虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンコミックス) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 自分の指から生まれた妹に家族愛以上の感情をもっちゃうお話とか弟が虫の話とか、これだけ聞くと何だか禁断の関係みたいですがドロドロは別にしてないです。

  • 再読。
    市川春子の作品のほとんどが好きな作品だけれども、この作品集の中では『日下兄弟』が一番好きだ。
    淡々としつつもユーモアの聞いたやりとりがおもしろい。
    登場人物の頭身が突然小さくなったり、表情が簡略化されたギャグ顔になったりして「はい、ここ。笑うとこですよ」と教えてはくれないので、人によってはわかりにくいのかもしれないけれど、この人の作風にはその方がふさわしいように思う。

  • 『星の恋人』の台詞、『朝はパパの母親で昼は娘で夜は恋人で毎日心配で降伏で忙しくて彼の体が懐かしいなんて感じるヒマないの』が素敵だった。
    『日下兄弟』も『虫とうた』も良かった。
    すべてに喪失感や切なさがあって好みだった。また体が欠損する描写が多く、作者の好みが詰め込まれていて良かった。

  • 市川作品の世界はここではないどこかとこことを地続きにする。気がする。

  • [「ヴァイオライト」以降]

    「ヴァイオライト」
     次元の異なるものが触れ合っても、触れることはできても、それは同じではない、というようなことを、考える。

    「日下兄妹」
     市川さんの描かはるヒトは、いつも部品から出来あがっていて、その部品は当然のごとく代替可能で、その部品がそれぞれに別の命があったとしても、それ自体が問題になることはない。欠けているのは、部品か、心か。

    「虫と歌」
     その命は何型か。形が重要なのか。言葉が重要なのか。思考が重要なのか。生きる速度が同じということが重要なのか。作り授けた命に家族の名称をつけることが繰り返される。それは優しい世界なのか。残酷な世界なのか。

    --

    [星の恋人]

     ヒトの形の境界線を探るのは難しい。髪も爪も、自身の身体から生えている延長物であれば自分だ。けれども、そこに鋏を入れると途端に、それはヒトの縁長物ではなく、ゴミになる。髪も爪も、たまたま、ヒトから離れるとその生長を止めてしまうので、それは生命のない物体となり、私たちはそれを容易にモノと認め、自分から切り離すことができる。
     それでは、そのヒトから離れた物体が、独立して生命を保持することができるとしたら。意思をもち、育ち、コミュニケーションできるとしたら。
     ここで描かれる作中世界は、そうシリアスな雰囲気ではない。むしろほのぼのファンタジー風味でさえあって、お伽話の世界のようにさえ感じられる。
     けれども、なるほどお伽話のごとく、そこで描かれるそれぞれのエピソードは残酷だ。
     では、ヒトの胎から離れ、独立して生命を保持し、意思をもち、育ち、コミュニケーションできる、そういうモノは、いつ、どの時点で生命を得て、元のヒトとは異なる存在であるという意識をもつのだろう。
     とかいうごてごてした感想は不要なのだろうと思う。さらりと、実にさらりと、残酷さが描かれ、さらりと、実にさらりと、その残酷さすら、柔らかな日々に包まれていってしまう。

  • キレイな絵とは対照的に全編物悲しく生と死の印象が強い‥‥

  • 日下兄妹の話が良かった

  • 短編集。こういう雰囲気の漫画ってサブカル系というのだろうか。不思議な話で基本バッドエンドのようななんとも言えない気分になるのが昔から苦手なんで私には合わなかった。

  • -

  • 不覚にも最後泣いてしまった。何かのセールで買った初めての作者さん。独特の世界観ですね。
    「日下兄妹」と「虫と歌」が良かったなあ。家族の大切さと最後の別れが涙を誘う。「星の恋人」もなかなかの物語でした。植物が人間のふりをしているという不思議な世界での家族のやり取り。初めのつつじはどうなったの?
    おまけの「ひみつ」は最後にクスッとさせられる。
    たまにはこういうフワッとした世界観に浸るのも良いものですな。
    ちょっと手塚治虫のテイストを感じますね。

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著者プロフィール

投稿作『虫と歌』でアフタヌーン2006年夏の四季大賞受賞後、『星の恋人』でデビュー。初の作品集『虫と歌 市川春子作品集』が第14回手塚治虫文化賞 新生賞受賞。2作目の『25時のバカンス 市川春子作品集 2』がマンガ大賞2012の5位に選ばれる。両作品ともに、市川氏本人が単行本の装丁を手がけている。

「2022年 『宝石の国(12)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

市川春子の作品

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