桐島、部活やめるってよ (集英社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 高校生の頃に一気に読みました。
    桐島が最後まで出てこなくて少しモヤモヤしつつ、色んな人からの角度でみる高校生の日常、面白かったです。

  • バレー部の主将である桐島という男子生徒が部活をやめた。
    生徒が一人部活を辞めるなんていうのは日常的に起こるどうってことない出来事のはずだ。
    しかし、学校というコミュニティの中では、周りの生徒に少なからず影響を与えうる。

    本作は桐島の退部によって影響を受けた生徒たちの視点から群像劇形式で描かれる。
    その中には当然同じバレー部員もいるが、桐島とはほとんど接点のない生徒も含まれるというところは注目すべき点だ。
    同じ部員がキャプテン退部の影響を受けるのは当然として、接点のない生徒にまで影響を与えるのは、桐島がバレー部のキャプテンで、スクールカースト上位に位置するからだ。

    高校というコミュニティは数百人が属するので小さいとは言えないが、ほとんど子供だけの制限されたコミュニティだ。
    その中には、企業の管理職のように組織をコントロールする力を公に認められているわけでもないのに、影響力の大きい人間が存在する。
    それは簡単に言うと目立つ生徒だ。
    目立つというのは別に優れているということとイコールではないのだが、なぜか子供の社会では力を持ってしまう。
    この集団意識は古くからあったはずだが、「スクールカースト」という言葉が使われるようになってから、余計にカースト上位者の力が強くなった(強く描かれるようになった)ように思う。

    影響力の大きい生徒の変化は、ほかの生徒の考え方や行動パターンに影響を与え、それがさらにほかの生徒へ……と伝播していく。
    各生徒の物語ではその生徒個人の日常が語られるのだが、彼らの選択肢や物語の分岐に多少なりとも桐島が関わっている。
    それだけの影響力を持ちながら、渦中の人であるの桐島については断片的に語られるだけというのもおもしろい。

    ただ、舞台が進学校であるにもかかわらず、「かっこいい」とか「かわいい」に注目してばかりの頭の悪そうな生徒ばかりなのが気になった。
    どんな学校でもそういうカースト基準はあるものだが、偏差値が上がるとそういう基準の種類や重要度は変わっていくものだと思う。

  • 評判を聞いて購入。
    結論から言えば、感情移入できるポイントがまったく存在せず、自分が年を取ったのか?自分の学生生活が勉強一色で甘酸っぱい経験をしてこなかったのか?
    読み手を選ぶ一冊かと思います。

  • この作品だけだったらそんなに気にしないのだけれども、どの作品についてもあちらこちらですこぶる評判がいいので、とても気になり、まずはこれから、と読んでみた。正直、すごく若い作家だから、文章もイマドキな感じなのかな、高校生の話なんてついていけないかも、とあまり期待していなかったんだけど、すぐに入りこめてぐんぐん読めたし、おもしろかったし、すごくよかった。そんな資格まったくないのに上から目線で偉そうに言うと、ストーリー運びも文章も達者、って感じで、安心して読めた。高校生女子のパートも若い男性が書いたとは思えない。
    文章も、いい意味でごく普通というか、もってまわったところがなくてすごく読みやすくて、勢いがあるのに繊細な感じがよくて。

    なんだろう、高校生の話とか青春もの、っていうと、きれいごとすぎる感じがしたり、まっすぐさが鼻についたりすることあるけれど、そういうのが全然なくて、すごく素直に受け入れられる感じで。
    高校生ひとりひとりのパートになっていて、起承転結があるわけでも、とくに盛り上がるっていうわけでもなく、淡々としている構成がいいのかな。

    ほかの作品もぜひ読んでみたい。

    • meguyamaさん
      ですよねー。どの作品もまさに「達者」ですよ。あまりに達者すぎて最近憎らしくなってきたほど(笑)。エッセイも面白すぎるし。『何者』もすごいけど...
      ですよねー。どの作品もまさに「達者」ですよ。あまりに達者すぎて最近憎らしくなってきたほど(笑)。エッセイも面白すぎるし。『何者』もすごいけど、『少女は卒業しない』も胸キュンキュンキュンでした。
      2013/05/20
    • niwatokoさん
      meguyamaさんが誉めてたので読んでみたのです、教えてくれてありがとう、読んでよかったです!
      なんかほかの新人作家とか若手作家に比べてず...
      meguyamaさんが誉めてたので読んでみたのです、教えてくれてありがとう、読んでよかったです!
      なんかほかの新人作家とか若手作家に比べてずばぬけてうまい気がしたんですが。文章が嫌味がなくて読みやすくて。普通なのにまったく退屈ではないし。「何者」も「少女~」も読んでみたいです。
      2013/05/20
  • ああ、こういう子いたいた。など青春に戻りながら楽しく読めました。

