凍りのくじら (講談社文庫) [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 2020/06/01読了
    #辻村深月作品

    これは、ドラえもんをリスペクトする
    辻村深月氏にしか描けない。
    話の中に登場するたくさんのひみつ道具。
    ストーリーも感動的で
    最高のSF(少し・不思議な)作品。

  • 『あなたの描く光はどうしてそんなに強く美しいんでしょう。…暗い海の底や、遙か空の彼方の宇宙を照らす必要があるからだと。』

    こんなに激しい物語だとは思わなかった。そしてSukoshi Fushigiな物語だった。私も大好きな国民的キャラクターのドラえもんが主体になっている。ドラえもんの道具が結びついていて思い出せて理解出来ることがわくわくし嬉しかった。

    息のできない、氷詰めの海とくじらのような家族の物語。苦しいくらいに恐怖に満ちた場面もある。しかし読み上げた時には温かく優しいすがすがしい気持ちになれる。

    カオリさんの理帆子への責め方がつらかった。悪いのは、若尾なのに。責められるべきは、若尾なのに。美也さんのことの報告は必要だけど、だから気をつけてっていう強い忠告と理帆子さんへの心配を告げてほしかった。

    別所あきらさんの正体はとても納得。
    登場したシーンを思い出すとその方じゃないと当てはまらない。

    私はスモールライトが欲しい。駐車場に車を置いていくことが心配だからだ。スモールライトで車を小さくして携帯したいな。

  • りほこの「少し、不在」昔は自分が感じていた感情に似ていて主人公に入り込んで読めた。
    また、ドラえもんも好きなので、映画の話や道具がたくさん出て来てとても面白かった‼︎

  • 再読

    2022年、多分最初に読んだのが2012年くらいだから、10年ぶりに読み直します。
    やっぱり、辻村深月の講談社はすごく好きだと、心から思える。そして、凍りのくじらも、やはり大好き。
    特に最近、かつてないくらいにドラえもんが気になる&好きになっているので、話の中に出てくる道具のひとつひとつになるほど、この道具はこういうふうにつなげてくるのか、とか、(若尾に対して、カワイソメダルだとか、先取り約束機を当てはめるなんてほんと、すごい。)楽しく読めました。
    辻村さん自身のことも少しエッセイで知ってるからこそ、より、面白く読めたかな。
    読み初めは、最近の辻村作品も読んでることだし、この自分は他人とは違うんですよ風の女子に「またかぁ」って感じでしたが、(ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナの女子もそんな感じよね)
    お母さんが亡くなる〜若尾の奇行〜郁也を見つけて、お父さんのくだり…と、この、物語の後半がもう、泣かせるわ、ああ、この違和感はこういうことか!!っていう伏線回収だわで、もう、ボロボロ泣きながら読みました。(再読なのに笑)
    母と娘の物語でもあり、父と娘の物語でもあり、また、郁也くんとのラブストーリーに想いを馳せられる、いいラストでした。
    郁也くんのスゴク、はなんだったんだろうなぁ。
    最後、あきらさんが「テキオー灯」を浴びせるところなんて、めちゃくちゃいい。
    再読なのに初見くらいの感動でした。
    ふみちゃんが出てきてくれてあっ!って思ったのは、再読の良さですね。

  • 3度目?4度目の読破。
    なんで、こんな何回読んでも心が震えるんやろう。
    もう、お父さんがテキトー灯を照らしてくれるとこで毎回嗚咽。
    何度読んでも好きだわ。
    ふとした時にりほちゃんや郁也や多恵さんの事を考えてしまって、また読みたくなる。
    凄まじい魔法をかけてくれる本。
    今からまた辻村さんシリーズを読み漁ることになるな。。

