桐島、部活やめるってよ(DVD2枚組)

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監督 : 吉田大八 
出演 : 神木隆之介  橋本愛  大後寿々花 
  • バップ (2013年2月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988021137317

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桐島、部活やめるってよ(DVD2枚組)の感想・レビュー・書評

  • どうして僕は、この映画を封切りで観ていないんだろうか。
    どうして僕は、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を観ていないんだろうか。
    激しく後悔。★★★★★★
    こんな映画を撮られたら、他の監督たちは嫉妬するしかないのではないか。

    吉田大八初監督の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』では度肝を抜かれた。
    太陽に灼かれ黄色く褪せたようなフィルムの質感と、田舎の風景にアフロキューバンのリズムを合わせてくるセンスは南米の映画かと見紛うばかり。
    本谷有希子の小説も面白かったが、文学と映画の違いを分かった上で大胆に改変してくる手腕で原作を越えてきた。
    佐藤江梨子の主演への抜擢も良かった。

    そんな吉田監督が『桐島、部活やめるってよ』を撮った。
    それだけで期待。
    結論、日本映画史に残る傑作だと思う。

    神木隆之介、橋本愛の他はまったく知らなかったが(あっ、吹奏楽部の部長は大後寿々花だったんだ)、主要キャストを含む全配役がいい。男子バレー部の「ゴリラ」や映画部の友人、野球部のキャプテンや各部活動の部員たちの隅の隅まで隙のない布陣。
    そしてみんな抜群にうまい。
    セリフ廻しはもちろん、目の動き、呼吸、絶妙な間、どれを取っても素晴らしい。

    朝井リョウの原作を一旦解体して再構成した脚本も見事。
    原作でも少し他とはテイストが異なっていた実果のエピソードを大胆にカット。それでいて実果の魅力が損なわれていない。
    「秘宝、読んだ?」なんてリアルな台詞も随所に。
    「たまたま『鉄男』なんて観ねえよ!」なんてニヤニヤしたあとの構成とカメラワークの巧さ。
    そして終盤の予想だにしなかったカタルシスに震えた。
    吹奏楽部の演奏をバックに繰り広げられるアレは屈指の名シーンだと思う。
    宏樹が涼也にカメラのキャップを手渡すあたりから、もう胸が熱い。
    野球部のキャプテンの台詞には「おいお前、ここは笑うところだろ!」って自分で自分にツッコミを入れながら泣いた。
    エンドロールで余韻に浸りながら、画面の「宏樹(   )」に再びグッときた。

    ストーリーがいいのは、朝井リョウの小説でわかっている。
    それをここでもまた越えてくる吉田大八監督の凄さ。
    「小説を映像化する意義ってこういうことなんだよ!」
    映画部のオタクじゃなくても熱く語りたくなる。

  • やっと観れたー。
    映像化けっこう難しいんじゃないのかな?と、本を読んで感じたけど、上手くできてたよね。
    高校生のリトルワールド的な人間関係や学校生活の雰囲気がよく出てて、
    立場や価値観の異なる登場人物の視点を上手く描き分けていました。

    モノローグを用いずに、表情と台詞のニュアンスだけで、
    あくまでも客観的に見せていたのもよかったと思う。
    もしかしたら、原作の記憶でいろいろ補足していただけに、
    未読の人にはちょっと解りにくいのかもしれないけど。

    神木くん、「桐島」「小暮写真館」「家族ゲーム」で
    どれも高校生を演じているけど、
    ぜんぜん違うキャラなのにどれもこれもらしく見えるのはさすがだなぁ。
    この映画ではとてもかわいかったです。そしてうまい。

