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- / ISBN・EAN: 4988021137362
感想・レビュー・書評
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劇場で観られず、ようやく観ることができた。
序盤の花とおおかみ男とのラブストーリーはもう少し見たかったな。
セリフなしで音楽と映像だけの演出は好き。
つわりで弱っている花に、雉を狩ってくるおおかみ男には「ワイルドだなぁ」と笑ってしまったのに、まさかそれが悲しい事態を引き起こすことにもなるとは。
一人で子育てする花が強すぎて(強くならざるをえなくて)切ない。
隣近所や児童相談所員の目を逃れ、こどもたちを少しでも伸び伸び育てるために、花は田舎に引っ越す。
廃屋のような家の修繕(屋根の修理まで!)や、荒れた庭の畑化など、花が頑張りすぎで途中でへばっちゃうんじゃないかと心配になる。
雨と雪は、小学校に通いだしてから同じ年頃のこどもたちを知ることで、心にいろいろな変化が起きる。
雪は語り手であるせいか、他の子たちとの違いを知り、女の子らしくなっていく過程がわかりやすく描かれているのだけど、雨のほうは、どういうことで他の子との違いを感じ、人間界で生きにくいと思ったのかがわからない。
「巣立ち」の気持ちが強くなったのは、そういう時期だったのか、「先生」に会ったからなのか。
雪とのとっくみあいのケンカが、まんま野生であまりの変わりように驚く。
しかし、せっかく「おおかみこども」なのに、なんで「どちらか」でないといけないんだろう。
雨が人間界で生きにくいと思った理由、「先生」の跡を継ぐのが自分だと思った理由、がわからず、自由に生きていけるはずの「おおかみ」を選んだ雨のほうが、不自由で狭い視野のように感じられた。
それまでの花の頑張りを見ているせいで、早い巣立ちというより親不孝だなぁ、と思ってしまったのは、わたしが母親ではないからだろうか。
母親である花は、最終的に雨の選択を受け入れ「しっかり生きて」と微笑んで見送る。
花さん、本当に強くて切なくなります……。
大雨の日の雪のほうのお話は好き。
そうちゃんが、ジブリに出てくる女の子を守る男の子、って感じでステキでした。
背景、特に田舎に越してからの緑がとてもきれいだった。
山の中や雪の原を駆けるときの映像が、おおかみこどもの目線で、すごく疾走感があってこれもよかった。
かわいらしいだけのお話ではなく、母親・こども両方の成長、こどもの自立と送り出す母親の心情、など、観終わった後にじんわりかみしめた。
突っ込みどころはすべて棚に上げてしまって、観てほしい作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
素直な気持ちで「とってもいい作品です」
可愛いところも、心が痛くなるところもあり、いろんな人との関係から親子が成長していく姿もあり・・・。
また、最後のほうで、こどもたちがそれぞれの人生を選択したときの母親の心情は見た人それぞれがちょっとずつ違う感情なのだろうなと思いました。
主人公とかかわりのある登場十物で「上手くいかないなら、なぜ聞こうという気持ちがない」という韮崎さん家のおじいさん。この言葉は心に残っています。聞けるものなら聞きたいけど、勇気がいる。自分をさらけ出すようだから躊躇う。でも解き放ったとき自分で自分を受け入れられた気持ちにちょっとだけなった経験をしたことを思い出しました。 -
「私が好きになった人は”おおかみおとこ”でした」
”隠したい気持ち”と”誇り”が入り混じって、切なくなる作品.人と違うこと、を排除するのは人間.でも、人と違うこと、を受け入れることができるのも人間.
人と違うことを幅広く受け入れられる社会だったらこんなに隠さなくてもいいんだろう.でも、日本の社会だと、私もはなさんと同じような態度をとるだろうなぁと思う.子を想う母の気持ちはいつの時代もきっと変わらない.親子だから分かりあえるわけではないと思うけど、親子だから分かちあえる部分がたくさんあるんだと思う.母親のはなさんの行動に社会が孕む多くの問題を垣間見る. -
映画館で見たかったのに見れず、やっとDVDで見ました。子育てに父親は不要である(時々どこかから父性を借りてくれば間に合う)というこの世が始まってこのかた女性たちがひた隠しにしてきた真実があまりにおおっぴらに…!それを知っているなんてさすが監督!と感激しきり。花ちゃんの懸命さに胸をつかまれる。親子が三人で完成する雪の朝の瞬間がとても喜びに満ちていてしあわせだった。とてもとてもしあわせな朝だったね。
1カ所どうしてこうなったっていうシーンがあったんだけどそれは念のため口には出さないでおく…どうしてああなった…獣型… -
* 見たのは2度目だと思うが、結局最後号泣していた。「私はまだあなたに何もしてあげてない」で完全にやられた。
* 思春期になると子供二人は正反対の難しい性格になっていく。それぞれ自分の悩みでいっぱいいっぱいなこともあるからこそ、お母さんに対しては結構雑な対応だったりする。
* 世の思春期の子供の母親に対する態度なんてそんなもんかもしれないんだけど、この映画では花がひたむきに頑張るのをずっと見させられるからこそ、子供の残酷さが際立つ。
* 「なんでおおかみはいつも悪者なの」という雨の言葉にハッとさせられるけど、基本的に狼って悪いキャラの象徴なんだ。ストーリーの着眼点が凄いなと思った。
* 花の宮崎あおいも子供の頃の雪と雨も、声優がすごくいい。予告だけで惹きつける。
* これ見ると、未来のミライでくんちゃんがなぜか犬になったシーンの意味とか、若いころのお母さんと雪の幼少期がそっくりだったりとか、監督の遊び心に気付いたりする。 -
子供のためにどんなに苦労しても、自立して巣立つことを止めたらいけないんだろうなぁ。
子育てにてんてこまいの毎日も、犬にかまれたテーブルの傷跡も、過ぎれば幸せそのものでしかないんだろうなぁ。ファンタジーなのにとても当たり前な親子のテーマが描かれていて良い作品でした。
最後だけ、はなちゃんの第二の人生も描いてほしかった気はする。