貸しボート十三号 「金田一耕助」シリーズ (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
3.75
  • (2)
  • (5)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 66
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (326ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 表紙が70年代でもある電子書籍版で登録しましたが、実物は古書で入手した本です。因習にとらわれた地方の農村で起こる猟奇的な事件にぴったりの、日に焼けかなりしょっぱくなった古本です。やっぱり、こういうのは洗練された電子書籍より、ぼろぼろ感あふれる紙のほうが雰囲気があっているような気がします。

    3篇の不気味かつ複雑怪奇な事件が納められていますが、そのどれもが歪な愛の形。もちろん欲で凝り固まったりしていますが、他に奪われたりしないように邪魔者を何とか排除したりと(方法は異常かつ変態的!)相手に向けてのモウレツな欲望の表現であることに気づきます。

    毎日TVで流れる犯罪・事件はまったく別物になってしまった印象です。愛どころか対象は誰でもよく、動機も自分の欲求というよりは代理だったり、挙句子供ですら放置して殺してしまうという、無視・無関心の果ての事件が多くなったような・・・この不条理感を横溝氏だったらどのように描くのでしょうか。金田一探偵は解決できるのでしょうか。

    血みどろ変態事件を読みながら、なぜか懐かしい郷愁さえ呼び起こしてしまった自分に危うさを感じつつ・・・

    BGMは70年代の香りたっぷり「犬神家の一族」サントラ。

  • 『湖泥』 金田一耕助シリーズ
     二つの家が対立する村。そこで起きた結婚騒動から殺人事件へ。
     発見者は湖から拾い上げた死体を保存していた。そして新たな被害者が・・・。

    『貸しボート十三号』 金田一耕助シリーズ
     ボートの中で見つかった男女の死体。二人とも首を中途半端な状態に切られていた。
     被害者が所属するボート部に聞き込みに現れた金田一耕助。

    『堕ちたる天女』 金田一耕助シリーズ
     石膏の中から現れた死体。被害者は同性愛者の女。男女の同性愛者が事件にかかわりを持つ。
     等々力警部と磯川警部の共演。


     2009年2月16日購入

     2009年2月28日初読

著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横溝正史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×