凍りのくじら (講談社文庫) [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • どらえもんはいちども見たことがないことに気づいてしまった。。。
    奥がふかかったのかもしれないですね。
    (おそらく、これからもみることはないだろうな~)

    ストーカーの気持ち悪さが残ってしまいました。

  • 2020/06/01読了
    #辻村深月作品

    これは、ドラえもんをリスペクトする
    辻村深月氏にしか描けない。
    話の中に登場するたくさんのひみつ道具。
    ストーリーも感動的で
    最高のSF(少し・不思議な)作品。

  • 『あなたの描く光はどうしてそんなに強く美しいんでしょう。…暗い海の底や、遙か空の彼方の宇宙を照らす必要があるからだと。』

    こんなに激しい物語だとは思わなかった。そしてSukoshi Fushigiな物語だった。私も大好きな国民的キャラクターのドラえもんが主体になっている。ドラえもんの道具が結びついていて思い出せて理解出来ることがわくわくし嬉しかった。

    息のできない、氷詰めの海とくじらのような家族の物語。苦しいくらいに恐怖に満ちた場面もある。しかし読み上げた時には温かく優しいすがすがしい気持ちになれる。

    カオリさんの理帆子への責め方がつらかった。悪いのは、若尾なのに。責められるべきは、若尾なのに。美也さんのことの報告は必要だけど、だから気をつけてっていう強い忠告と理帆子さんへの心配を告げてほしかった。

    別所あきらさんの正体はとても納得。
    登場したシーンを思い出すとその方じゃないと当てはまらない。

    私はスモールライトが欲しい。駐車場に車を置いていくことが心配だからだ。スモールライトで車を小さくして携帯したいな。

  • 観察者のような、俯瞰した立場で他者を見つめ、どこか見下しながら接する。でも本当は他者を求め、他者を羨んでいる。
    「心臓というものは、本当は喉にあるのだろう。」一気に心拍数が上がり血の気が引いていくような、喉が熱くなって何も言えなくなるような、あの感覚が言語化されていて共感した。

  • 主人公が他者を受け入れて行く過程が、とてもわかりやすい。
    ドラえもんの道具の名前が出る度に、自分が子供の頃に見たドラえもんのエピソードが思い出されて、ノスタルジーを感じてしまった。

  • 置かれた境遇から、自分の周りを冷めた目で見ることが習い性となった少女の再生。全編ヒリヒリ、キラキラしてる。少し童話的。
    ドラえもんの道具のモチーフが面白い。 
    高校生の時に読むともっと感情移入してしまったんだろうな。私はどうしてもお母さん目線になってしまう。辛くても進まなきゃいけない時があるし、辛いと言わないことが自分を支えることもある。辛さを感じなくなることもある。写真集のくだりは、胸が詰まりました。

  • 物事を俯瞰で捉えてしまう''Sukoshi Fuzai(少し不在)''な高校生・理帆子の、少し不思議な物語。

    5年前に失踪した有名写真家の父・芦沢光。
    末期がんで病院に入院している母。
    プライドが高く人の心が分からない元彼。
    (ちなみに彼は絶対にASD。私の元彼もそうだった。とても頭が良くてユーモアと自信があって頼もしいのだけど人の心が分からない脳の性質なのだ)

    そして、突然現れた''話せる''青年・別所あきら。

    ドラえもんのひみつ道具が節々で現れ、物語を彩っていて楽しい。辻村さんの情景描写の浮かび上がり用は、異常な程にすごい。元彼のお菓子には直接的に気持ち悪い、とかいう言葉が書いてないのに気味が悪くて背筋が凍ったし、郁也がピアノを弾くシーンは美しすぎて息を飲んでしまった。