    他の役者さんたちも、みんなリアルでよかった。
    こういう子いたよな~って。

  • ~☠~ 生徒会・オブ・ザ・デッド ~☠~

    吉田大八監督は個人的に好きな監督だ

    ・腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
    ・パーマネント野ばら

    この2作品にブラックユーモアと切なさがあり
    そしておかしくも滑稽な人間模様がぎっしり詰まっている

    本作は青春学園ものなので躊躇していたが観て良かった

    なんだろう・・・この面白さは、

    自分の高校生活を振り返ってみたが
    どの登場人物にも当てはまらなかった

    でも、
    何に対しても本気になっていなかった自分をみつけた
    今、思えばもったいない。

    次は同監督の「クヒオ大佐」と「紙の月」が観たい


    朝井リョウの同名小説映画

  • 小説が衝撃的だったので、レンタル開始の今日、早速TSUTAYAに出撃。

    いつの頃からか、「花いちもんめ」とはなんと残酷な遊びだろうと思っていた。
    欲しいと言われて引き抜かれた子はうれしいだろうが、残された子は、最後まで欲しいと言われなかった子は……。
    中学の昼休み、よくサッカーをした。
    サッカー部のやつや、運動が得意でクラスの中心になるやつが、二人大将となって、二組に分かれる。
    大将二人がじゃんけんをしながら、欲しいやつを選んでいく。
    僕はサッカーが得意なほうだったので、2、3番目で名前が呼ばれるのだが、最後の方まで呼ばれないやつはどんな気持だったのだろう、と今になって思う。
    あれも、一つ間違えばいじめの一歩になりかねなかったよなあ、と。
    いや、今ではそれが明らかにいじめの入り口となっているのだろうか。
    あの頃はそんなことを露ほどにも思わず、順々に人を選んでいたのだけれど。
    この映画で、映画部の二人が最後まで呼ばれなかったシーンを見て、ふとそんな昔を思い出した。

    運動部と文化部では明らかに運動部が上でカッコよく思われる。
    そのどちらにも属さない帰宅部は、それを斜に構えて楽しそうな、でも真剣さを避けた高校生活を送っている。
    彼ら全員の関係性は。付かず離れず。くっつきたいけれど、できない。
    本当はアチラ側にも行きたい気もするが、コチラ側の今の関係も壊したくない。

    そんなの真剣にやってどうするんだよ。
    プロ野球選手になれるわけでもないし、映画監督になれるわけでもないし。
    でも、それぞれ一生懸命に頑張って生きているんだ。
    桐島は、ヒエラルキーの頂点であり、何でもできたからこそ、逆にもがきながら姿を消してしまうことになるのだろう。
    そして、桐島の存在が消えたことにより、校内に新しい混沌が生まれ、それによってみんなが新しい思いを抱き始める。

    僕はこの出演者の誰にも当てはまらない。
    ことは簡単、男子校だったから、この共学の雰囲気を思い浮かべることができない。悲しいことだ。

    この映画、キャスティングが絶妙で、まるで違和感がない。
    帰宅部の三人も、野球部のキャプテンも、映画部のみんなも、バレー部の仲間も、吹奏楽部の部長も、バドミントン部の女子も、そして一見軽く見える女子二人組も。
    それぞれの空気感を見事に表現している。
    原作とはまた違った味わいだが、ことさら逸脱しすぎてはいない。
    高校生のヒリヒリした日常を、映像を通してしっかり伝える名作ではないかと思う。
    また何年後かに見てみたい。
    ──戦おう、みんなそれぞれの世界で生きていかなければならないのだから──

    一点、気になることがあるとすれば、確かこの高校は進学校という記述が原作にあったように思うのだが、あまり受験受験としゃかりきになっている感がないのが不思議だ。
    作者の朝井君自体が、敢えて受験を切り離して、高校生活と部活、男女関係というのにスポットを当てただけという見方もできるが。
    まあ、どうでもいいことではありますが。
    でも、彼にとって受験というのはどんな位置をしめていたのかな、と気になる。

    追記:ごく個人的な話を言えば、僕はここに出てくる女の子の誰がタイプだろうと考えたが、結局ミーハーで、かつモデル系美人顔が好きなので、当たり前のように、桐島の彼女を演じた梨紗役の子だ。
    その次がバドミントン部の実果だな。
    梨紗役の子があまりに可愛かったので早速WIKIで調べてしまった。
    山本美月という名前で、高三で2009年の東京スーパーモデルコンテストでグランプリを獲得したらしい。
    どうりでスタイルがいいわけだ。顔ももちろんだがすらりと伸びた脚が美しい。
    自分が高校生の時に、女子高生でこんな子がいたら、完全にノックアウトだったな。
    でも、僕は桐島にはなれなかっただろうから、悶々とした毎日を送っていたに違いない(笑)。

  • 中森明夫のtwitterを読むまで、全くこのタイトルに興味が沸かなかった。そりゃそうでしょう、夏休みにこのタイトルの映画やられても、「Rookies」とかの中高生向け青春路線映画だと思ってしまうわ。

     ただ、一つ失念していたのは、吉田大八が脚本・監督であったということ。パーマネント野ばらの、ただならぬ世界観の次回作という意味で注目しとくべきであったか??

