- Amazon.co.jp ・電子書籍 (199ページ)
感想・レビュー・書評
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亡き叔父が収集した剥製に囲まれ静かに暮らす叔母。
やがて歓迎されない訪問者の登場と共にそんな生活が動の波へと飲み込まれてゆく。
静が支配する邸宅を覆い尽くす大量の剥製。
通常であれば不穏が優先する光景にさえなお美麗を感じるのは著者の描写の賜物だろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み終わり、最初の表紙の印象と違いました。
叔母さんの魅力を感じたくてまた読みたくなる本です。 -
伯母は伯父と結婚した時には既に老人だった。白髪でしわのある顔。しかし、目の青さはとても深かった。伯母はロシア人で、ロシア料理屋で働いていたときに伯父と知り合ったという。伯父が亡くなってから伯母と一緒に住む。伯父の集めた剥製のコレクションがやたらとある猛獣館に。伯母は毎日剥製の毛皮にAのイニシャルを刺繍することが日課となっていた。ユーリ伯母なのにAにイニシャル。あるときAはアナスタシアのAであると伯母が言った。自分のイニシャルを忘れる者は居ないと。ロマノフ王朝にアナスタシア皇女。本当に伯母は皇女なのか?
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すごく好きな一冊。
語り手「私」の伯母さんが、「私は実は皇女アナスタシアだ」というのを話の軸に
様々なキャラクターが登場し、物語を彩っていきます。
伯母さんと「私」が暮らしていく日常。失われたもの、あるいは失われゆくものに囲まれながら、決して悲壮ではなく、むしろ満ち足りていて美しい日常に魅了されました。
その美しさは、死や頽廃と隣り合わせのはずなのに、あくまでも「透明」で「冷たい」のでした。 -
面白かった~。こういうのはスイスイ読めていいね~。
なんとなく『ミーナの行進』に似てる感じ。
登場人物、みんな素敵。
でも、なんと言っても私の一番好きなキャラはユーリ伯母さんでなく、オハラ!!
最初、オハラってすごい嫌な奴に書かれてたけど、オハラの伯母さんに対する献身さや尊敬、憧れ、がじわじわと分かってきて、最後の雑誌の記事で魅了された。
オハラ、なんてイイ奴なの~~~~!!!
そりゃあ、オハラがあのインパラを盗もうと思わなかったら、っても考えるけど、インパラも伯母さんもオハラもそういう運命にあったんだと思う。
運命には逆らわない。
それは、伯母さんの今までの人生そのものだったんじゃないかな?
伯母さんがアナスタシア皇女と証明されなくても(私は絶対そうだと思うけど)、彼女は一番の貴婦人だった。
ちょっとギョギョっとするシーンはあったけど、読後感がすごい良かった。 -
アナスタシアの不思議な魅力と生き様が興味深い。
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初めての小川洋子。
伯母さんのキャラは面白いけど、語り手である私が薄っぺらかった。