  • この作品について;この作品を一言でいうと「私の心の奥底の傷をえぐってくる」作品でした。これは私だけかもしれません。理由は、私はこの作品の登場人物が私含め周囲の色々な人に似ていると思ってしまい、妙に現実味がある作品だったからです。いろんなことを思い出しました。例えば主人公の理帆子さんと私は「人に興味がない」「病んでる元彼氏がいる」など様々なところが似ています。特に今、私は「病んでいる彼氏とどのように縁を切るか」で悩んでいます。だめだとわかっているのに、優しくしてしまう…。私は周りの人に聡明だと言われていますが、その面に関しては理帆子さんと同じく甘い選択をしているみたいです。この作品ではそれがもとでいろんなことが起きました。さて私の場合は…
    また、理帆子さんの学校の友達・飲み仲間にも私の友人・私自身に似ている人がいたため、読んでいる最中は妙に現実味がありました。
    「私の心の奥底の傷をえぐってくる」ところはしんどくなりますが、私自身を見つめなおす・私の甘いところを再自覚してどのように対処するかを考えるという面では私にとっていい作品でした。
    辻村深月先生の作品について;辻村先生は「人を書くのがうまい」「人の心情を書くのが上手い」「情景を描写する・心情を情景に反映させるのが上手い」作家さんです。これまで私は「かがみの孤城」「琥珀の夏」を読みました。どちらも本作とどうようにキャラクターも作品自体も立っています。またその感想も書きたいです。
    PS.就活も終わったし、本棚といままで読んだ本の整理をします。

  • 理帆子に共感できる部分が多かった。でも最後で人間らしい心に戻っててよかった、面白かったなぁ
    もっと辻村さんの本よむ!

  • スロウハイツの神様に少し取り上げられていた芦沢理帆子の物語。辻村深月作品は、最後に怒涛の畳み掛けとそうだったのか!!!があるからやめられない。

    後半の小学生の郁也、多恵さんのお話には泣かされた。そこから理帆子の心が素直に人間らしくなっていく様子に涙が止まらない。

    私は頭が良い人間ではないから、前半は理帆子の頭の良さとふるまいが羨ましかった。でも本当は本心を押し込んで隠していただけ。母親が死ぬことを実感しはじめたあたりから、人間らしい理帆子に一気になっていく。

    人間だれにでも理帆子のような側面はあって、逆に感情も持っている。そのバランスがみんな違っているだけで。

    個人的には若尾のような若者はたくさんいると思っている。自分の実力から逃げて、でもそれを認められなくて、最悪の場合に人に危害を与えてしまう。そして罪のない人間がそれに巻き込まれる。それをこの世の中からなくすにはどうしたら良いんだろう?

    こんなにも登場人物たちのその後をこれからも見守りたくなる作品は初めてかもしれない。そして久しぶりにこんなに本を読んで泣いた。もう一度読み直したい。

  • カガミの孤城がおもしろかったからこちらも。
    カガミの孤城もそうだけど、人間の闇・ダークな部分に対する主人公の思いが伝わってきて辛くなる。

    カガミの孤城のカガミの世界が主人公を支えたように、今回はお父さん・藤子先生・ドラえもんの世界が主人公を支えていたのかな。

    一読み進めるうちに止まらなくなり最後まで一気に読みたいとなるかんじでした。

    6/100

  • 最初は、なんだか人のことを馬鹿にして、自分ばっかり賢い顔をしていて、やだなあ……と思っていました。
    だけど読み進めるにつれて、それを認めて飲み込んでいくりほちゃんに心を打たれるように。
    相応のしっぺ返しが彼女に起こり、りほちゃんはそれを「自業自得」とするし、確かにそうではあるんだけど、でもそう言って突き放せないくらい、いつからか彼女に感情移入していました。誰か助けてって本当に思っていた。

    みんなのことを馬鹿にしていて、誰にも頼るところがなかったけれど、最終的にはみんな来てくれる。りほちゃんのことを慮ってくれるし、真剣に怒ってくれる。優しくしてくれる。りほちゃんはちゃんと好かれていたし、みんなのことが好きだった。

    ネタバレありなので書きますが、別所くんの正体についてはなんとなくわかっていました。
    まず「あきら」という名前に「明るいイメージ」を持つところに引っかかったんですよね。「明」ならそうかも?でも「彰」「昭」「亮」……。
    でもお父さんの名前を思い浮かべたら、納得です。
    松永さんが挨拶をしなかったのも、見えてないんだなっていう。
    個人的には、立川さんとライバルにならなくて良かったな。

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

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