おおかみこどもの雨と雪 BD(本編1枚+特典ディスク1枚) [Blu-ray]

監督 : 細田守 
出演 : 宮崎あおい  大沢たかお  菅原文太  黒木華 
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  • / ISBN・EAN: 4988021712422

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに見た。
    お母さんがお父さんと出会い、お父さんが狼男と分かっても一緒になったこと。
    “雪”を身籠り、病院にも助産師さんにも頼らずに自分たちだけで出産したこと。
    幸せな家庭を築いていたのに、“雨“が生まれて暫くして、お父さんが、道で狼の姿で死んでしまい、保健所に連れ去られたこと。
    お母さんがたった一人で子育てを始めたが、半分狼である子供達であることがバレないように気遣って、田舎に引っ越したこと。そして、一人で田舎のボロ家を直し、いちから勉強して農業を始めたこと。
    「絶対人前で狼にならない」と約束して学校に行かせてもらえたが、友達との違和感を感じ始めたこと。
    思春期になり、雪は意識した男の子の前で“狼”であることを隠したくて苦しんだが、雨は狼として生きることを決心したこと。
    そう、雨は、たった十歳で、お母さんの元を離れて山へ入ってしまったのだ。たった十歳で、独り立ちするという息子を見送るの辛かっただろうな。

    初めて観たときから何年もたっているが、私は心細いとき、たった一人でボロ家を直して家族三人で住む準備をしていたこのお母さんの姿を思い出す。苦労したのにたった十歳でひとり立ちした息子(その時はもう狼だった)を見送った勇気、強さ。
    雪も中学校入学と同時に寮に入ったので、家族をもって子育てできたのは嵐のように大変な12年間だけだった。
    そんな12年間を「おとぎ話のように過ぎ去った」と回想するお母さんはやっぱり強くて優しい。
    雨のことも雪のこともお母さんのことも“狼男”のお父さんが見守っていたんだね。
    “狼男”でも愛した自分を曲げなかったように、子供たちそれぞれの生きる道を尊重したお母さんには頭が下がる。
    それにしても、どうしてこの映画を観るときに限って、現実でも雷と大雨なのだろう。

  • あっさりオオカミオトコがいなくなってしまって
    そういう話だったのかーとちょっと寂しくなったけど
    花が明るく気丈に、狼としての血と本能を尊重して
    子育てしていく姿はとても立派に感じた。
    えらいよ、ほんと。わたしなら絶対キレてる。

    子どもの成長というのは、
    うれしく微笑ましいものであると同時に
    とても切なく寂しいものでもあり。
    何度も泣けた。

    おおかみこどもがかわいい。

    娘はまだ母の愛なんて分かっちゃいないだろうが
    大人になったらこの映画を観て泣いておくれ。

  • ドラマチックなことはおきない。
    単なるお伽話でしょって
    斜に構えず
    素直に物語を受け入れたあとには
    幸せな気分に浸れます。

    エンディングで
    物語を振り返った時、
    そんな気分を感じた。


    子どもの頃の雪が無邪気で後を追いかけてしまう。
    子どもの頃の雨が放おっておけなくて髪を撫でたくなる。

    大きくなった雪が戸惑いを隠しきれなくて心配。
    大きくなった雨が遠くを見ていて心配。

    また観たくなる。
    そんな物語。
    良かった。

  • 『おおかみこども』がいわゆる『家族もの映画』として画期的だと感じたのは。

    『親と子はわかり合える』『親が子供を成長させる』と言った
    『親側の幻想 = こうであって欲しいというファンタジー』を描かず。

    『子供は親の預かり知らない所で勝手に成長し、自立するもの』
    親はそんな子供に対して『元気でいてね』と願う事しかできないと言う、
    どうしようも無い『親子関係の現実』と
    真摯に向かい合った物語である所にあると思っています。

    映画のラスト、母親の元から旅立とうとする雨に
    『まだ何 もしてあげていないのに』とすがる花が
    朝日を背に輝く、美しく雄々しく育った雨の姿を目にして
    撃たれたように雨の成長を受け入れ
    『元気で、しっかり生きて』と送り出す場面は
    花自身の『母親』としての成長を、一瞬で鮮やかに描ききっていて
    何度観ても『わけのわからない感動』にうち震えてしまいます。

    ファミリー向けのアニメ映画でありながら
    この残酷な現実を軽やかに描ききった
    細田監督の次回作には期待せずにはいられません!!!!
    個人的に2012年ベスト1シネマに推薦させて頂きます。

