光圀伝 電子特別版 (中) (角川書店単行本) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 光圀伝中巻。
    「何故自分なのか」そう問い続けながらも、友や妻により、自分の生きるべき道を定め、まっすぐに生きていく姿は胸を打つ。そんな中での支えてくれていた伯父や妻や友、そして父の死――。
    親しい者との別れは光圀に何を残すのか。

  • -

  • 【感想】
    江戸時代というと堅苦しい雰囲気が漂う封建制度の時代のイメージだが、非常にあっけらかんとした時代背景が描写されているのが読みやすさを引き出している。

    庶民の気軽さと大名という支配層の違いがわかる書き方が良い。


    中巻は、義を見出し、それをなそうという意気込みと妻や父との別れ、友との交歓など読みどころが多い。
    人間光圀が描かれている。


    【終わりに】
    漫然と生きていてはダメだなぁ

  • 冲方丁による水戸光圀を描く長編中巻。
    光國の嫁取り話が進行して、本人は納得していないまま婚儀が開かれる。嫁いできたのは公家・近衛家の娘、泰姫。光國は泰姫の率直な飾らない性格に安らぎを覚え、泰姫も光國のよき理解者として夫婦で共に歩いていく。
    光國は藩主となるが、兄を差し置いて藩主となったことに不義を感じており、いかにして義を正すかを考え続け、一つの結論を得る。その義を全うすることにたいし、読耕斎、泰姫から賛同をもらい、その義を果たそうとする。
    本書の中で光國にこれでもかと試練が訪れる。江戸は大きな火災によっておよそ半分もの街が灰塵と化す。心許せる友人、愛する人の死。しかし、支えてくれる人もいる。辛いことも多いが、だからこその喜びもある。そうしたことを本書は語ってくれているようだ。
    最終巻ではいよいよ藩主となった光國の姿が描かれる。幾多の試練を乗り越えて義を果たすことができるのか。

  • 泰姫、読耕斎、父母の死を乗り越えて大義を果たし兄の子を世子へ。と思ったら兄が逆に光圀の子を世子に。兄弟愛というか儒学の世界。ところで、何故幕府は仏教推しなんだろう、そして何故御三家はじめとした有力大名の中には儒学推しがそんなにもいたんだろう。

  • 感想は全部読み終えてから。

  • 感想を放置し過ぎて忘れたシリーズ

     上巻が一番面白かった。
    (人が死に過ぎて疲れた。まあ史実なんでしょうがないんでしょうが。)

  • 大事な人が次々に世を去る中、孤独感を乗り越えさせたものが己の義の求める強い思い、そして学問への情熱だったのかな。いわゆる黄門様のイメージで語られる理想的な人物像に近づいてきた。

  • 面白かった!
    時代物はほとんど読まないけど、同じく冲方丁の『天地明察』にハマったので読んでみた。

    多少古い言葉も使っているのに読みにくさがなくて、すらすら読めてしまう不思議。
    歴史エンターテイメントな作品でした。



    (上巻)
    no1045
    「出かけるときは二度と戻れると思い、川や海で泳ぐときはここに亡骸が沈むと思う」

    no1065
    「全部読んで理解しようとしなくていいんだ。自然、自得のままに読むのが一番さ」

    no2303
    「潔白ならば身の苦しみは大したことがない。身外の苦しみは些細なことだ。後悔は身中に生まれて逃れようがない。どちらが苦で、どちらが楽か。選ぶのはその者自身だ」

    no2331
    合戦を何百年も続けてきたこの国では、人を殺すことを開くと断定したところで、何の解決にもならない。人殺しが悪なのはわかりきっている。なぜ殺さればならないかが問題だった。本当に殺さればならないのか、問い続けるべきだった。殺さずに済む世の中を、どのようにして創り上げるかが、戦国の世を終焉させた人々の命題だった。