     朝井リョウの原作も後追いで読んだのだが、割と大胆に原作を改編している。岩井俊二やジョゼ好きの映画部副部長を、ゾンビ屋に仕立てたあたりは心憎い。実は後付けになるが、自分の好みは、かなりこの(小説内の)映画部副部長のキャラに被っているのだ。きょうのできごと、ジョゼ、池脇千鶴、週刊真木よう子、岩井俊二・・・
    モテキに次ぐ、文化系陰性男子思い出ひたる系。

     スクールカーストと呼ばれるヒエラルキーは、気がついたらできているもの。中高におけるヒエラルキーは、田舎の場合、まず何となく「自由に校内恋愛できる」をキーワードとして出来ている気がする。体育会系男子とリア充女子、の組み合わせが多いと思うが、それに加えてこの映画では出てこないが、「バンド系」もあるだろう。
    そうした、決して交叉することのない体育会モテvs 文化系非モテが、不在となった桐島を巡って屋上で交わる。そこに、「ローエングリン」が重なる。この劇中劇は痛快。

     物語終盤の、菊池と前田の8mm越しの邂逅。救世主を求めるものと、救世主を待ちわびていないもの。前田は、あくまでも現前する菊池を「やっぱりカッコいいね」と無邪気に言う。僕は、副部長のひねくれさに対して、部長の前田のこの素直な眼差しこそ、重要なポイントだと思う。好きな女の子に対し、マニアックな話をわずかな(映画好きという)接点を頼りにかましてしまうイタさは、カーストの下である限りは「イタい」のだが、高校を卒業しカーストから解放される暁には、強みになる可能性があるのだ。
     しかし決して背伸びはせず、現実的に「映画監督は無理だと思う」という、下ならではのあきらめ。未来は無限に広がってなんかいない。この素直さと諦念の狭間にこそ、彼の現実的な未来があるのだと思う。

    中森明夫の言う、「もはや現代演劇では、青春映画は成立し得ない」というリトルピープルの時代に、それでも私は年甲斐もなく、高橋優の「陽はまた昇る」をシャウトしてしまうのである。熱さって大事なんじゃないかなあ??

  • 2度目の鑑賞。
    ホント無駄がなくて素晴らしいですね。とりあえずタイトルの「桐島」が作品中終始不在(でありながら中心)であることへの理解を持って観た方が良いでしょう。
    なぜ桐島が出てこないのか、どうして周囲の人々は不在の1人に対しそこまで慌てふためくのか。
    そこに目まぐるしく絡む男女の関係性や部活動における関係性、ひいては学校内のヒエラルキーが介在する。
    それによりあぶり出されるのが、神木君演じる前田と東出君演じるヒロキであり、「結局できる奴は何でも出来て、できない奴は何にも出来ない」と語った(悟ってしまった)ヒロキと一途に映画に取り組む前田との対比、というのが大筋と言えますね。
    ヒロキが最後に涙したシーンはとりわけ印象深い。前田にかっこいいね、と言われるも自分には何ら熱中することもなく、何のための学校だろう、部活だろう、若くしてそう悟ってしまうことの悲しさを見事に伝えた。かっこよくて万能で、なのに不幸せ。その姿を見事に演じた彼の存在感は見事としかいえません。。
    大団円のシーンにおいて、(不在の桐島を頂点とした)ヒエラルキーの中でもがく人と映画部とをゾンビを通して描いたことはさらに映画に深みを持たせるとともに映画ファンをも熱狂させました。
    などなど、なかなか語り尽くせぬ、けれども語り尽くしたい作品でした。吹奏楽部の子はああやって演奏に逃げていいんだ、と大人になった今の自分だから思うが、当事者としては、、、考えるだけでも甘酸っぱい。そんなシーンの連続でなおかつ無駄がない本作は本当に傑作だと思います。

  • 桐島の不在が、方々に波及する。そして最も遠い存在だった涼也たちにも、意外な形で影響が。しかし思わぬ接点が生じただけで、スタンス的には映画部員たちは何も変わっていない。むしろ不動の彼らが、周囲に影響を与えているかもしれない。

