かつては、ただケーキが食べられたら嬉しかった。いつものケーキ屋さんにケーキを買いに行った。
いつ頃からだろう、あの店に買いに行こう、となったのは。ある特定の店を意識するようになり、その店のおすすめケーキを買うという具合になった。
さらに最近では、あのパティシエの、ということもある。あの人が作ったケーキを食べてみたい。店はどこそこだ、シェフのスペシャリテ○○を買いに行こう、そんなことも多くなった。
河田勝彦、稲村省三、高木康政、辻口博啓、鎧塚俊彦、青木定治…… きりがない。
有名店や欧州で修業を積んだり、国際的コンクールで上位入賞を果たしたり。
そんな若手が独立して、自分の店をぞくぞくと開いてもいる。
そして、フランスはもちろん世界各国の有名パティシエの店が、今や日本でも食べられる。
あのジョエル・ロブションだって、奇才のピエール・エルメだって、ショコラのジャン=ポール・エヴァンだって食べられる。
日本の洋菓子業界のレベルは世界一といってもいいくらいだそうだ。
さらに、日本には和菓子がある。伝統から革新まで。
スイーツ好きにとってはたまらない状況だ。