  •  高橋優のラジオ番組で朝井リョウ君がゲスト出演していた。以前,『桐島,部活やめるってよ』を映画化するときに高橋優が主題歌「陽はまた昇る」を書いたらしいことも分かった。
     ま,要するに高橋優つながりで読んでみたってわけ。もともと小説関係は読まない(子どもに勧められれば読むけど)方なのだが,ラジオでお話を聞いていると気になったのでね。
     で,読んでみて,これは高橋優の世界と似ているなと思った。何気ない日常の中にはさまざまなドラマがもともとある。仲よさげに見える子も,実は人と合わしているだけだったり,堂々として見える子も実はおどおどしていて精一杯だったり…。それが高校生ならなおさらだ。
     他の人のレビューにもあるけど,自分の高校時代を思い出してしまった。わたしは運動系ではなかったけど,それであまり引け目を感じたことはなかったのは,どうしてだろうか? 勉強していたわけでもないのに…。
     この本をきっかけに,ちょっと朝井リョウの作品を追ってみることにするかな。

  • 友人から、あんまり合わなかった…と聞いたので、おそるおそる読んでみたら、意外と読みやすかった。
    でも文章の感じがワンパターンな感じがした。
    (会話で始まったり、思考を会話で遮ったり)

    あらすじも知らず、ただ有名な本だからという理由で読み進めてみたら、高校生たちの話だった。
    陽キャラ、陰キャラ(この表現好きじゃないですが)のあの格差の感じ、懐かしい。
    陽キャラではなかったので、あの感じを思い出してジメッとした気持ちになりました。
    読み終えて著者を調べてみると高校生の時はバレー部部長、大学でもストリートダンスサークルに入っていたそうで、ゴリゴリの陽キャラやないか!と勝手に裏切られた気分になりました(笑)。
    きっと陽キャラじゃない人たちのことをこういう風に思っていたんだろうなぁ。。

    最後の14歳の時のかすみの、「私、誰かが好きやからって、ヨーグルト食べたりするわけやないもん。自分が好きやから、食べるんやもん」というセリフは良かった。
    あれから3年経って17歳になったかすみは、その価値観のままでいられてるのかな?
    かすみのことを好きな前田涼也の部分は、少しストーカーじみてて怖いと思ってしまった。

  • 昔のことを思い出して、もどかしくなるための一冊。そういえば高校時代、休み時間って一体何して過ごしてたのかはっきり思い出せない。

  • バレー部のキャプテンの桐島という男子が部活を辞めることになったらしい。
    本作はその周辺の人物たちの群像劇で、彼らの目から見た高校生活は、2000年代前半~中ごろにかけての空気感をリアルに映している。
    スクールカースト上位の「桐島」からは遠い位置にいる人物(映画部の男の子。彼らの体育のエピソードや、女子から笑われるくだりは、胸がギュッと縮むように痛くなる)の視点で描かれるパートでは、「桐島」が部活を辞めたこととはまったく関係のない話が続くが、実は彼らが映画という夢を追いかける姿が、「桐島」と距離の近い男子に影響を与えるという、ある行動が玉突きのように連鎖する瞬間がいくつか描かれていて、とても気持ちが良い。

  • そうそう田舎の進学校(でも地域トップではない、偏差値65未満のいわゆる自称進)ってこんな感じ、とすごく懐かしい。自分がもう大人だから、胸が痛くなったり深い哀しみにやられたりはしないけど。あの頃吹いていた風のべたついた気持ち悪さや、広い空の下でどこにも行けない閉塞感を、やや思い出した。
    こういう感覚を共有できない人が多くて、弁護士同士の集まりにはあまり顔を出す気になれないんだよね。みんな私立の中高一貫校だったり地方のトップ公立高出身だったりするから。昔の話とかになると急に一人だけ浮いてしまう。
    工業や商業ほどヤンキー文化に振り切ることもできず、東大や医学部を目指せる環境があるわけでもなく、スクールカーストだけが日常を支配する世界。
    力を抜いて日常を楽しむことがスマートで、努力してよい対象は部活だけ。本書では桐島の不在がお話を動かすスイッチになってるけど、現実にはそれもないんだよね。
    著者は本作の後どうなってるんだろ?

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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