    校内に確たるヒエラルキーがあるというよりは、違う方向を向いている集団が複数に存在している、という印象。才能や容姿に差はあれど(あるいはそれ故に)何を優先しているかが違うのだ。
    一番地に足が着いているのは、意外に涼也たち。
    最後「俺はいいよ」と思わず声を詰まらせた宏樹は、自分の中で変わっていく価値観に気づいて、虚しかったのだろうか。
     

    ゾンビの演出が、すごく効いている。桐島不在に翻弄される連中を、実際には存在しないはずのゾンビたちが食らいつくしていく。圧巻。
    次々に変わっていく視点も面白かった。2回観たが、2回目はさらに面白かった。なるほど、と納得する。
    こういう微妙な人間関係、あったなぁ…と振り返ったり。映画部VS吹奏楽部長の対決、どちらも必死で、何だか微笑ましい。

    原作は未読。映画の余韻が消えないうちに読みたい…けれど、消化しきってから新たな気持ちで読みたい気もする。

  • あの頃も今もきっと、「そんなもんなんだよなあ」と思いつつも受け入れられたわけじゃないんだな。

    珍しく 観終わってすぐ「もう一回観たい」と思う映画だった。
    高校生活の、息がしにくいほどのリアルさが、すごかった。
    意識に留めてもいなかったこと、忘れたかったこと、知らなかったこと、でもみんな自分の周りでも確かにあったであろうこと。どんどん迫ってくる。
    登場人物たちが、もともと乱されていた心を桐島きっかけで表に出していくのと一緒に、自分の青春時代を振り返ることになる。向き合わされる。

    場面場面の見せ方、俳優さんたちの演技や何かのひとつひとつも、素晴らしい。
    屋上に向かって爆発した色々なことが渦巻いて、観ている側の中でも言葉にならないけど渦巻いた。
    でも叫び出したいような感じではないし、私は過去を思い出して悶絶するような年齢でもなし、なんだけど 突き動かされるものがあった。

    メッセージ性で考えてしまったら割とチープな所に行き着いてしまうと思うけど、映画ってそもそも誰かに何かを伝えるとかそういうためにあるわけじゃないと思っているし、いやそういう意味でもいいけども、そんなことよりももっと別の観点から、この映画の存在意義はものすごくあると思う。

    最後のヒロキの表情と台詞が、全部をひっくるめてくれて、何もないようで大きく「在る」良い終わり。
    うーん、説明が下手なのでまた観ます。
    東出昌大応援したくなったよ。

  • 今更見たけど、これは歴史に残る名作だわ。
    ニヒリズムに満ちた現代の高校生達を見事に描ききっている。
    従来の青春映画を嘲笑するかのように、
    この映画における高校生達は自分たちの気持ちを言葉にしない。
    だってそりゃそうだ。
    ドラマや映画の学園モノがどこか胡散臭いのは、
    現実世界では絶対に言わないだろって言う台詞にある。

    バドミントン部のみかちゃんの
    「マジなこと言ったってしょうがないし」
    という台詞が最高だった。

  • 映画部の前田君をヒーローとして見れた俺には面白かった。
    自分の好きなことに一生懸命打ち込む。自分の居場所を守るためにはめちゃくちゃ頑張る。
    映画界のトップにいけるなんて到底考えられないけど、映画を撮っている限り、その大好きな映画と繋がっていられる、と前田が言うシーンがすごく好きで、何度もシークバーをクリックしていた。
    ヒロキと野球部のキャプテンもよかった。野球部のキャプテンにとっての桐島はヒロキだったんだろうな、と思う。でも、キャプテンは最終的にはヒロキがいなくても勝てる気がする、といって、自立心を見せる。ヒロキが最後に桐島に電話をかけたのは、自分と同じ立場にいる桐島が何を思っているのか知りたかったんじゃないかな、と思う。
    「この世界で生きていかなきゃ~」のセリフは正直くさいなと思った。たぶんゾンビ映画の締めのセリフとして出てきたら、ゲームのラスボスが最後によくいう「光ある限り必ず闇が~」的なセリフと同じようなとってつけた感を感じたと思う。霧島のフォロアーは絶対前田の映画を観ないだろうし、よしんばカスミが見たとしてもゾンビ映画の文脈の中ではスルーされるだろうから、前田の映画を見て誰かが影響を受けるということはたぶんない。ただ、「存在しない霧島劇場」の登場人物のヒロキがあの場で聞くセリフとしては、大きな意味があったんじゃないかなと思った。

