ユリゴコロ [Kindle]

  • 双葉社
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  • ユリゴコロ。



    心の「よりどころ」を聞き違えて、
    「ユリゴコロ」

    この言葉の名付け親のユリゴコロは、、、



    殺人衝動。



    そんなユリゴコロを持った人間の殺人日記を、父の書斎で見つけてしまう主人公。


    この日記を書いたのはだれなのか。
    これは日記なのか、小説なのか。
    なぜこんなものを父が?

    家族への疑惑。
    ぼんやりとした古い記憶。
    母の死。
    父の病。
    妻の失踪。

    どこか淡々とした殺人描写と、
    主人公に降りかかる不幸が辛くて、
    読むの苦しくなる。


    しかし、日記を読み終えるあたりから一変。
    穏やかな描写の中で、家族への思いが強いだけに、登場人物は道を外しながら、物語は真相に近づいていく。


    大ドンデン返しを狙ったようなラストではあるものの、最後まで読む手が休まらなかった。


    読了後、登場人物達の「ユリゴコロ」はなんだったのかな。と思いふけってみると、「罪」に目をつぶってはいけないが、何ともあたたかい気持ちになった。

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著者プロフィール

沼田 まほかる(ぬまた まほかる)
1948年、大阪府生まれの小説家。女性。奈良県在住。読んだあとイヤな後味を残すミステリーの名手として、「イヤミスの女王」という称号で語られることもある。
寺の生まれで、大阪文学学校昼間部に学ぶ。結婚して主婦になり、母方祖父の跡継ぎを頼まれ夫がまず住職となるが、離婚を経て自身が僧侶になる。50代で初めて長編を書き、『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞、56歳でデビュー。
2012年『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年本屋大賞にノミネート(6位)。それを機に書店での仕掛け販売を通じて文庫の既刊が売れ出し知名度を上げた。
代表作『ユリゴコロ』は2017年9月23日に吉高由里子主演で映画化。同年10月、『彼女がその名を知らない鳥たち』も蒼井優・阿部サダヲ主演で映画化された。他の代表作に、『九月が永遠に続けば』、『猫鳴り』、『アミダサマ』。

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