  • おおかみ男との間の子どもを持つ、シングルマザー。どう考えても暗いストーリーしか思い浮かばなくて観ないできた。
    ちびくんが「いま観なかったら、一生観ない気がする」と言うので一緒にみる。
    2人の出会い、近づく距離、2人の子どもにも恵まれて、ささやかだけどホンワカした日々。
    そして、突然の別れ。
    あまりのことに愕然。
    子どもの成長と共に都会に居づらくなって、山村の古民家へ移住。
    最初は直ぐに出て行くと遠巻きに見ていた村人達が、必死に生きるハナをみて、だんだんと距離を縮めていく。
    けれど、子どもたちの成長がまたもやハナを不安にさせる。
    姉弟は人なのか狼なのか。

    出生証明書はどうしたのかなーとか、この小学校大丈夫か!とかいろいろツッコミどころはあるんだけど、とにかく心配になるくらいハナちゃんが頑張る。
    そんなハナちゃんの、子どもの選んだ道だけど、素直に応援出来ない気持ちがヒリヒリと痛い。
    雨と同時に遠吠えしてるチビくんを見つつ、そんな日はまだ来なくていいよ、うちはって鼻かんだ。

  • 狼男に惚れて、おおかみこどもを産んだ女性の子育て物語。
    子供達のその出自ゆえの人智を超えた苦難に、踏ん張る彼女。

    両方の存在意義を受けとめた彼女だから出来る育成方針と健気さに胸を打つ。

    軸は、二人の子ども。二人(二頭)のおおかみこども。
    人に育てられ、人間社会で育てられる。
    幼いながらも向かい合う、自己と社会。
    そこで見つけた姉弟の選択。

    子供より、大人向けのストーリーと感じた。
    とはいえ、難解ではなく。心情描写が。葛藤が。

    ストーリー自体は、正直それほど驚きはない。
    邦画によくある序盤の緩慢さもある。
    ヒドく言えば、この手の良くある話と思われるし、大まかな展開予期できる…が、何のその!
    小さな展開の一つ一つが、染み渡る。

    子供の無邪気さ。
    人間社会の辛さ。そして逆に温かさ。
    人情の移り変わり。

    そこが良く出てるように見えた。
    色とか、匂いが感じられるような。

    個人的に一番圧巻だったのは、教室を使った時の流れの描写。
    何気無いシーンだが、そのスルリと入り込む描写には感嘆した。

    自然を感じるサウンド。
    軽やかに滑るような映像。
    それらの要素もまた見事。これぞ映画!という感じ。

    確かに話の核は、姉弟。
    しかし鑑賞後に抱いたのは、これはやはり母である彼女の物語。

    母は偉大。
    彼女と彼女と彼に、それぞれ幸あれ。そう思わずにはいられない。

    良い作品だった。心から。

  • 面白かった・・ですけどね。
    序盤から「仲良くくらしましためでたしめでたし」にはならないだろうことがわかってるわけで、ていうかそうなったらそもそもお話として成り立たないんだけど、そういう「この先に暗い展開になる」のがわかってるとどうしても・・リラックスしては見られない。明るく楽しくハッピーエンド!にはならないだろうと誰もが予想できるお話ですからねえ。監督前作の「サマーウォーズ」とはちょっと違ったほろ苦いというかちょっと物悲しいノリ。これはこれで面白いですが、人を選ぶってところもあるかもしれません。リアリティかファンタジーか?と。

    声優さんに有名俳優とか使うのはかなり聞き苦しいので嫌な自分ですが、今作はあんまり気にならなかったな。

  •  決して、良い子ぶるわけでもなく、道徳家ぶるわけでもなく、ただただ事実を述べた結果、「人は可能性に満ちている」というコメントを残すことができる。生まれてから「大人」になっていく中で、何を目指そうとも自由であるという意味だ。医者になるもよし、教師になるもよし、冒険家になるもよし。犯罪に手を染める選択肢さえ、選ぶことが可能である。
     しかし、現実には選べる選択肢が限られている。なぜなら「社会」をはじめとする、周囲が自由な選択を許さないからだ。犯罪に手を染めることは、法律などで禁止されている。犯罪を行う自由はあっても、それは許されていないのだ。人の持つ「可能性」は、多くの場合、抑圧を受けている。

     さて、本作はそんな自由と抑圧について、思いを巡らせる映画である。
     物語序盤、二人の子どもを抱える主人公「花」は、自由を抑圧されっぱなしだ。原則として、開かれた可能性があり、自由に子どもたちを育てることができるはずである。しかし「周囲」はそれを許さない。子どもの夜泣きは周囲の反感を買い、子育ての自由を抑圧する。現代社会で生きることは、常に自由な可能性を抑圧されることなのだ。
     そこで「花」は、周囲に抑圧されないだろう、自由に満ちているだろう田舎町への移住を決意するわけである。