  • ん〜もう一度見返したい作品ですな(・ω・)あと、実写映画では初めて原作読んでみたいと思いました ・:*+.\(( °∀° ))/.:+

    エンドロールで流れる高橋優さんの「陽はまた昇る」で話全体がしっくりまとまって、とても考えられたテーマソングだと感じました。

    監督・脚本は映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の吉田大八監督。「腑抜けども・・・」の構成の仕方もとても独特で、一回見ただけでは全然理解できなかった(のに、一回しかまだ見ていないw)。今回、「桐島・・・」を見て、この監督の独特な演出にハマってしまうかもしれない、、、と思いましたw今後の作品が楽しみだな!


    高橋優 「陽はまた昇る」
    http://www.youtube.com/watch?v=0X9P2ZqYZDY

  • えっ終わり?ていう感じの幕切れで、見終わった直後は何だかなあって思ってたけど、いろいろ考え直してみるともしかしてすごい映画だったのかもしれないと思う。青春ぽい雰囲気をちょくちょく出しながら、バッサリ切り捨てちゃう、むしろ反「青春」映画だったのかもしれないと感じたからだ。

    神木君演じる男の子が、先生に反抗して自分で書いたシナリオで、あくまでフィルムカメラにこだわったりして、仲間と協力しながら、クラスメイトの邪魔を逆に利用して屋上で撮影する場面はまさに文化系の青春!なのに、将来の夢は映画監督?と聞かれて、

    「映画監督は、無理だよ。」

    と夕日を背に真顔で答えちゃう。それを聞いた元野球部のイケメンも思わず「青春」の徒労感に涙してしまう。じゃあ、おれたちの今って一体何なんだろう。それは思春期に抱える悩みの一つでもある。

    既存の青春ものからすれば、彼の人生観は「あきらめ」だ。「あきらめたらそこで試合終了」するけど、その「試合」も長い人生から見れば少年時代の一瞬に過ぎない。試合が終わった後の世界で、少年たちは生きていかなければならない。
    もしかしたら桐島も、それに気づいてしまって、人知れず部活を辞めたのかもしれない。そんなことはクラスの下層民たる神木君でさえ、とっくにわかっていたのに。

    最後の最後、青春の限界に到達した元野球部のイケメンが桐島に電話をかける。僕は、その電話はつながったんじゃないかと、勝手に思っている。

    夢は見ない、片思いは実らない、主人公は登場しない。いろんな意味でポストモダンな映画だったなあと思う(原作読んでないけど)。それにしても橋本愛かわいい。

  • 「桐島、部活やめるってよ」
    一度聞いたら、忘れもしないこのタイトルに
    「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ。」の吉田監督が撮ったんなら、
    これを観ない選択はない。

    なんでだろう。とある一週間の高校生の生活なのに
    1シーンたりとも目が離せなかった。
    スーパースター「桐島」が突如学校にこなくなったのをトリガーに幕は上がる。

    いろいろ書こうとするとでてくるがあえて特筆すべきは、
    最後の吹奏楽部の「エルザの大聖堂への行列」をバックに
    屋上にメンバーが集うシーンは圧巻だった。

    あの何とも言えない焦燥感や不安感、そして期待感。
    あの感覚を出せるのは、高校生でしかありえない。

    高校生特有の感覚。 
    それはやはり 「進路決定」という命題の元につきつけられる選択。

    「進路」という、フワッとした「将来を決めるもの」を教師や親は提示を求めてくるが、
    そんな事、産まれてから若干17、18年しか生きていない少年少女達に決められる訳ない。
    自分の考えていることが正しいか、それが妥当なのかも、分からない。
    そして周りにいる友人・恋人でさえ、お互いの信頼なんて1本の糸のようなものでしかない。
    その感覚を見事に表現したのが、あのラストの屋上へ向かうシーンだった気がする。

    美しいシーンがたくさんある。
    個人的に好きなシーンは、女生徒4人がベンチに1列になって座っているシーン。
    表面上は仲良くやっているように見える4人だったが、桐島不明になったあたりで
    仲に亀裂が入っていく。 
    それが決定的となったあのシーン。
    お互いが違う方向を向いていて、かつ一直線に並んだあのアングルは、ヤバかった。

