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高校一年生の郁海は、三年前の事故でそれまで育ててくれた両親を失って以来、会ったこともない“実の父親”が用意したマンションで一人暮らしをしている。そんな郁海の元へ、父が雇った新しいお目付役の弁護士・加賀見がやって来た。加賀見は、命を狙われていて危険だからと郁海を山奥の別荘に連れて行き、そのまま外に出られないようにしてしまう。彼の強引な態度に反発した郁海は別荘から抜け出そうとするのだが…。
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まんまと手なずけられた強がり子猫の話。
加賀見はもとから郁海に興味があって、相手が同性であるとか一回り近く年下であるとかといったことに躊躇もないみたいだけど、スクエアな郁海が同性に恋をするのって、心理的ハードルを越える大きな事件が必要で、命を狙われているとか、場所もわからない山奥の別荘に軟禁されているとか、そんな非日常的な状況下で加賀見にかまわれてるうちに、まんまと加賀見の思惑にはまったという感じ。田中父は、空腹を隠して虎視眈々と獲物を狙っている狼に子猫を預けてしまい、加賀見はそのチャンスをまんまとモノにしたというわけで、まさに後悔先に立たず。
郁海が恐る恐る加賀見に心を許していく様とか、普段は大人の余裕を見せている加賀見がたまに見せる焦りだったり熱っぽい言動だったりがツボ。