殺人鬼 「金田一耕助」シリーズ (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ドラマ『池松壮亮×金田一耕助1』再放送を鑑賞し、
    原作を読みたくなったので、
    各編が収録されたこの本を購入。
    買ったのは紙の本(http://www.amazon.co.jp/dp/4043555040
    だが、
    杉本一文画伯の表紙を表示したいので、kindle版を登録。

    ■殺人鬼(1947年~1948年)
     探偵小説作家・八代竜介は、ある晩、
     駅でたまたま出会った美しい女性・加奈子に
     送ってくれと請われ、
     道中、物騒な世間話で彼女を怖がらせた。
     彼らと、加奈子を迎えに出てきた夫の賀川達哉の三人は、
     不気味な義足の男を目撃。
     しかし、実はその男・亀井淳吉が
     戸籍上の加奈子の夫で、
     達哉とは駆け落ちしてきた不倫の間柄だという。
     更に達哉の本妻・梅子も登場し……。
     奇怪な関係に巻き込まれ、
     殺人事件現場にまで踏み込む羽目になった竜介だったが、
     加奈子を見舞った帰路、
     下水路を漁っているおかしな男と遭遇。
     彼こそは金田一耕助――。
     色・金・名誉欲が縺れ合った忌まわしい人間模様を
     飄々と解体する名探偵の鮮やかな手捌き。
     先にドラマ版を観てしまい、しかも、
     内容がほぼそのままだったが、それでも面白かった。

    ■黒蘭姫(1948年)
     金田一耕助が銀座の裏手の貧弱なビルの一室に
     探偵事務所を構えて最初の事件。
     エビス屋百貨店の宝石売り場に現れては万引きをする、
     黒いヴェールを被った女性。
     事情を知るスタッフは黙って見過ごし、
     後の処置に任せていたが、
     新参者が「泥棒だ」と騒いだため、殺人事件に発展し……。
     これも先にドラマ版を観たのだが、
     改めて見事な映像化だったなぁ、と感心。
     自身に愛情を注いで庇護してくれる人物を持たない女性の
     悲哀が滲む。

    ■香水心中(1958年)
     香水会社を興して栄華を極める老女・常盤松代に請われ、
     等々力警部を伴って軽井沢へ向かった金田一探偵。
     優雅な避暑のはずが、心中事件の捜査を開始することに……。
     こちらは1980年代にテレビドラマ化されたそうだが、
     人間関係が入り組んでいる割に
     犯人にはすぐ見当がつき、今一つ。
     せっかくの休暇が台無しになってしまった警部が
     気の毒(笑)。

    ■百日紅の下にて(1951年)
     戦争が終わって、佐伯一郎が
     焼け落ちたかつての自宅跡に戻ってきた。
     亡妻が愛した百日紅を眺めて思い出に浸るためだった。
     そこへ雑囊を背負った復員兵らしき男がやって来て、
     死んだ戦友のメッセージを伝えたいと告げたが……。
     若く美しい妻を――自らそのように育て上げ――
     熱愛しながら戦争によって仲を引き裂かれた男の妄執と誤解。
     非常に愉快なドラマ版を先に堪能したので、
     読みながら頭の中で映像が再現されて楽しかった。

  • 表題作は、独白形式で、短編ながら二転三転のどんでん返しが楽しいです。サイコスリラーよりの本格でしょうか。昭和23年、黒猫亭の事件後で、悪魔が来る前の話のようです。併録3作品のうち「黒蘭姫」は、獄門島から戻って京橋裏に【金田一耕助探偵事務所】を作った頃の事件で、これもスリラーより。「香水心中」は、等々力警部との仲が良すぎると思ったら他より10年以上あとの話でした。「百日紅の下にて」は、魔法使いになった男の【紫の上計画と破綻】その謎解き。これいい!痺れます。その足で獄門島に行くんですね。(1947年)

  • 金田一耕助の4短編。

    最後の1篇は獄門島に向かう直前の話。

  • 『百日紅の下にて』が読みたかったので。なのでこれ以外はしばらく読むつもりはないかと。構図が面白いんだなと思ったが、一方で話の流れは退屈。こんな退屈な話を最後まで面白く書ける横溝正史が凄い。

  • 短編の傑作「百日紅の下にて」を収録。謎解きそのものよりも、情景が美しい。

  • 金田一耕助シリーズ

    『殺人鬼』
     深夜の帰宅見知らぬ女に助けを求められた男。500人に1人の殺人の話。女の義足の夫と愛人。愛人の死と愛人の妻の関係。

    『黒蘭姫』
     百貨店で万引きをする「黒蘭姫」と呼ばれる女。店長が女の親のもとに請求を行い無事にすんでいたが・・・。万引きを止め刺された売り場責任者と喫茶店で殺害された元売り場責任者。

    『香水心中』
     依頼人に会うために軽井沢を訪れた金田一と等々力警部。一度はとりけれた依頼。しかし心中事件が・・・。食い違う死亡推定時刻。

    『百日紅の下にて』
     自分の為に育てた少女の自殺。出征当時に少女を託した男たち。毒殺された男。戦場で思いを託されて金田一が獄門島に赴く途中の真相。

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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