    家族や、人との繋がりが、すごくフォルテに響いてくる、そんな話でした。

  • 辻村深月の作品を初めて本で読んでみた。
    誰とも繋がりたくない様で、実は繋がっていたい。人をどこかで見下してしまう感覚。 父親の蒸発、母の死、大事な人を失いそうになる怖さ…様々な不幸を乗り越えることで、成長してく主人公。
    素敵なんだけど、アラフォーのおっさんには眩しすぎる内容だったかなと。
    前半の冗長的な内容から思えば、最終的に物語としては盛り上がったかなと思うが、内容としては物足りなさが否めなかった。
    自分が主人公と同じ高校1年生くらいに読んだらもう少し印象は変わったんだろうか。
    今の私には、Sukoshi・Futsuriai(少し・不釣り合い)な一冊でした。

  • 辻村深月さんの作品は2冊目。

    藤子F不二雄氏をリスペクトする写真家である父の血をひいた女子校の物語。
    なんとなく明るく朗らかな印象で以前から気になっていてようやく読めたが、うーん。

    なんだか子どもっぽくて、無駄に話が長い印象。
    キャラクターも、漫画に出てくるような現実離れした設定や口調の人物が多く、ちょっとサムいなーと思いながら読了。

    最後の最後にまた現実離れした大きな要素が出てきて、ちょっとガッカリ…。

    書店での宣伝のされ方や、メディアでの報じられ方を見てつい期待してしまうが、根強いファンがたくさんいる作者であることに変わりはないけど、私はあまりハマらなかったです。

  • 10代の多くが少なからず感じている生き辛さ、人に対して抱いてしまう感情。辻村深月さんは10代に憑依して作品を書いているのでは、と思ってしまいます。そして絶望ではなく希望を与えてくれます。そして色々とウマイ(笑)

  • やはり最後の最後に持っていかれる。
    この感覚が好きだから辻村深月作品はやめられん...。

  • 好きと興味の曖昧さみたいなのが、個人的に読んでて特に面白かった。
    主人公の子の危うさみたいなのは、達観してる子らしいな?というかそんな感じがした。
    主人公が付き合ってる子どう考えたって地雷だし、自分はそういう人とはすぐ距離を置くようにしてるから、そういった人と関わる人がどういう気持ちなのかということが描かれていたのがすごく良かった。

  • りほこの「少し、不在」昔は自分が感じていた感情に似ていて主人公に入り込んで読めた。
    また、ドラえもんも好きなので、映画の話や道具がたくさん出て来てとても面白かった‼︎

  • 再読

    2022年、多分最初に読んだのが2012年くらいだから、10年ぶりに読み直します。
    やっぱり、辻村深月の講談社はすごく好きだと、心から思える。そして、凍りのくじらも、やはり大好き。
    特に最近、かつてないくらいにドラえもんが気になる&好きになっているので、話の中に出てくる道具のひとつひとつになるほど、この道具はこういうふうにつなげてくるのか、とか、(若尾に対して、カワイソメダルだとか、先取り約束機を当てはめるなんてほんと、すごい。)楽しく読めました。
    辻村さん自身のことも少しエッセイで知ってるからこそ、より、面白く読めたかな。
    読み初めは、最近の辻村作品も読んでることだし、この自分は他人とは違うんですよ風の女子に「またかぁ」って感じでしたが、(ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナの女子もそんな感じよね)
    お母さんが亡くなる〜若尾の奇行〜郁也を見つけて、お父さんのくだり…と、この、物語の後半がもう、泣かせるわ、ああ、この違和感はこういうことか!!っていう伏線回収だわで、もう、ボロボロ泣きながら読みました。(再読なのに笑)
    母と娘の物語でもあり、父と娘の物語でもあり、また、郁也くんとのラブストーリーに想いを馳せられる、いいラストでした。
    郁也くんのスゴク、はなんだったんだろうなぁ。
    最後、あきらさんが「テキオー灯」を浴びせるところなんて、めちゃくちゃいい。
    再読なのに初見くらいの感動でした。
    ふみちゃんが出てきてくれてあっ!って思ったのは、再読の良さですね。

