覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪 〈応化クロニクル〉 (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 未完で先を読めないのが残念な気持ちの裏で、永遠に終わらないエンディングが続いていくような余韻がある。アフガニスタンのニュースを見ながら戦争、内戦の複雑さを痛感しながらも海人のその後に希望を託していることにも気がつく。哀しくも力強い傑作です。82

  • 長編小説だが飽きさせない。軍の動きなどきちんと整理して読まないと面白くない。未完であることが残念。

  • とうとう応化戦争シリーズの最終巻まで読んでしまった。
    『裸者と裸者』については書いたが『愚者と愚者』については感想文は書いていなかったのでまとめてしまうことにします。
    (未完のため正確には終わっていないのだけど)終わってしまったのかぁ?と凄く哀しい感じが正直。
    舞台は多くの幼い兵士達の命が無残にも散っていく戦場であり、一部の人間を除けば多くの人々は現実の戦争を望まないはずである。私も望まない方に入っているはずなのに、何故かこの戦争だけは継続を望んでしまう。
    舞台は東京都を中心としており、部隊の進行経路の通り名や地名、距離感が身近であることも相まってリアリティの高さを感じる。すぐ間近で砲弾が弾ける音さえも聞こえてきそうな感じ。
    その中を自分より格段に若い兵士達が危険に晒されながらも仲間と未来を信じ、各自信念を持って必死で生きようとする姿に心を揺さぶられてしまう。
    私は戦闘経験も無いし、本当の戦争をよく知らない。『戦争反対』とはよく耳にするが、何か言わされている感があり、言っても心がこもらないのが自分でも解る。もちろん今の状態が平和であり、それが壊されることが戦争なら望まない。でも、いまいちリアリティが無いから言葉に重みがない。
    この応化戦争の中で闘った者には『戦争反対』を唱える権利が当然にあると思う。かと言って現実世界において全ての人が戦争を経験すべきって訳じゃない。もっと真剣に戦争を知ろうとし、よりリアルに感じられるよう正面から教え伝えられることができてこそ『戦争反対』を言える人が増えるんじゃないか。
    この物語は事実ではないけど、登場人物の子供たちが抱く感情は事実であると言っても過言でないくらい痛く、悲しく、そして逞しいと感じる。
    だから、彼らが生き続けるためにこの戦争だけは終わって欲しくない。

  • 2016/8

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著者プロフィール

1948年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。92年『灰姫鏡の国のスパイ』が第13回横溝正史賞優秀作を受賞し作家デビュー。2003年『ハルビン・カフェ』で第5回大藪春彦賞を受賞。07年10月逝去。

「2022年 『Memories of the never happened1 ロビンソンの家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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