日輪の遺産 (角川書店単行本) [Kindle]

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著者 : 浅田次郎
  • KADOKAWA / 角川書店 (2011年7月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (418ページ)

日輪の遺産 (角川書店単行本)の感想・レビュー・書評

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  • 年の瀬の競馬場。
    全財産を会社の運転資金のために賭けようとする男がいる。
    購入締め切りまであと10分。
    絶対の自信を持って列に並ぶ男。
    ところが列の前に並んでいた老人がもたもたしているうちに、締め切り時間になってしまった。

    買うはずだった馬券。
    予想は大当たりで万馬券になったが…。
    老人のおごりでやけ酒を飲んでいたら、古い手帳を渡され、老人は心臓発作で亡くなってしまう。

    老人は何者なのか。
    手帳に書かれていることは、一体。

    老人=真柴司郎の手帳の謎を解き明かしていく現在のパートと、昭和20年8月10日から戦後復興の頃を書いた過去のパートが交互に語られる。

    圧倒的に過去パートの方がいい。
    秘密の任務を遂行する3人の軍人。
    若きエリート将校の真柴、大蔵官僚から軍に出向していた小泉。たたき上げの軍曹。
    立場は違えど、命を懸けて作戦を遂行する姿勢が実に真摯。

    どう頑張っても勝てるはずのない戦争を、されでも降伏を是としない軍部のクーデター。
    実体のない国の面子にこだわり、死ぬために闘い続ける。

    真柴たちは、戦後復興のための資金を秘密裏に隠す。
    時が来るまで隠し通すことが、任務なのだ。
    命令した5人と実行した3人しか知っていてはならない秘密。
    しかし、財宝を隠すために集められた20人の勤労奉仕の少女たちの運命は。

    真柴の、小泉の、愚直なまでの誠実さが苦しい。
    命令違反はできない。
    だけど非人道的なことも出来かねる。
    これは戦争なんだ。
    いや、もう戦争は終わったではないか。

    事実として、そんな隠し金などなくても日本は短期間で復興したわけで、日本人の集中力だったり向上心だったり勤勉さが、まさに「日輪の遺産」なのだろう。
    あの時代を美化するとか、戦争を賛美するというのでは全然なく、真柴や小泉の行動が胸を打つ。

    軍人として死にたかったのに、任務を全うするために歯を食いしばって生き続ける真柴。
    大蔵官僚として国の復興のために力を尽くしたかったのに、出来なかった小泉。

    軍曹だけが、私の中では戦中と戦後がつながらなかった。
    一応彼も「日輪の遺産」を守り続けていたわけだけど、どうしてあんな人になってしまったのかわからない。

    少女たちの決意。
    マッカーサーの決断。
    書き込みすぎると陳腐になるところを、言葉足らずなくらいの描写にとどめているのはさすが。
    抒情的になりすぎず、解釈に頭を使う余地があるところがよかった。

  • 2017_10_19-93

  • 旧日本軍が終戦間際に残した莫大な財宝に関する話。いわゆるM資金。
    今まで読んだものと違って殺伐とした展開はなく、隠した経緯等の回想シーン中心。ラストも戦争中の悲劇を美談にまとめたかんじ。

  • まさに浅田次郎らしさのある作品で、小説の世界にぐいぐいと入り込める。

  • フィクションなのかノンフィクションなのか、どきどきしながらいっきに読みました。しかし、この本は遺産のことよりも、戦争という異常な心理状態の中で、それぞれの人が何を思って、あるいは何を信義として生きてきたか、考えさせられるものでした。
    映画についてのコメントもおもしろい。

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