華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA) [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • 地震の多い日本で暮らす身にはとても切実なテーマ。自然には敵わない。そんな絶望的な状況に、一筋の光が射すラストがとても印象的。まさにSFって感じ。ともすると、敵視されるAIが効果的に描かれている。きっと、アシモフが読んだら喜ぶダロウナあとおもう。

  • 複数の思惑が絡み合う展開に興奮した。傑作。

  • プルームテクトニクス理論により、人類を含む生物が絶滅する危機が訪れる。主人公の青澄が官僚世界の中を丁々発止の活躍で生命を救おうとする。SF的には、プルームテクトニクス理論やアシスタント知性体との共生、生命の進化の不思議など、楽しみどころは満載だ。手垢のついた言い方だが、地球の前に人類の活動なんて小さなものだと思わせる。短編の「魚舟・獣舟」の世界観を長編にした作品であるが、さらにSF度が高くなっていると思った。オリジナリティが高い世界観だけでもお腹いっぱいになるくらいの空想をさせてもらえる。この世界観をベースにした他の作品も読みたくなる。いや、読むよ。

  • 結局、完読したけど、イマイチかなあ。

  • 地球規模の混迷の中で奔走する一人の外交官と彼のパートナーAIの物語。★5つのSFでした。

  • 「華竜の宮」(上田早夕里)を読んだ。まずは驚嘆!こんなにも骨太でハードな世界観とこんなにも泣きたくなるセンチメンタリズムの融合が可能だったなんて。細部まで手を抜かずにきっちりと書き込まれたストーリーに綻びはなく、最後まで静かに熱く滾る人類への想いは読む者の胸を打たずにはおかない。

  • 大規模な海面上昇後、遺伝子操作しまくった人類(と他生物、そしてAI)が過ごす黄昏の地球という世界観は非常に面白い。ただ、上巻終わり頃から出てくる新展開に激しい唐突感と違和感。最初の話と、新しい話、二つの話がうまく終わらせられていない印象。やるなら、いっそ本を分けて別にしたら良かったのではと思った。十分シリーズものにできる設定なのだから。
    そしてエンディング付近に用意された、小松左京的(?)SF小咄も、これまたとってつけたような唐突感……。なんだか全体に惜しい。

    「SF大賞」ということで期待しすぎたかもしれない。

  • 上巻で膨れ上がった伏線は全て解決するわけがなく。
    ラストはパニックに向かう人類と新たな「希望」の可能性で幕を閉じる。

    大自然の脅威により為す術もなく人類の宴が終わるとき、我々は穏やかに死を迎え入れることができるのだろうか?

  • 遠い未来の話なのか,異世界の話なのか,どちらにせよ,
    そういう世界が実在したかのようにワクワクドキドキで読めた.

    人類はどうなったのだろう.
    そんな風に思いを馳せることが出来るのはSFの醍醐味ですね.

    短編「魚舟・獣舟」から興味を持っていましたが,
    期待通り,とても面白かった>w<

  • 陸上民と海上民との対立、ツキソメの出生の謎、地球規模の地殻変動……、魅力的な世界観がこれでもか!というほどに描かれていたものだから、これらを一体どのようにして回収して行くのだろうと、興味津々で読み始めた下巻。


    なのだけれども。

    日本SF大賞を受賞し、世間の評価も非常に高い本書なので、その着地点はどれほど素晴らしいものなのだろうかと、やや期待しすぎた感があったのは否めない。

    残念ながらその期待は、読めば読むほどにシュルシュルと音をたてて小さくなり、ラスト1行にいたっては、

    それですべてが解決なのか!?

    と軽い脱力感。長編だっただけに、なおさら。

    このやり場のない中途半端な気持ち、いったいどこにどう持っていったらいいのやら。


    ただひとつ納得したのは。

    物語の最初からアシスタント知性体のマキが「僕」と一人称で語っていた理由。当初から不思議で仕方なかったのだが、ラストを読んで、ああこの結末を導き出すためだったのかと腑に落ちた。

    うん。

    ここだけはすっきりした。

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、デビュー。11年『華竜の宮』で第32回日本SF大賞を受賞。18年『破滅の王』で第159回直木賞の候補となる。SF以外のジャンルも執筆し、幅広い創作活動を行っている。『魚舟・獣舟』『リリエンタールの末裔』『深紅の碑文』『薫香のカナピウム』『夢みる葦笛』『ヘーゼルの密書』『播磨国妖綺譚』など著書多数。

「2022年 『リラと戦禍の風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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