  • 3度目?4度目の読破。
    なんで、こんな何回読んでも心が震えるんやろう。
    もう、お父さんがテキトー灯を照らしてくれるとこで毎回嗚咽。
    何度読んでも好きだわ。
    ふとした時にりほちゃんや郁也や多恵さんの事を考えてしまって、また読みたくなる。
    凄まじい魔法をかけてくれる本。
    今からまた辻村さんシリーズを読み漁ることになるな。。

  • この作品について;この作品を一言でいうと「私の心の奥底の傷をえぐってくる」作品でした。これは私だけかもしれません。理由は、私はこの作品の登場人物が私含め周囲の色々な人に似ていると思ってしまい、妙に現実味がある作品だったからです。いろんなことを思い出しました。例えば主人公の理帆子さんと私は「人に興味がない」「病んでる元彼氏がいる」など様々なところが似ています。特に今、私は「病んでいる彼氏とどのように縁を切るか」で悩んでいます。だめだとわかっているのに、優しくしてしまう…。私は周りの人に聡明だと言われていますが、その面に関しては理帆子さんと同じく甘い選択をしているみたいです。この作品ではそれがもとでいろんなことが起きました。さて私の場合は…
    また、理帆子さんの学校の友達・飲み仲間にも私の友人・私自身に似ている人がいたため、読んでいる最中は妙に現実味がありました。
    「私の心の奥底の傷をえぐってくる」ところはしんどくなりますが、私自身を見つめなおす・私の甘いところを再自覚してどのように対処するかを考えるという面では私にとっていい作品でした。
    辻村深月先生の作品について;辻村先生は「人を書くのがうまい」「人の心情を書くのが上手い」「情景を描写する・心情を情景に反映させるのが上手い」作家さんです。これまで私は「かがみの孤城」「琥珀の夏」を読みました。どちらも本作とどうようにキャラクターも作品自体も立っています。またその感想も書きたいです。
    PS.就活も終わったし、本棚といままで読んだ本の整理をします。

  • 義母より推薦の一冊
    辻村深月さんを初めて読んだが、なかなか読み応えのあるものだった
    女性主人公はやっぱり入り込みにくさはある
    特にダメンズへの対応等は歯がゆい
    おそらく最終章の理解が甘くて本当の面白さが分かっていないと思うのが悔しいが、結局「別所」って存在するのか?
    藤子作品を改めて読んでみたいと思った

  • 理帆子に共感できる部分が多かった。でも最後で人間らしい心に戻っててよかった、面白かったなぁ
    もっと辻村さんの本よむ!

  • スロウハイツの神様に少し取り上げられていた芦沢理帆子の物語。辻村深月作品は、最後に怒涛の畳み掛けとそうだったのか!!!があるからやめられない。

    後半の小学生の郁也、多恵さんのお話には泣かされた。そこから理帆子の心が素直に人間らしくなっていく様子に涙が止まらない。

    私は頭が良い人間ではないから、前半は理帆子の頭の良さとふるまいが羨ましかった。でも本当は本心を押し込んで隠していただけ。母親が死ぬことを実感しはじめたあたりから、人間らしい理帆子に一気になっていく。

    人間だれにでも理帆子のような側面はあって、逆に感情も持っている。そのバランスがみんな違っているだけで。

    個人的には若尾のような若者はたくさんいると思っている。自分の実力から逃げて、でもそれを認められなくて、最悪の場合に人に危害を与えてしまう。そして罪のない人間がそれに巻き込まれる。それをこの世の中からなくすにはどうしたら良いんだろう?

    こんなにも登場人物たちのその後をこれからも見守りたくなる作品は初めてかもしれない。そして久しぶりにこんなに本を読んで泣いた。もう一度読み直したい。

  • カガミの孤城がおもしろかったからこちらも。
    カガミの孤城もそうだけど、人間の闇・ダークな部分に対する主人公の思いが伝わってきて辛くなる。

    カガミの孤城のカガミの世界が主人公を支えたように、今回はお父さん・藤子先生・ドラえもんの世界が主人公を支えていたのかな。

    一読み進めるうちに止まらなくなり最後まで一気に読みたいとなるかんじでした。

    6/100

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

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