は壬生義士伝と似てる。

  • -

  • 藤井紋太夫はなぜお手討されたのか。
    その問いに答えるための一冊。

  • 冲方丁による水戸光圀を描く長編下巻。
    ついに藩主となった光國は、かねてよりの大願、史書の編纂に着手する。それを通じて学問を学べる場所として彰考館を設立、また、産業の乏しい水戸に特産品を育てるため、様々な取り組みを行う。
    物語の随所に読耕斎、泰姫の面影を見る。それだけ二人に生きていて自らの姿を見ていてほしいと願っていたのだろう。彼らのような理解者、きちんと苦言を呈してくれる人を求めてやまなかったのか、泰姫の侍女・左近を頼ることが多くなるというのも面白い。
    一方、若き逸材として藤井紋太夫が登場する。歴史を知っていれば紋太夫と光圀の関係も知っているだろうが、その結末に至る理由はいろいろな説があるらしい。これについても作者は一つの仮設の元に説得力のある物語を展開する。
    光圀は親しい人、理解を示してくれる人を先に送り出すこととなり、それを見送り続ける。読みながらもなんとももの寂しい気持ちになるが、作者の作り上げた光圀像がそうした湿っぽさを弾き飛ばすくらいの器の大きな人として描かれているため、後味は決して悪くない。
    これまでドラマ「水戸黄門」でしか知らなかった光圀がどんな人物だったのか、なぜ今に至るまで名声を保っているのか、を作者独自の視点で構築し直し、魅力的な物語に仕上げてある。歴史物独特の文体も少なく、非常に読みやすい佳作である。

  • そして最後に紋太夫の義を止めておしまい。紋太夫の義が、まさかの大政を朝廷に還すという壮大なもので、200年後に成されるものだった、というあたりさすがの終わり方、おおおーってなった。ところで藤井紋太夫って実在だしホントに光圀67歳?とかで手討ちにされたらしい、実際は何でだったんだろう、史実ベースの空想歴史小説。面白かった。

  • 光圀と言えば、水戸黄門様ですね。
    でも、あのテレビドラマは忘れて頂いて。

    水戸徳川家に生まれ、兄もいるのに世子に選ばれた幼い頃の光圀。
    兄への対抗心もいつしか「なぜ自分なんだ」との疑問に変わり、
    青年期は傾きに傾くことに。
    厳格な父からの烈しい試練に耐えた光圀はだんだんと詩歌で天下を
    獲るという思いを抱くようになっていく。
    佳きライバルたち、あの兵法者との邂逅、素晴らしい妻との出逢い、
    そして、そんな彼らとの別離。
    史記の編纂に生涯をかけた光圀だったが、晩年ある家臣を自らの
    手で殺めることになるのだが、その理由が最後の最期まで引っ張られ、
    そちらも気になってどんどんとページを捲らせてくれる。

    いやー、ホントに面白かった。
    中盤の別離の連続のところではとことん泣かされてしまったしね。
    水戸黄門が好きだった母にも読ませてみようかな。
    ギャップにどれだけ驚くか楽しみだ。

  • 感想を放置し過ぎて忘れたシリーズ

     上巻が一番面白かった。
    (一生を書かなくても絞ったほうがよかったんじゃないかって思う)

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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