    no2376
    「天地の狭間にあるもの、悉くが師だ」


    (中巻)
    no333
    大人になっても童心を失わぬ者ほど、愛情が深く、愛嬌がある、とされるのは、江戸でも京でも同じである。

    no1406
    「中道を行えば心が軽くなるわけではない。むしろ重苦しいからこそ貫くべきものだ」

    no2855
    如在とは、礼の最も根本的な態度である。死者や神々が、今そこに在すが如く振る舞う。歴史を記すことも、それと同じである。


    (下巻)

    no1479
    『彰往考来』往く、すなわち過去を彰かにし、来る、すなわち未来を考察する。

    no1690
    輪廻は、寺の道徳教育の根本理念である。悪業をなせば、来世で報いを受ける。だから悪業は避けねばならない。また、もし誰かに傷つけられたとしても、それは前世での因縁であり、報復すればまた悪業となって来世で同じ目に遭う。だから報復はいけない。

    no2519
    「政教の分別」「公平な税制」「大学制度」「海外貿易」――どれも、歴史を学ぶほど自然と辿り着く結論だが、同時にどれも、水戸藩にとっても、幕府にとっても、新しすぎる考えだった。

  • Kindleで安くなっていたので思わず購入。
    よくあるパターン(-ω-)

  • 一途に義を重んじる光圀の姿に、今の日本人にはない一途さを感じた。一方で、今無いゆえに理解できない部分でもあった。

  • 中巻は水戸藩主になるまでを収録、光圀の生き様を形作る章といったところ。親しいものたちの死に対する嘆きとその描写力には圧倒されるけど、それは生き方に悩む光圀の姿をちゃんと描いているからだと思った。日付まで史実に沿っているのはさすが。泰姫とのやり取りはちょっとやり過ぎというかなんというか。

  • 水戸光圀の生涯をおった作品20歳〜30代ぐらいまででしょうか、父、兄が深く物語に絡み、光圀がいだく「義」が形になるところ。

    この物語は、光圀が最後に自分の手で殺した男の話が物語りを一貫しているのだが、まだその男の話はほとんど出てきていない。

    ただ下巻につながる重要な物語の流れがあります。

  • 光圀が水戸藩主になるまで。
    火事になったら逃げるしかない、病気になったら死を覚悟するしかない時代、次期藩主として大切な人を見送る悲しみや懊悩とどう対峙するか、目が離せなくなりましたね。また、新たな登場人物が光圀にどう絡んでくるか、今後の楽しみもできました。

  • おもしろさ、つづきます!

  • 水戸光圀は青年となり、次男でありながら嫡子として水戸家を次ぐべき己に苦悩しながら、周りの人々からの支えもあり、自身の義を全うすべく行動する。冒頭で妻の記述があったので、長年寄り添うのかと思いきや、一緒にいられた時間が少ない点も悲しみを誘う。
    また、少年期の印象から剛の者という印象があったが、文才に長けていたりなかなか多彩で、才能にあふれている。実際はどういう人だったのだろうか。

  • 水戸光圀の青年期.
    出会いと別れを経て, 光圀の成長が描かれる.

    個人的には三分冊の中で一番楽しめた.
    光圀が拘る忠義. それを実現するために悩み苦しむ姿.
    その全てを受け止める伴侶.
    登場する個々の人々によって成長する光圀の姿が本書の中にある.
    若きころの光圀がなぜドラマのような黄門様になってしまうのか.
    その橋渡しをするのがこの青年期であったと思う.

  • 読み進めていくと,怒りを覚えた,そして,ふと気付くと喜びに満たされていた.楽しい空気に心が弾み,思わずにんまり.なのに最後は哀しみのどん底.なぜ天は掛けがえのない者を与え,そして奪うのだろう.失って初めて気付く,そのひとの存在に・・・・現実もそうなんだよね.

  • 親友二人に、最愛の妻であり最強の同志を得ている光圀は本当に幸せだと思う。

  • 泰姫との別れが悲しい。不義の子であることへの光圀の解は本巻(つまり物語の中盤)で達成されている。下巻が若干おまけに見えてしまいます。本来は1冊の本なので気にするところではありませんが。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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