     その後、物語の中心は2人の子どもたちへとシフトしていくが、子どもたちを思い悩ませるのは、やはりあるはずの自由とそれを遮る抑圧であった。
     しかし、本作は、その現代社会の「生きにくさ」への反抗を試みている。詳細は、本作を鑑賞することで確認をしてもらいたいが、主人公「花」は悩みながらも、「自由」な「可能性」を尊重することがテーマの一つとなっている。また、自分が「抑圧」と感じていることが、実は「抑圧」ではないのかもしれないという視点を提示している点でも、本作の反抗心が窺える。


    【原作】細田守
    【監督】細田守
    【出演】宮崎あおい、大沢たかお、黒木華、西井幸人、大野百花、加部亜門 他
    【主題歌】アン・サリー、高木正勝『おかあさんの唄』
    【制作国】日本
    【公開年】2012年
    【公式サイト】 http://www.ookamikodomo.jp/index.html

  • 時かけ、サマウォ、どっちも大好きだから超期待していたけど、ガッカリ。

    大学生の花はオオカミ男と恋に落ちて
    姉の雪、弟の雨、二人の『オオカミコドモ』を産む。
    事故でオオカミ男は死に、女でひとつで子供を育てる若き母の苦労と、
    人間とオオカミとのはざまで、
    生き方を選ばなければならない子供達の苦悩を描いた作品。

    これだけおいしいテーマなのに。色々、残念だった。映像はキレイ。

    これを観た人は、少なからず違和感を覚えると思う。
    ファンタジーだから……では解決できない設定上の違和感。
    違和感あると、楽しみきれない観客もいるだろうし、
    ちょっと工夫すれば回避できるような矛盾を、なんで放置したんだろう。
    放置したわりには、そんなにテンポ重視な気がしなかった。

    まず、奨学金もらうくらいの優等生の花の設定だけど、
    そのわりにはバカすぎるというか、流されやすすぎる。

    待ちぼうけをくらう花→
    遅れてきて「俺オオカミなんだ」と告白する男→
    ベッドイン

    なにそのハリウッドみたいな展開w
    人間じゃなくても愛していける、と花が思えるようなきっかけはないのかw

    で、赤ちゃんできちゃっておろそうとして、できずに自宅出産。
    その後すぐまた妊娠出産。大学を休学。
    貧乏暮らしの中、独学で休学中の勉強をする花。
    子育てしつつ独学でがんばってますーアピなんだけど、
    いや、何年大学レベルの勉強に費やすんだよ、と思った。
    子供結構おっきくなっちゃってるよ、と。
    もうユーキャンで資格とればいいよ!と。


    そんなある日オオカミ男が川に落ちて事故死。
    監督の
    「オオカミ男が人間に虐待されていて可哀想というのを出したくない」
    という思想のせいか、なんかマヌケな死に様に。
    キジ追ってて、死んじゃったんだよ、ね?
    元がオオカミだとしても、成人済みの男性がキジ追ってて死ぬか?

    「オオカミコドモの育て方について何もあなたに教えてもらってない」
    と遺影の前で花がこぼすんだけど、
    え、じゃあ今までの数年間何してたの?
    子育てについて話あわなかったの?親なのに?

    その後も、子供が川に落ちて溺れてるけど一息ついたり、
    子供が家出して走って追いかけるんだけど長靴に入った泥を気にしたり。

    子育てを頑張る母親を描いたならば、ダメすぎる。

    まあ、子供たちがカワイかったので、ケモラーとしてはもうそれでいいや。

  • 生徒オススメの一本。たしかに幼い頃の雪は私にそっくり^^;
    自分のいくべき世界が見つかることは幸せなこと。

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著者プロフィール

1967年富山県生まれ。91年東映動画(現・東映アニメーション)入社。アニメーターおよび演出として活躍後、フリーに。『時をかける少女』(2006年)、『サマーウォーズ』(09年)を監督し、国内外で注目を集める。11年には自身のアニメーション映画制作会社「スタジオ地図」を設立。監督・脚本・原作を務めた『おおかみこどもの雨と雪』(12年)、『バケモノの子』(15年)はいずれも大ヒットとなり、『未来のミライ』(18年)ではアニー賞を受賞、米国アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされ世界中で注目を集めた

「2021年 『角川アニメ絵本 竜とそばかすの姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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