    橋本愛、いい女優だ。

    ここで、ロケ地・高知の話を。
    映画の舞台となっている屋上は、高知中央高校。
    そして、前田役の神木隆之介、かすみ役の橋本愛がばったり映画館で出会うシーンがあるが、
    あれはイオン高知SC。
    そして、吹奏楽部の演奏は高知西高校。奥さんが暮らしていたアパートの目の前。
    どちらも中には入ったことはないが、感慨深かった。

  • スクールカースト、あったあった。
    派手だったり、異性にモテたり、スポーツが出来たり、
    そういう子が中心なんだよね。

    文系ネクラはちょっと馬鹿にされてしまう世界。
    神木くんが大きくなっていてびっくりだー。

    桐島の彼女さん、とても高校生には見えないんですけど、、、

  • 原作を忠実に映像化したものではなかったです。
    家庭内での重い問題抱えてる子もいたんだけど、それは省かれてたりして。
    でも、描かれてるテーマの根っこんとこは一緒で、面白かった。

    神木くんの演技がね、抜群にいいです。
    細かい演技が、それぞれの場面にハマってる。
    教科書に隠れてノートに映画の構想練ってるときのしゃかしゃかしたシャーペンの動きとか、女の子を見送ったあとでごくごくペットボトルのコーヒー飲み干す仕草とか、もう天才的にうまい。

    他の子の演技も、おお、と思うようなとこがあちこちあって。
    たとえば吹奏楽部の子が楽器置き場に入ってきて、棚からろくに見もせずにパッてサックス取って来て、さっさと組み立てる手つきとかが、そこで毎日学生生活送ってる子でしかありえないようなスムーズさで。

    リアルさで言ったら、まあ実際の高校生活でヒロキみたいな出来上がったイケメン男子は見当たらなかったし、橋本愛ちゃんは美人すぎて、非現実感がどうしてもすごいんだけど・・・。
    他の子は適度にふつうっぽくてそれぞれキャラに馴染んでました。

    ちょっと派手めで勝ち気な性格のヒロキ彼女も、あーこういう子いるいる!ってなりました。
    嫌われキャラっぽい位置づけだけど、その子もその子なりにせいいっぱい青春がんばってるんだよな、とちょっと大人目線。

    それにしても原作読んだときも思ったけど、好きなものに没頭できる人間ってやっぱ無敵だよなあ。
    でも高校生だとなかなかそうはいかないし、ブレたり迷ったり周囲に振り回されたりしちゃうんだよねえ。

    個人的には自主制作映画とかもうあの空気がたまらんかったです。
    真面目にやってるんだけど、周りから見たらおかしいんだろうなあ。
    でも本人たちはすっげー楽しいんだよ。
    あと、屋上から見た山の感じとか家並みとかに田舎っぽい懐かしさを感じるなあと思ったら。
    ホントに我が地元の高知で撮影してたのにびっくりしたー。
    そら余計にじわじわ迫ってくるわけだ。

    やっぱね、高校時代って。いいもんですね。

  • 高校生の人間関係の微妙な均衡を地味かつ丁寧に描いていて良かった。

    けして気の合う同士ばかりではない未成熟な人格たちがひしめく特殊な環境では自然なことではあるけれど、どこかの一押しがきっかけになって、たくさんの人間の色々なデリケートな部分が動揺して、伝染して、いろいろな人の中のなにかが決定的に変わる、という様子を、「桐島」という狂言回しを兼ねたマクガフィンを使って鮮やかにまとめている。

    人物それぞれの個性が良い、というと平凡だけど、もっと正確な言い方をすると、人物それぞれにそれぞれの「浅さ」が感じられることがかえって良いな、と感じた。何というか、人格の深みなんかない方がリアルだと思う。普通の高校生はそんな軽々と考えさせられる深い台詞を吐いたりなんかしない。それでいて、普通の人が、普通なのに、普通なままドラマを生み出している。そこのあるある感がすごい。だって現実がそういう風になっているから。

    でもドラマツルギーもきちんと意識してあって、後半にそれなりに映画的な盛り上がりも用意されている、というのが憎い。何かがすっきりオチるというようなものではないけれど。

    キャラ造形も脇役までしっかり作ってある印象で、人によって好きなキャラも分かれそうだ。野球部キャプテンとかあんまり出てこなかったけど人気ありそう。個人的に好きだったのは映画部の副部長(神木くんじゃない方)。あるある感の極み。こんな奴いたいた。

