鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 廃線間近の一人駅長に起こった奇跡の話。
    決して器用な生き方ではないが、武骨で真っ直ぐな人生にどこか憧れてしまう。順風満帆というわけにはいかずとも、いつか自分の人生を振り返った時に幸せだったと思えるように、毎日を大切にしたいと思わせてくれた。

  • 同じ作家さんが書いたとは思えんくらい、ひとつひとつの話が細かくて違う温かさがあった。私が一番好きなのは「うらぼんえ」。ちょうど家族と一緒におる時に読み終わったってこともあってもう少しで涙がでてくるところやった。自分を貫いとる人ってかっこいい。

  • 鉄道員をはじめ8本の短編集。どれもちょっと涙の出る浅田次郎らしいストーリー。擬装結婚をテーマにしたラブレターは特にはかなくて大泣きしてしまった。

  • 先に映画を観ていたので、映画が重なって見えた。どちらも互いに引けを取らない良い作品だ。短編集なので、他にも沢山の不思議が散りばめられ、こころの何処かに火が灯る。暖かく何処か懐かしい。

  • 廃線が決まった鉄路の末の雪深い小さな駅で、鉄道員は生まれて程なく死んでしまった娘との邂逅を果たす表題作ほか。

    読んだことを忘れてまた借りてしまうのも多分3回目くらいの鉄道員。浅田さんのファンタジー短編集の代表作。「悪魔」とか「伽羅」がなんとなくエロくて退廃的で好きです。
    何となくろくでなしのサンタあたりから、俺たちは天使じゃないといっしょにお楽しみください。

  • (2021/273)中学2年生の息子の国語の教科書を見ていたら関連図書(推薦図書?)的な扱いの中に本書があったので妻の蔵書から引っ張り出す(息子にも与える)。「いい話」系の短編集で少し不思議系要素が入っていたりと、好みからは少し外れるものの、読みやすい話ではあるなと。中学生には消化できないんじゃないかなと思う話もあるけど。。

  • 娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた―。心を揺さぶる“やさしい奇蹟”の物語…表題作はじめ、「ラブ・レター」「角筈にて」など8編収録。第117回直木賞受賞作。

    ネトフリで高倉健さん主演の映画を観て、原作を読んでみたいと本を開いてビックリ。まさか短編だなんて!しかもたった37ページ。これが映画になっちゃうんだからなぁ。中身丸まる映画と同じ。凄いの一言。もちろん映画には過去の回想シーンなど原作にない部分が追加されているとはいえ、それでも凄い。『鉄道員ぽっぽや』の他に8篇収録されている。どれも心がポッと温かくなったり、シュンと寂しさを感じたり、心が少し揺られるものばかりだった。収録されている短編『ラブ・レター』も『伽羅』も『ろくでなしサンタ』も良かった。お勧め。

  • ノスタルジー

  • 《収録作》
    ・鉄道員(ぽっぽや)(『小説すばる』1995年11月号)
    ・ラブ・レター(『オール讀物』1996年3月号)
    ・悪魔(『オール讀物』1995年11月号)
    ・角筈にて(『小説すばる』1996年9月号)
    ・伽羅(『小説すばる』1996年11月号)
    ・うらぼんえ(『小説すばる』1996年5月号)
    ・ろくでなしのサンタ(『小説新潮』1997年1月号)
    ・オリヲン座からの招待状(『小説すばる』1997年1月号)

     単行本の初版刊行は1997年。作者は本書で第117回直木賞を受賞。作者の文壇的地位を確立させた短篇集。文庫本のカバーには、「日本中150万人を感涙の渦に巻き込んだ空前のベストセラー作品集」とある。
     8篇の短篇を通読すると、この作者が文学的な出発期から、「終わり」という主題と共にあったことを確認できる。廃線が決まった北海道のローカル線とともに鉄道会社を退職する男が、恩寵のように訪れた死んだ娘の霊と対話する「鉄道員」。偽装結婚で戸籍を売ったチンピラが、死に瀕した書類上の妻から届いた手紙を読むところから、自分と彼女の過去を抱きしめていく「ラブ・レター」。束の間の豊かさを手に入れた家族が、謎めいた医学生の闖入から壊れ始めていく「悪魔」など、いずれもリーダブルでありながら、情動を揺さぶる内容となっている。作者はまるで、読者の悲しみ/哀しみにかんする情動を自在に操作できるかのように見える。技術の卓越さに驚くとともに、少し怖い、という気持ちにもなる。

  • 切ない物語の短編集だった。
    あとがきを読むと浅田次郎の実体験に基づくものが多いらしいが彼の人生もまた苦しいことの連続だったのかな。
    「角筈にて」の帰らぬ父親を待ち続ける少年やその少年を受け入れる親せきの優しさの描写がよかった。
    「うらぼんえ」の主人公の祖父が腰を低くして主人公の意地悪な親戚に頼んでいる姿も印象深い。
    哀しい中にも人は誰かの愛情に支えられて生きているんだと感じた。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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