    なお原作未読なので、これらの称賛が原作由来なのか監督・脚本の手腕なのかはよくわからない。

  • すごくよかった。
    部活ヒエラルキー、男子にだけ媚びる女子、女子グループの実態、万年補欠部員の惨めさ、淡い恋心、埋められない格差…
    高校生をやったことある人は絶対共感できる!!!
    脆くあざとく、でも若いからこその悩み。青春。

    (@早稲田松竹)

  • やめたげてよぉ!(×7回くらい)


    クラスの中心人物、桐嶋の突然の部活引退に端を発するリア充どもの揺れる心と、踏みにじられる非モテどもが悲しみの愛を見せる青春群像劇

    「居うる」がまたあった!
    スクールカーストの各階層の再現度がすごい。リア充から女子グループから部活組からオタグループまで本当の高校生の生活を切り取ってきたかのような違和感の無さ。居うる。

    居うるは没入感に直結する。
    自然と映画に引き込まれ、気づけば誰かを応援している。
    全方位向けの青春映画だ。


    非モテ組が辛い現実にぶち当たるたびに見てるこっちは奇声を上げてジタバタし、なけなしの勇気を振り絞った彼らに床を叩きながら敬意を表するのである。いい映画じゃないか畜生め。

  • 映画化するにあたって、原作のどの部分を切り捨てて
    どの部分を膨らませるかの選択が素晴らしいと思った。
    そして、原作にない『ゾンビ』を作中に取り入れたのが
    この映画を何倍にも面白くしていると思う。
    生きているのか死んでいるのかわからない、
    存在しないようなゾンビを映画部のメンバーが演じるところ。
    ラストの屋上でのシーンでカタルシスが待っている。
    『岩井俊二』だとこうはいかないわけで。

    映画では桐島が原作よりもはるかに神格化されているのがいいね。
    原作を完全に喰ってしまっている希有な映画のひとつ。
    あと、先に小説を読んでおいて良かった。
    映画が先だと「えっ??」と最後で投げ出されたように感じたかも。

    原作と同じく映画も同一の事象が様々な視点から異なる物語として語られる。
    スクール・カーストの一番上にいた桐島が
    突然、部活を辞めたことで広がるバタフライエフェクト。
    原作は湊かなえ『告白』のような、
    複数による一人称視点での短編が続く連作形式だけど、
    映画はこれを時間軸を繰り返しながら一人称視点を切り替える形式に練り直されている。
    同じ時間軸を違う人物の視点で繰り返し描写する演出手法は斬新だし、
    何より映像でしかできないプロットの立て方で、
    脚本の段階で推敲に推敲を重ねた感じが伝わってきた。

    最後、エンドロールの宏樹の所属の部分が
    カッコが何も書き加えられていない演出が良かった。

    家庭の複雑な内情を抱え込む実果の設定が、
    映画のテンポを良くするためなのか、不必要だと判断されたからなのか、
    バッサリとカットされていたところも好判断だったと思う。
    彼女には姉がいたが交通事故で亡くなってしまう。
    実果よりも姉のことを溺愛していた母は、
    娘を失った精神的なショックのために実果のことを死んだ姉だと思い込む。
    実果は実果として見てもらえないことにストレスを抱えている。
    「どんなに頑張っても認めてもらえない」というところに実果は風助に親近感を抱く。

    吹奏楽部の部長、沢島を演じる大後寿々花さんの
    表情だけで語る演技も素晴らしかったんだけど、
    自分はかすみを演じる橋本愛さんの演技が印象に残った。
    女子グループに所属しながらも心理的に距離を置いていたり、
    映画に興味があるのかないのか、本当に彼のことを好きか好きじゃないのか、
    この辺の「本気なのかどうなのか分からない感じ」が好き。
    切れ長の目が笑っていないところとか。

    第86回キネマ旬報 日本映画ベスト・テン 第2位も納得。

    ●追記(2013年3月7日)

     かすみが竜汰と付き合っていることを周囲に打ち明けない理由は、
     彼女の頭の中に実果のことがあるから。
     かすみに彼氏がいることが判明すると、
     4人グループの中で彼氏がいないのが実果だけになる。
     そうすると、何の前触れもなくバトミントン部を休んだり、
     突然泣いたりするような精神が不安定な女の子なので、
     急にバトミントン部を辞めたり、グループから外れる可能性がある。
     つまり、軋轢ができる。そういう予見できるトラブルを避けるために
     周囲に付き合っていることを打ち明けないのではないか。

    という女性の推測をネットで見掛けて、目からウロコ。
    自分には全く考えもつかなかった発想だったので、
    その筋の通った推理が素晴らしいなあと思った。

    この「かすみ」というキャラクターへの女性の意見をもっと聞いてみたい。

  • 男子校育ち&高校のころはスネていたので、男女の近さというかキラキラした感じはいつまでたってもどこか(勝手な)憧れをぬぐいさりきれなくもないが、本当に戻ってやり直したいかというと、全然そんなことはない閉塞感、すなわち価値観の選択肢の狭さであり、大人とのどっちつかずの関係であり、自身の根拠のない自信であり、それでいて定まらない軸と不安であり、他人の目であり、惚れた腫れたに巻き込まれる面倒くささあるいは巻き込まれない寂しさとかのそれである、という雰囲気がとてもよくでていた。
    そして、そんなあの頃の自分に言ってあげたい、君が見ている世間や評価軸なんてちっぽけでかよわいものなのだから、いったいこんなこと何の役に立つのか?なんて考えてみたってわからなくて当然だし、何の苦労も不安もなく成功する人なんて(一部を除いて?)いないのだから、恐れず思いつくままにやってみなよ、という歳くうとついたれたくなるような講釈がシャープに描かれているような気がして、ストーリー的にはすっきりしないのだろうが心情的にはしっくりくる。
    飛行機の中で途中まで観て、途中までよかったのでどんなもんだろうとずっと気になってい、評判がいいみたいなのでやっぱり観てみたのだが、最後までよかった。
    若い役者さんたちがみんないい。橋本愛さんはスクリーン映えしますね。が、個人的にはその友達の実果の役の人の方が好みだったりするのは内緒。

  • 2012年 吉田大八

    放映当時話題になってたけれど確かに話題になるのも納得の作品

    いじめというほどではない けれどハッキリと存在する現代のスクールカーストがよく描かれている

    そのスクールカーストの「イケて無い組」であり主人公である前田君の「お前らおかしいよ!桐島桐島って!」っていうセリフでハっとさせられた
    イケてる高校生桐島君の周囲は桐島君が部活止めると大騒ぎする気持ちは高校生ぐらいの気持ちを思い出すと理解はできるが、確かに部活を止めるぐらいでここまで大騒ぎになる姿は「おかしい」

    でも桐島君をとりまく彼らからすれば屋上で変な塊作って変な恰好してる前田君たちの方がおかしい この対比が面白い

    最後の前田君と菊池君とのやりとりはなんだかとても美しい
    イケてる組からすれば前田君のやってる事なんて理解不能だろう
    けれど前田君は冴えてはいない自分を理解しつつ、それでもそこそこ楽しく生きる術を知っている 彼らが手に入れられないものを持っている

  • 最初見たときは理解足りずやや消化不良でしたが、色々解説サイトを見て各メンバーの思い・繋がり・感情の表現方法に驚愕。安直な正解を出さないこういう映画は自身の思考力鍛えるためにも貴重かなと。

  • 小説が多視点で描かれていたので、どうやって映画化されたのか興味があって観た。

    元々あまり「青春」ものは好きではないが、これはよかった。バレー部のシーンでは泣きそうになったし(自分がバレー部ということもあり)、映画部のシーンはすごく滑稽でおもしろかった。
    共学の高校に通った経験がある人ならば、どこかのシーンで必ず共感すると思う。
    ラストもありきたりではなくて満足した。

  • 桐島あんな彼女なんだから絶対大した男じゃないって。

  • ストイックで汗臭い運動部、享楽的でイマドキっぽい帰宅部、堅実真面目な吹奏楽部、そしてスクールカースト最下位の掃き溜めのような映画部。そこには分かり合えない暗黙の壁があって、互いに「アイツらとは人種が違う」と感じてる。ゆえに生じる軋轢や、卑屈さ、傲慢さ、嫉妬といった感情の機微が巧みに描かれている。自分が高校生の時に感じていた、高校ならではのあの不安定な空気感を説明くさいセリフなしでリアルに演出しきった事が素晴らしい。
    神木くん良い演技するなぁ。前田と親友の子の、生き生きとした映画オタクっぷりは観ていて嬉しくなってしまう。「ロメロだよそんくらい観とけ!!」と吐き捨てた時の爽快さがたまらない!

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